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1年4月ーー新入生歓迎と試験と

今回は3年生からの視点です。

 神崎からの視点


 僕の名前は神崎光。


 炎清高校現生徒会長を務める者だ。


 そして今日は1年生が入ってくる。1年生、か。懐かしいなぁ…自分も勧誘された時は驚いたよ。まさかこんな仕事をされるとは。人生何があるかわからないよ。


「おい神崎!神崎!早くするぞ。試験やるんだろ!」

「あー剛君。わかったわかった、今行くよ」


 今日は入学試験当日。勿論普通の試験は終えているよ。今回は特別な試験。今年の入学生は合計で205人。うん、そこはどうでも良い。


 その中でこの試験を受けるのは40名。この中から一年の生徒会メンバーを4人に絞る。前もってプロファイリングはしておいた人なので、どんな成果を見せてくれるか楽しみだなー。あっ、


「そうそう、剛君、1人追加したい人がいるんだけど良いかな?」

「あ?何で今更何だよ」

「いやぁ、今日の登校時間でいい人材を1人見つけちゃってねー」

「ったくめんどくせーな。で、誰だよ。今そいつがまだいるか確認してやるから」

「うん、えーっとね…あ、この人この人」


 そう、このなんかパッとしない男。1年1組…うん、分かりやすいね。すると副会長の日和ちゃんも介入して来た。


「うん?だーれ、この人?」

「実は僕も知らなくてね。でもこの人だよ。」

「あーっ?神崎、そりゃないぜ。こんな魂がどっか他に行ってそうな人のどこが必要なんだよ」

「まあまあ、見てればわかるよ…」

「珍しいね、光君がこだわるなんて」


 確かに自分でも驚いているよ。まさか全然知らない人を推薦しちゃうなんて。でも今回は感じちゃったんだ。


 今朝の校門前での騒動。あの時まさか試験を受けさせるはずの氷室唯がいるなんて偶然だなーと思っていたらよ。その氷室ちゃんの絶対零度的な攻撃に耐えちゃうんだもの。それどころか押し返していたし。


 あの時錯覚だけど見えてしまった。恐ろしい大災害のような炎を。彼の目からそう感じた。


 だから気になって当然だよねー。


「はぁ…わーかったよ。そいつも受けさせればいいんだな」

「ありがとう、助かるよ。それじゃあ始めますか。おーい、小春ちゃん起きてー」

「うーん…?」


 ソファーのところでテーブルに突っ伏して寝ていた小春ちゃんが目を擦りながらむくりと起き上がる。相変わらずいつも眠そうだ。新入生の勧誘は3年生が行うのが恒例だからね。ちゃんと小春ちゃんにも参加してもらわなくちゃ。


 ここで少し生徒会のメンバーを紹介しよう。


 まずは生徒会副会長月城日和。


 いつも明るくて、仕事ができるこの生徒会のムードメーカー。基本的に書類整理をテキパキやったくれたり、仕事で徹夜するときの料理もしてくれる。凄いスペックの持ち主だけど、一番の武器はずっと笑顔でいる事。これは誰にも負けないね。


 勿論、戦闘の時もしっかりと働いてくれる。前線を必ず維持してくれることが何よりの強さだ。使う武器は剣だけど、戦闘技術は歴代トップに近い実力らしい。ズバズバと敵を切り裂いていくから、そのまま突き進んで行っちゃうのが玉に瑕なんだけどね。


 続いて生徒会書記の姫野小春。


 いつも眠たそうにしてて、仕事中も寝ちゃうことがしばしばある。仕事をする時は凄いんだけどねー。剛君とは結構親しいらしいね。いつも寝ているんだけど、成績はまあまあ良いんだよね。過去の試験では1教科の試験の半分寝てしまって、先生に大目玉食らったことがあるらしいんだよねー。


 でも満点。リスニング問題、一体どうやって解いたのかな?


