第24話 死別の勇者たち
魔onの中。
ノヴェトたち一行は、町の中に現れた建造物の中。
そこで、とある男と出会う。
色白で銀髪の男は、白いローブを身に纏っていた。
事務的な笑顔だったが、紳士的な態度に不快感はない。
一行は、その男に言われるがまま、建造物の奥へと進む。
男は『シヴァデュナート』と名乗った。
今回のアップデート・タイトルは『シヴァデュナートの深淵』。
そのことから、今回のイベントNPCであることは明白だった。
だがそれは、あくまでも破壊神の名だ。
少なくとも、こんな優男が名乗るようなものではない。
「魔宮……? シヴァデュナート……?」
猫娘ノヴェトは、ブツブツと独り言のように繰り返す。
「……敵、なんッスかね? ……紳士っぽいカンジッスけど。これ、罠ってことないッスよね……?」
猫幼女リンリンも戸惑っている。
だがそれは、兎娘ロザリーや猫娘リゼットも同様だった。
「現状では、敵か味方か……、五分五分でしょうか。油断はしない方が良いかもしれませんね」
「大丈夫にゃって! きっと同じ名前の人にゃって!」
「わざわざNPCに、そんな紛らわしい名前付けないでしょうに。それに、魔宮って森の中という話だったような? なぜ、こんな町中に出現したのでしょう?」
「うーん、分からん。とりあえずは、ついていくしかないよなぁ……」
狭い通路を抜けると、広い庭園に出た。
広い庭園は整備され、人の手が入った人工的なものだった。
吹き抜けになっているようで、建物内とは思えないほど光に溢れている。
樹木や草花、水路。
人工的ではあるが、空気が澄んでいるのが分かる。
気持ちの良い空間だった。
一行は、庭園の中心まで歩いていく。
そこには石の大きなテーブルと、複数の石のイスがあった。
男はその前に立ち止まり、ノヴェト達も足を止める。
男はパーティに向き直り、語りかけてくる。
「さて……。皆さん、ご足労ありがとうございます。あまり人に聞かせたい内容ではありませんので……。ささ、どうぞ。お座り下さい」
リンリンは、ノヴェトに耳打ちする。
「こ、ここって……? インスタンス・エリア、ッスかね……?」
「たぶん……、な。さっき、エリア切り替えっぽいポイントがあった。他のプレイヤーも、順次誘導されているかもな。いきなり戦闘ってことはないと思うが、一応警戒はしておいた方がいい」
インスタンス・エリア。
オンラインゲームでは、度々登場する特殊なゾーンだ。
通常のエリアは、不特定多数が共存している。
だが、ストーリーやダンジョンでは、それだけでは不十分だ。
プレイヤー毎にイベントを発生させないと不平等になる場合も多い。
そういう時はパーティを、断絶されたエリアに意図的に分断させる。
それにより、他に影響することなく、個別にイベントを進行できるのだ。
ノヴェト達がいるこの庭園も、そういったエリアのようだ。
*
「……皆さん、お茶はいかがでしょうか?」
銀髪の男は、指を鳴らす。
すると、テーブルの上にティーセットが出現する。
男は、お客をもてなすのが当然と言わんばかりに、お茶の準備を始めた。
この男は、おそらくNPCだ。
AIを搭載している。
現実の魔法人形と同等の受け答えが可能だ。
イベント用であれば、それ用の思考をするし、ある程度は例外にも対応できる。
ノヴェトはその様子を見て、男に話かけた。
「いや、俺たちは茶を飲みにきたわけじゃ……」
「要りませんか?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
「おいしいですよ? 少しだけ、……スッと清涼感があるんです」
「不要だ」
「この茶葉は、樹木から生成したもので、精神を落ち着かせる効果があるんですよ。ぜひご賞味ください」
