3話 妖精クイーン
「妖精クイーン連れてきました」
「来ちゃいました」
これが、妖精クイーンか。
普通の妖精が、缶ジュースサイズだったが、クイーンは、人間サイズだ。
銀色のティアラに、腰まで、伸びた、ピンクの髪、緑のドレスに、透明の美しい羽。
妖精は、少女のような見た目だが、妖精クイーンは、20歳ぐらいの女性の見た目だ。
「あなたですか? 私にお願いしたいという方ですか?」
「はい、髪を生やしてほしいのです」
「お願いの前に、契約の品を、私は、他の妖精達とは、ちがい、安い妖精じゃないので」
前もって、妖精から、聞いていた。
ショートケーキを1ホールで、渡す。
「おお、ショートケーキ!」
まあ、お菓子よりは、値段は、するが、それでも、髪を戻せるなら、お安いもんだ。
「では、いっちょ、やってみますか」
「お願いします」
妖精クイーンが、杖を振るう
魔法陣が、俺の足元に広がった。
「それ~」
魔法陣が、光り輝き、目を開けていられない。
「お願いは、叶えましたよ」
「おお」
もう目を開けれるみたいだな。
んっ?
なんか頭が、重いような。
「えっと手鏡は……」
「どうぞ」
妖精が、持ってきてくれた。
「ありがとう、どれどれ……」
頭を鏡で、見てみると、白いひげの爺さんが、いた。
裸で、俺と同じハゲだ。
「誰!?」
その爺さんは、俺の頭から、上半身だけが、生えているのだった。
「妖精クイーン! 俺に髪は、どうしたんだ?」
「ちゃんと神様、生やしましたよ」
神!?
この爺さんが!?
なんて罰当たりな、ことしてんだ!
それにしても、この神様、微動だにもしないな。
「神様じゃなくて、髪だ、髪!」
「ああ、そっちでしたか」
「では、もういちど、サービスで、やりますよ」
えっ、神様、このままで、いいの!?
「それ~」
妖精クイーンが、杖を振るうと、再び、魔法陣が、発動した。
うっ、まぶしい。
こんど、こそ、大丈夫だろうな?
「うまく行きました」
「どれどれ……」
鏡を見てみると、神様の頭に髪が生えていた。
「おいいい、どっちに髪を生やしてるんだあああ」
なんで、神様の髪をフサフサにしてるんだ、この妖精!
「ふむ、もう一度、試してみますか」
「いや、その前に、お願いしたいことが……」
「なんです?」
「先に、神様にお帰り、いただいて」