 そんな彼女は戦闘の時は普段管理室で僕たちのサポートに徹している。敵の数や状態を詳しく教えてくれるナビ的な存在。でもたまーに強い敵が現れた時戦場に駆けつけてくれるよ。そのときの頼もしさはもう…かっこいいよ。


 そして生徒会会計、等々力剛。


 もう筋肉のような名前だけど、実際ムキムキだよ。に、反して計算能力はピカイチで、だから会計に選ばれたんだよね。普段は彼がパソコンをいじったり、請求書などの管理をしているよ。言葉はちょっと不良風だけど、とっても頼れるメンバーだよ。


 戦闘でその筋肉は勿論フルで活用しているよ。ガントレッドを装着して、いつも敵を粉砕しているよ。パワーがとてもあるんだけど、おかげでガントレッドがいつも壊れているんだよね。まあそのお金を彼自身が払っているのが、何とも彼らしいけど。


 以上が3年の生徒会メンバーだよ。2年生もいるんだけど、彼らは今任務でここにはいないし、また今度紹介しよう。


「あと、神崎光〜訳してヒカルン。いつも爽やかで文武両道のイケメン…この前のバレンタインでは生徒会史上最高の30個を獲得。羨ましい…私も欲しい」

「小春ちゃん?誰に言っているのかな?」

「戦闘では日和に劣らない戦闘センスをもち、銃による中距離サポートをしている〜何だこれにみんなが救われたことか〜…ぐぅ…」

「だから、誰に言っているのかな?」

「というかちゃっかり寝るんじゃねー」


 …まあとにかく、今から試験が開始される。早速みんなに指定された位置…飛び入り参加の子は2階の階段付近にしようーーに待機してもらう。そしてそのについた瞬間、


「空間移動装置起動。試験を開始する」


 生徒会加入に伴う試験が開始された。


 ・・・・・・


「…残り20名」

「早ーっ!!」


 剛君の報告とともに放たれた日和ちゃんの叫び声。無理もないよ。最初40人も居たのに、それぞれの結界内で仕掛けていた「闇」に何と半分がそのまま無残に殺されてしまったのだから。きっと先輩たちも同じ反応だったんだろうなぁ…


 勿論本当に殺されるわけがない。そのような人らは食われる瞬間にこちらに転移されている。今の所死者は0人だ。


 あとはその人たちを小春ちゃんがちょいちょいと傷を治したり、身嗜みを直したりて、過去五分の記憶をなくして返している。今から数分のうち、この20人は校門前で「あれ?自分は何をしていたのかしらん?」状態になることでしょう。そのときの反応が楽しみだなぁー。


 だんだんみんなの戦闘が激しくなって来ている。モニター越しに見ているのだが、楽しいなー。それぞれ戦い方も考え方も十人十色。みんな武器も装備し始めたねー。


「おお!この女の子凄い!ノーダメで戦っているよ」

「使っている武器は鞭?面白い選択をしたな」


 はしゃぐ日和ちゃんの見つめているモニターに目を向けると、確かに街を巧みに使い、蛇型の「闇」を退治している生徒がいた。あ、彼女は氷室唯ちゃんだー。


 なんかとんでもない逸材だとは思っていたけど、やっぱりそうだったんだね。蛇のクネクネとした行動を軽々と避け、鞭で着実にダメージを与えている。この鞭もただの鞭ではなく、魔ソで威力を上げた特殊な武器だから、そりゃあ入るけどね。


 そんな内に蛇はぐったりと倒れ、ピクリとも動かなくなった。1番乗りは彼女になったね。


「じゃあ回収するか。『よく倒したな。お疲れ様だ』」

『この声は…生徒会の方々、ですよね』

「『ほぉ、知っているのか』」

『はい。そのために来たのですから』


 これは驚いた。他の2人も目を丸くしているよ。なるほどねー、彼女は元からここに派遣される予定だったのか。事前に教えてくれてもよかったのに。


「『なら話が早いな。生徒会室、分かるか?』」

『承知しております。今からそちらへ向かいますので』

「『おう、待っているぞ』姫野、接客を頼む」

「了解です〜」


 取り敢えず1人目は確定したかな?氷室唯。やっぱり君が来ると思ったよ。


 と、ここでも数人やられちゃっているね。この人たちも結果は不合格になっちゃうから、惜しいものだね。これも小春ちゃんが処理してくれるとして…不意に剛君が叫んだ


「うお!すげぇな…こいつ」

「ん?どれどれー」

「多分3番モニターのこの子だよ」


 慌てて3番モニターに向けると、そこにはまたもや少女がゴリラ型の「闇」を攻撃していた。何故驚いたのかというと、使っている武器。


 サブマシンガン


 しかも2丁待ちときたよー。ん、よく見ると腰にも1丁ずつサブマシンガンを装着している。つまり計4丁!