「……だから、要らんって」
「茶葉には、薬効成分が含まれておりましてね。私なんて、これを常飲しているおかげで、こんなにお肌ツルツルで……」
「話聞かんやつだな……」
お茶を遠慮する度、次第に茶葉に関する説明量が雪だるま式に増えてくる。
だんだんイライラしてくるノヴェト。
だが、リンリンは気付く。
そして、耳打ちする。
「ノヴェトさん、ノヴェトさん。これって、『はい』を選ばないと、延々と進まないやつじゃ……?」
「ああ、なるほど。そういうことか。つまり、絶対飲めってことね。……いやもう、怪し過ぎんだろ。絶対なんかあんだろ」
「まぁ、飲まない選択で進行しないなら、飲むことでなにかあるってことッスからねぇ……」
「飲んだら眠るか、幻覚見るか。さすがに、死ぬことはないと思うが……」
「う、うーん? でも、考えすぎじゃないッスか? 素直にお茶飲みながら、説明入るパターンかもッスよ? こんな序盤で、いきなり全滅エンドは無いかと……」
「ま、まぁいいか……。とりあえず茶は注がせるけど、飲まないで方向で」
「用意してもらったのに飲まないんッスか? 失礼なカンジが……」
「いいんだよ! ゲームなんだから! と、とりあえず、全員一斉には飲まないように……」
コソコソと全員に、身振り手振りで合図するノヴェト。
そして、覚悟を決める。
「あー、分かったよ。お茶、頂こうか」
「おお! そうですか‼︎ それが良いと思います。このお茶の薬効成分は、それはもう素晴らしく……」
「いやもう、説明はいいので……」
そこからまた、男はどんなお茶かを一から説明し始める。
「お、おい……。結局、茶の話終わらんぞ、これ……?」
だが、一応選択肢は正しかったようだ。
男は一通りお茶の説明が終わると、それを人数分のカップに注ぐ。
そして、パーティの全員に配る。
「若い方にはこれを。少々渋みがあるので、蜜を垂らすと飲みやすいですよ」
男は、カゲチヨとアキラのカップにだけ蜜を入れた。
「あ! にゃんも‼︎ にゃんもそれ欲しいにゃん‼︎」
猫巫女リゼットがビシッと手をあげる。
「はいはい、どうぞどうぞ」
男は、リゼットのカップにも蜜を入れる。
「お、おい。飲まなくていいからな? 今回はオープニング・イベントといい、どうもパターン違うからなぁ。結構、変化球でくるかもしれん。気をつけんと」
念のため、ノヴェトは釘を刺しておく。
「……まぁまぁね」
「おいしいです!」
「旨にゃー‼︎」
「って、飲んでるし……」
カゲチヨとアキラ、そして猫巫女リゼットは、普通に飲んでしまった。
だが、なんともないようだ。
「……なんともないのか?」
「大丈夫ですよ、ノヴェト様。こんな序盤で、毒盛ったりしないですって」
兎娘ロザリーも、すでに飲み物に口をつけていた。
「そ、そうか。思い過ごしか……」
全員、素直にお茶を飲んだ。
その時。突如、銀髪の男の前に、それが中空に現れる。
……巨大な文字だ。
『シヴァデュナートの深淵』と。
それを見たノヴェトは、お茶を噴き出す。
「……ぶはっ⁉︎ ……ここでか⁉︎ このタイミングでか⁉︎ なんで⁉︎」
そして、どこからともなく音楽が流れてくる。
それは今回のアップデートのテーマ曲。
妙なエフェクトで、巨大な文字が光る。
唐突にアップデートのオープニングが始まってしまった。
「どうです? 美味しいでしょう? しかも薬効成分が……」
男が話している最中も音楽が鳴り響き、下から上に文字が流れていく。
どうやら男には文字も見えないし、音楽も聴こえていないようだ。
流れる文字は、時代背景やらの説明をしていて、ナレーション付き。
だが、男はそれとは全く関係なく別の話している。
