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最終話 勇者が、あらわれた

 「俺の髪だと……?」

 「ああ、僕が、君の髪だ」

 「なんで、こんな姿になってんだ」

 「僕は、勇者として、転生して、異世界で、魔王を倒してきたんだ」


 異世界転生!?

 魔王退治!?


 「まだ、2週間もたっていないぞ」

 「異世界とこっちでは、時間の流れが、ちがうようだね」

 「お前がいない間、髪を戻そうと、いろいろ努力したんだぞ」

 「それは、ごめん」

 「妖精どもは、ぜんぜん使いものにならないから、なかなか、髪が戻らなくて」

 「妖精? 妖精は、いたずら好きだから、あんまり頼らないほうが、いいよ」

 「いたずらだと!?」


 妖精達のほうを見ると、手で、口を押さえながら、笑っているようだった。


 「ばいばい」

 「いろいろと楽しかったよ」

 「またお菓子ちょうだいね」


 そう言い、魔法陣の中に消えていく、妖精達。


 「あいつらあああ」


 こんどあったら、ただじゃおかない。


 「それじゃあ、さっそく、僕が、髪に戻るよ」

 「ああ、戻ってきてくれ」


 やっとだ、やっと、俺の髪が、元に戻る。

 失ってわかるものだな、髪の大切さ。


 髪の体が、光だす。


 「じゃあ、僕は、消えるね」

 「ああ……」


 その時、タンスのドアが、思いっきり開いた。


 「だめえええ」


 そう言いながら、杖を持った女性が、出てきた。

 赤い魔女帽子に、赤いローブに白髪の顔の整った女性だ。

 服装から、見て、魔法使いのようだな。


 てか、誰だ、この美人さん!?


 「なぜ、来た!?」


 髪は、驚いているよだ。

 知り合いなのか?


 「勇者様、黙って消えようとするから」

 「僕は、元々、この人の髪なんだ、だから、この人の髪に戻らないといけないんだ」

 「なにを言ってるの……勇者様」


 ほんと、事情の知らないと意味のわからないことだな。


 「勇者様……私と、魔王を倒した時にした、告白の返事を聞いてません」

 「すまないな、僕は、この人の髪に戻らないといけない」

 「そんな……」


 俺もこんな美人さんに告白されたいものだ。


 「なら、勇者様、その人を倒しましょう! そしたら、髪に戻らなくてもいいじゃないですか」


 何言ってんだ、この女!?


 「それもだめだ」


 助かった。

 よく言った髪!


 「なら、その人が、ハゲのままなら、いいじゃない! うっうう……」


 そう言い、泣き崩れる、魔法使いの女。

 泣きたいのは、こっちだよ。


 「んっ!?」


 魔法使いの腰のポーチの中が、輝き出した。


 「なんだ!?」

 「これは……」


 魔法使いは、ポーチの中に入っている、玉を取り出した。

 輝きは、さらに強くなっている。


 「光の宝玉が、光った」


 光の宝玉!?


 「天空龍様から、もらった、あれか!?」

 「ええ、必要な物だからと、渡された宝玉です」


 話についていけない。


 「んっ!?」


 宝玉が、魔法使いの手を離れ、浮いた。

 そして、俺の頭に向かって、突っ込んできた。


 「えええっ!?」


 受け止めようとすると、手をすり抜け、頭の中に入っていった。


 「なにが、起こったんだ?」

 「なっ!?」

 「どうした髪?」

 「君、髪が、戻っているよ」

 「なに!?」


 手鏡を取り、見てみる。

 そこには、失っていた、髪が、元通りになっていた。


 「おお、髪だあああ!」


 久々に、見る、自分の髪だ。

 長さも、バッチリだ。


 「僕が、戻らなくて、元通りになるなんて、なぜ!?」

 「天空龍様は、このことを感じて、私たちに、光の宝玉を渡してくれたのかも、しれませんね」

 「なら、僕は、これから、どうしたら……」

 「戻りましょう、私たちの世界に!」


 そう言い、魔法使いが、魔法陣を発動させた。


 俺も、戻るか、働く生活に!

 ファンタジーな世界に、あこがれてたが、魔法とか、不思議な事は、もう懲り懲りだ。


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