「ひぇー!これは凄いねー!弾丸の雨だよ」

「しかもただガムシャラではなくて、しっかりと相手に向かって打ち続けている。当たっていない弾数がほんの2、3発だ。」


 確かにそうだ。ずっと打ち続けているけど、相手のマークは絶対に外していない。あ、弾がなくなった。と、思いきや、また打っている。


「ちょ、ちょっと待ってよ!いたリロードした?剛君!リプレイ早く早く!」

「うるせぇ!ちょっと待て…おらよ」


 リプレイ、しかもスローで映るのは彼女のリロードのシーン。空になったマガジンを振り落として、振り落とした勢いで腰にあった予備のマガジンをカチャっと…って早ぁ!


 今1秒もたたなかったよね。多分歴代最速のガンマン技術だよ。


「ほわぁ〜っ、こりゃたまげたね!彼女一体何者なの?」

「ちょっと待て…4番モニターに情報写すぞ。出雲クロエだそうだ。ハーフのようだな」

「おーっ!凄い可愛いじゃない!」


 確かに画面に映ったクロエという少女はとても綺麗だった。こんな子があんな実力を持っているなんて…あれ?


「僕の役職…取られた?」

「ん?あっ!光君!?光君の眼から光がなくなっちゃってるよ!」

「何分表記でしかわからないダジャレかましてんだよ!おい、お前の役職交代は置いといて、しっかりしろ!炎清のこれからが関わるんだぞ!」

「うん…」


 嫌だなぁ…銃の役職被っちゃったなぁ。出雲クロエ…負けないからねー!


 気を取り直して見ればクロエちゃんの戦闘は終わっていた。そこに残るのはもう何かわからなくなってしまった肉片。あんまりの光景に死んでしまった「闇」に哀れみを覚えてしまう。


「何というかさ…あの子、絶対サツとか、そういう関係の人だよね」

「…否定はしねぇ」

「ハハハ、まぁ優秀な生徒が来たと喜ぼうよ」


 あまりの惨状に乾いた笑いを出す生徒会。今年入ってから一年、彼女を育てられる気がしないよぉ…


「『お疲れさん、君には試験を受けさせてもらったよ。戦闘終えたと思うが、このまま生徒会に来てくれないか?』」

『…うん』

「『ありがとう。場所はーー』」

『わかってる』

「…」


 なんか剛君落ち込んでる。意外とこのカメラ役をやりたかったのかもしれないね。一昨年からこんな風にパソコンの前でカタカタやっていたし。でも役職は前線だからね。


 この場所での仕事が今日で最初で最後な経験なのに、あんまり活躍できていない。何というか…ドンマイです。


 その後もどんどん試験が終わって行き、数も少なくなっていった。


「ふぅ、ようやく終わりが近づいてきたぜ。合格者は何人だ?」

「えっと、現時点で10名。私たちの時はたったの6名だったから、今年はいい方だね」

「むしろ俺らの世代が酷かったんじゃないのか?」

「いや〜毎年平均7.5人だからね…今回は少し多いくらいだよ〜」

「あ、小春ちゃん、全員の誘導終えたのかい?」

「うん〜。今みんな紅茶飲んでまったりしてるからこっち来たよ…それで〜?めぼしい人はいたの?」

「まあ何人かは、ね」


 今のところ最もマークしている者は2人。


 鞭使いの氷室唯


 銃ーーサブマシンガン使いの出雲クロエ


 この2人がダントツの実力を持っている。だけどどうだろう…2人とも戦いの場で活躍できても、生徒会本来の仕事はできるのかなぁー。


 氷室ちゃんは今朝見た限り相当プライドの高い持ち主だし、出雲ちゃんは喋らない!さっき聞いた言葉は「うん」と、「わかってる」だけだよ!