結局、どっちの内容も頭に入ってこない。
「いや、その……、顔のとこに文字流れてますけど……」
「なんでこのタイミングなんッスかね……。すんごい気まずいッスけど」
一行はお茶を飲みながら、オープニングの文字が流れているのを見ている。
だが、目の前の男はそれに気付かず、一人でずっと喋っている。
気まずさが半端ない。
「バグ……、でしょうか。違うタイミングで出ちゃってるとか」
「たぶん、バグだろうねぇ……。このタイミング、全然重要に思えんし」
「……みなさん、何のことを言ってるんですか?」
文字に見入るパーティをよそに、カゲチヨはオロオロと辺りを見回している。
どうやら、カゲチヨには、このオープニングの文字が表示されていないようだ。
「……ん? あれ?」
カゲチヨは、自身が持つティーカップを覗き込む。
「……お茶の中に文字? ……おわっ⁉︎」
なぜかカゲチヨのオープニングは、お茶の中で開始された。
一瞬、お茶がゴボッと泡立ったので、ビクッしたカゲチヨ。
液体の中で曲が鳴っているので、籠って聞き取りにくい。
しかも音に合わせてお茶に波紋が立ってしまい、ひどく文字が読みづらい。
ナレーションもブクブク言って聞き取れない。
「お茶が! お茶が喋っています!」
「バグ確定だな……」
それから、オープニングらしきものが終了するのを待った。
そして終了後、ノヴェトは改めて男に催促する。
「まぁとりあえずは、お茶はいいので、……本題に」
「そう? ……ですか。では、こちらもお召し上がり下さい。少々長い話になりますので」
男はまた指を鳴らすと、テーブルの上に色とりどりのお菓子が並んだ。
「う、うわぁ、すごい⁉︎」
「食べていいの⁉︎ いいのね‼︎ 頂くわ‼︎」
「にゃんも頂くのにゃ‼︎」
「ああ、こら! オマエら‼︎」
カゲチヨ、アキラ、リゼットは、すぐにそれを食べ始めてしまう。
「さぁさ、みなさんもどうぞ」
結局、全員そのお菓子を食べた。
「どうです? 美味しいでしょう?」
「あ、ああ。……もうそろそろ本題に入ってくれないか?」
「ええ、入りますよ。ですが……、その前に説明をさせてください。そのお菓子は……」
「う⁉︎ ……また説明? クドくない……?」
「どうですか? 美味しかったでしょう? ……身体に毒になるものほど、美味しいと言いますからね。美味しいんですよ、……毒は」
「……は?」
ノヴェトは、すぐには理解できなかった。
だがその後、何かおかしいことに気付く。
視界がゆらゆらと揺れ動き、ボヤけるのだ。
自身の手をよく見ると、赤い雫が垂れている。
……それは血だった。
「な、なんだ……? これ?」
パーティメンバーを見ると、大量に鼻血を出している。
それでも美味い美味いと言いながら、食べるのをやめない。
……側から見ると、到底正気には見えない。
「ノヴェトさ……、これ……、もう、止まらない‼︎ ……おげぇっ⁉︎」
リンリンは滝のように鼻血を出し、ぶっ倒れる。
そして、他のメンバーも次々と倒れていく。
「オ、オイ⁉︎ ……うぼはぁっ⁉︎」
だが、それはノヴェトも同じだった。
倒れ、そこで意識が途切れる。
男はニヤリと笑う。
「フフフ、容易に人を信じてはいけませんよ? まぁ私は、人ではありませんが」
*
「こ、ここは……?」
ノヴェトは目を覚ます。
そこは、薄暗い小さな部屋だった。
目につく場所にいるのは、一人だけだ。
カゲチヨやアキラの姿はどこにも見えない。
部屋の様式から、何かの神殿のように見える。
出口は一つだけで、それ以外は壁に囲まれている。
「カゲチヨ……? アキラ……?」
「んむぅ〜、あと5分にゃぁ……」
そこにいたのは、猫巫女リゼットだけだった。