 まあそこはこれから育てていく中でしっかりと生徒会本来のの仕事にも対応できるよう努力しよう。と、そういえば


「あの子はどうなったのかい?」

「ああ?あーあのボーッとした奴が。あーここだ」

「へぇ…って、はぁぁぁぁ!!!?」

「何だぁ、こりゃあ…」

「ふわぁ〜…」


 日和ちゃんたちが呆然としている。自分も直ぐ彼の映っているモニターを見ると、


「…」


 消化器で狼型の「闇」を立て続けに殴っていた。よく見ると周りに大量のスピーカーがある。これは…なるほどねー。音による静止からの消化器による打撲、と。


 自分の耳は大丈夫なのかな?でもこんなことを考えたくらいだし、対策も怠っていないだろうね。


 これはかなりイレギュラーだ。過去の資料にも彼みたいにここの武器なしで勝てた者はいない。全員大体逃げながら武器庫について反撃するからね。だけど今の彼、


「武器なしで押してるね…」

「武器庫に気づかなかったのか?あれ教室のロッカーとかトイレの道具入れとかに繋がってるよな。まだ出会っていねぇのか」

「消化器は渡り廊下にあるし〜、音楽室でスピーカーを繋げたんだね」

「ほっほぉーう!これは凄いね!このまま倒しちゃうんじゃない?」


 確かにこのままでは勝ってしまう。勿論これで合格にしてもいいが、つい気になってしまった。彼の秘めたら力に。まだ彼は隠している、そう感じた。


「剛君、あの『闇』に魔ソを供給してあげて」

「はぁ?何を急に…ハイハイ、了解ですよ」

「ちょっ!光君?それじゃああの子死んじゃうよ!」

「ゴメンゴメン、ただーー」


 武器を持った彼は一体どんな戦いをするのか、どんな武器を選ぶか、彼の思惑や「心」がどうなのか、


「知りたくなっちゃってね」

「っ!………そうだね」


 今僕の顔はどんな風に映っているのだろう。きっと気持ち悪い表情をしているに違いない。何せ気分が高揚しているからね。


 何かを知りたい、何かを感じたい、新たな世界へ踏み込みたいーーそんな子供のような探究心が僕の心を侵食しているんだよ。


 案の定、大好物の魔ソを得られた『闇』はその生徒ごと吹き飛ばした。男はそのまま蹲って動けていないようだった。


 あっ、吹っ飛んだことで生徒の全体が見れるようになったけど、よく見ると怪我してる。


「ヒカルン…あの子脇腹数本と肋骨、内臓も潰れているところがちらほらあるよ〜」

「このままだと死ぬんじゃねーか?」

「これどうなの?不合格なの?それはちょっと可愛そうな気がするんだけど…」






 あっ………






 どーしよーー!やり過ぎたーー!!まさか怪我をしていたなんて。そうだよね。普通は怪我するよねぇ。僕も1年の時あんな奴に顔面パンチ喰らって歯が殆ど取れたし。ごめんねぇーー!誰とかさん!


 あー名前まだ知らないんだよー!ごめんねぇーー!プロファイリングちゃんとしてあげなくて!


 痛い、3人からの視線が痛いよー!やめて!僕が悪かったからそんな目で見ないでー!


 だけどここで彼も動き始めた。不意に何かに気付いたと思えば、武器庫へと向かい始めた。


 だけどここで違和感が。というのも足が迷わずに目的の場所へ進んでいる。武器庫の存在をどうして…


「あれ?武器庫の場所、何で始めから知ってるの!?」

「まさか…魔ソを感じたのか?あいつ過去になんかあったのかよ」

「…どうなんだろうね〜」


 ふふふ、本当に面白い人だよ君は。まさか武器庫に直ぐにたどり着くなんて。だけど本番はここからだよ。


 武器はどうする?剣?槍?銃?それ被るからお勧めしないけど!