むにゃむにゃと独り言を喋ったあと、また眠りについた。
「いや、オイ。起きろ。起きろって……」
「んー、もうちょっと……、もうちょっとにゃ。あと5分、あと5分なのにゃ」
「いや、キミ、現実ではエルフっ子でしょうが。にゃあにゃあ言ってる時点で、起きてんでしょ。……ほら、起きて起きて」
「もう……、ダーリンは朝から元気にゃんだから……。しょうがないにゃぁ……、ちょっとだけだけにゃんよ?」
「誰がダーリンだ。なんの設定なんだよ」
リゼットはむくっと立ち上がり、周りを見渡す。
「む! 誰もいないにゃ。……こんなところに連れ込んで、か弱いにゃんこに何するつもりにゃん?」
「連れ込んでねぇし、か弱くもねぇだろうが。……魔宮で毒殺されたんだよ。でも、死んだのかこれ?」
「む? にゃんは生きてるにゃんよ?」
「うむ……。もしかして、これが例の魔宮のワープってやつか? ……いやワープする為に、毒殺されるっておかしいか……」
「んにゃら、ステータス確認するのにゃん」
リゼットはメニューを開く。
「んー、死んでな……、ん? 変なマークついてるのにゃん」
「え?」
ノヴェトも、自分のステータスを確認する。
たしかに見慣れないマークが付与されている。
「『幽鬼』のマーク……? うわ、これ、やっぱ死んでんじゃん‼︎ 要するに、新エリアって、死者の世界ってことか……?」
「にゃん、死んじゃったのにゃん?」
しょんぼりするリゼット。
考えるノヴェト。
「つまりだ。ここへは、死んでやってきたってことか。しかもたぶん、パーティ分断イベントってとこだな。現状、メニューからワープは……、できなくはないな。でも、戻ると、また毒殺からやり直しかもしれんし……。パターン的には、合流すれば、いつでも来られるポータル解放とかありそうな気が」
「……」
リゼットは飽きたのか寝始めた。
「……オイ、起きろ。わざとらしく、ビクンッてするな。とりあえずは、カゲチヨ達と合流するぞ。いきなり分断ってことは、戦力的に戦闘はないとは思うが……。さて」
合流するには移動が必要。だが、出口は一つ。
「あからさまに怪しいんだよなぁ……。いかにもここから出てくださいと言わんばかりに、入り口ひとつ」
「とにかく合流するのにゃ! ネコさんチームの出動にゃ‼︎」
「ネコさん……? ああ、俺も猫か」
「行くのにゃ! ノヴェトにゃんも頑張るにゃん!」
「分かったにゃ‼︎」
「にゃ、にゃ、にゃー‼︎ にゃ、にゃ、にゃー‼︎」
急に上機嫌になった猫巫女リゼット。
歌を歌いながら、部屋を出ていく。
ノヴェトは、『二人きりでこのテンションしんどいなぁ』とは思ったが、口には出さなかった……。
*
「神殿……、でしょうか?」
「そのようね……」
目を覚ますカゲチヨ。
隣には兎娘ロザリー。
部屋には二人だけ。
ノヴェト達がいた場所と似ている。
「他の方たちは、どこへ行ったのでしょうか?」
「そうねぇ……」
「ロザリーさん、みんなを探しに行きましょう」
「そう……」
「……ロザリーさん?」
「そうよ、そうなのよ! ……カゲチヨきゅん、……お外は危ないわ。お外に出てはいけないの」
「え? でも、ここから脱出しないと……」
「ううん、脱出する必要なんてないの。だって、ここには二人以外、何も必要ないのだから……」
「……えっと、ロザリーさん?」
カゲチヨの手に、そっと手を添えるロザリー。
「え⁉︎ ……あ、あのぅ……⁉︎」
「大丈夫。おねーさんが守ってあげるからね。ずっと。……永遠に。……ここで一生……」
「え? あ、ちょ、え? ……ロザ、え? ダ、ダメです、あの! そのぅ‼︎」
「おねーさんが色んなこと……、教えてあげるから……、ね?」
カゲチヨチームは、ロザリーの抵抗により部屋から出られなくなった。
*
「まずいことになったッスね……、うぐっ⁉︎」
「早く歩きなさいよ‼︎ 早くカゲチヨを探すんだから‼︎」
アキラに蹴られる猫幼女リンリン。
彼女らも同じような部屋で目を覚ました。
だが、アキラは一瞬の迷いもなく部屋を出たのだ。
リンリンは、それを慌てて追った。
だが、右も左も分からない。
「そんな、すぐ見つかるもんじゃないッスよぉ……」
「アンタも勇者でしょ‼︎ 勇者なら光の……、根性で探しなさいよ‼︎」
「これ、どこに向かってるッス……?」
「どこって、カゲチヨのところよ。決まってるじゃない」
「こっちにいるッスか……? 道はあっちにも続いていたッスが、迷いなくこっち来たッスよね?」
「……」
口をつむぐアキラ。
深く考えていなかったようだ。
そして、逆ギレ。
「じゃあアンタ、何かいい案があるっていうの⁉︎ と、とにかく、まずは行動、そう行動よ‼︎ ……そう、本に書いてあったわ‼︎ ……勇者はいつだって行動で示すの‼︎」
それらしいことを言ってるアキラ。
だが、本屋でみかけた自己啓発本のタイトルを口にしただけだ。
しかも、アキラは一文字たりとも読んでいないし、手にとってすらいない。
たしかにタイトルに『まずは行動‼︎』と書かれていたので、一応嘘ではない。
ちなみに書籍『まずは行動‼︎』の著者は、ゼンラー・ニナール。
この本は、彼の作品の中でも、一二を争うほどのベストセラーとなった。
なお彼は、先日、公共の施設内で全裸になった罪で勾留中である。
「そうッスね‼︎ 行動しないと始まらないッスね‼︎ ……では、カゲチヨくんたちを探しましょう」
リンリンはそれに同調する。
アキラ達は、こうして神殿の探索を再開する。
だが、この時彼女達は、カゲチヨがいる方向とは逆に進んでいた。
*
同日、同時刻。女神神殿。
女神アシュノメーは、魔王領のテレビ中継を観ていた。
となりには信者の一人がいたが、彼は驚きを隠せない。
「これは……、一体、どうなっているんです……?」
中継では、望遠で広い景色を映していた。
アナウンサーが捲し立てるように早口で言う。
「……みなさん、観てください。すでに辺り一帯、このような状態になっており、刻忘れの森を含む、全域が……」
景色の中に、虹色のような何かが、ユラユラと蠢いているのが見えた。
地上から遥か上空まで、オーロラのようなものが伸びているのだ。
それは辺り一帯を包んでおり、なにか別の領域であることを想像させる。
「これが……、魔王の計画の……? これがそうだというのですか……?」
「甘かったわ。ここまで大きな領域だとは、想像していなかった……」
「魔王の計画では、異世界を丸ごと召喚する、ということでしたが……。これでは、あらかじめ魔宮の側で待機させていた部隊も……、全員巻き込まれてしまっているかと……」
「てっきり、結界はその範囲を示すものだと思っていたのに……。これ、魔王領の3分の1は……、もう異界化してるわね」
「現世界と異世界を入れ替える……、のではなく。二つの世界を同期させ、融合する……。魔王は一体なんてことを……。そもそもどのような異世界が、召喚されてしまったのか……」
ここで画面は、中継のアナウンサーからスタジオへ戻される。
スタジオには、アナウンサーの他に3m級のイカついオッサンが座っていた。
……魔王だった。
「えー、魔王領の皆さん。これから魔王様直々のお言葉があります。……では、魔王様どうぞ」
「あー、諸君。私が……」
「あ? ……えっと、え? ああ、CMのあとで、……です」
「え?」
キョトンとした表情の魔王。
イカついオッサンの間抜け顔のドアップのまま、番組はCMへといった。