 すると彼が取り出したのはーー


「「「「弓ーーーー!!!!????」」」」


 流石に全員シンクロしてしまった。弓って…銃あるじゃん!もっと強い遠距離武器あるじゃん!被るけどね!


 そもそも弓を使っている世代はこの学校に殆どいない。下手すれば初代の弓じゃないのかい?本当にそれにしちゃうの?ロマンでも求めたの?あの武器庫にもワンセットしか無かったよね?


「マジ『で?それにするの?』」

「ちょっ!光君マイクのボタン押してるーー!口調もなんかキャラ崩壊してるよ!」

「動揺し過ぎだろ…」


 はっ!そうだ…剛君の言う通り、少し動揺し過ぎた。冷静になろう。決まってしまった物はしょうがない。そのまま見守り続けることにする。


 彼は弓を引き始める。その姿はとても様になっていた。ところが何故か打たないのだ。引く姿勢からビクともしない。


「大丈夫なの?あの子、もう化け物襲いにかかろうとしてるじゃん!」

「安心しろ…そん時はしっかりと俺が転移させてやるからな」

「でも動かなさ過ぎ〜…剛〜モニター壊れてる?」

「んなわけねぇだろ!お前も俺らの戦闘の時によく使うから分かるだろ」

「剛の使い方荒い…」

「んだとコラァ!!」

「カメラカメラ!!2人とも喧嘩しないで!」


 そんな茶番は起こるが、急に景色が変わった。


「えっ………?」

「はぁ?」

「…」

「これは…」


 目の前に首だけの化け物が倒れている。そして頭が少し離れたところにコロコロ転がっている。彼は一体何をしたの?


「剛君、リプ」

「もう流してるぞ」


 リプレイをもう一度流す。


「あっ、一応ちゃんと射ているよ。だけど何だろう、この違和感…」


 日和ちゃんが言う事は最もだ。ただ敵に一本の矢を射ただけの話。だけどーー


 急に背筋が凍りつく。そして何故、と思った。何故自分は彼が射る姿を認識できなかったのかと。しっかりとモニターを見ていた。目など離したわけがなかった。瞬きもしないくらいに釘だけになっていた。


 だけど彼はいつの間にか手を離していた。


 この感覚。ゾッとするような何か。これは予想外だね。自分の予想を凌駕する者。そんな人に出会えるなんて。


「3人は生徒会室に戻っておいて。僕から彼に指示しておくから」

「おう」「ん〜」「ハイハイ!」


 僕もその後彼に少しだけ生徒会室の道のりを教えてこのモニタールームを去った。今はただ、彼のことを知りたくてたまらない。


 氷室ちゃんや出雲ちゃんは間違いなく凄かった。だけど彼は凄いでは済まされない。「鬼がかっている」とでも言うべきか。とにかく頭から離れない。


 そして生徒会室な扉を開ける、と同時に入り口から例の彼が入ってくる。


 ちょちょいと小春ちゃんが彼の傷を回復させ、自分も話を始める。

「まあ君がここにくる最後の人だから、説明をみんなにしようとしていたんだ。その前に、ここに来た人達も含めて自己紹介をしよう。僕の名前は神崎光(かんざきひかる)。3年でこの炎清高校の生徒会長だよ」

「同じく3年副会長、月城日和(つきじょうひより)だよ。よろしくね!」

「3年書記〜…姫野小春(ひめのこはる)です〜」

「おい寝るんじゃねーよ。あー、3年の会計の等々力。等々力剛(とどろきごう)だ」


 そして1年の紹介も始まる


氷室唯(ひむろゆい)

出雲(いずもクロエ)


 そしていよいよ彼の番が来た


「1年1組、鏡鬼ケ原(かがみおにがはら)です」


 鏡鬼ケ原(かがみおにがはら)。君はこの先とんでもないことに巻き込まれるよ。だけど安心して。今の君なら必ず乗り越えることができる。


 そして今までにないくらいの大物になるよ。


「鬼ケ原…珍しい名前だね。よし、じゃあいろいろ話したい事はあるけど、まずは単刀直入に言っておこう」


 僕はにっこりと笑いながら自分が1年の時に言われたようにこう言った。


「君たち、生徒会に入らないかい?」

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