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コクセイの儀

「『ルーテーズの街』に暮らす子供らよ、

今日は良く集まってくれましたね、

それでは、今から『コクセイの儀』を始めますので、

順番を守ってキチンと整列をしながら、

教会へと入って来て下さい。」

定刻となり、教会の職員の人が入り口の大きな扉を開くと、

中から出て来た祭司様が、ボクらをグルリと見渡した後、

落ち着いた声音で、そう告げた。


「「「「「は~い。」」」」」

僕らは、そう返事を返すと、

先着順で並んでいた通りの順番に教会内へと進み始めた。


「前々から、君達には話して来ましたが、

今日の結果は、決して君達の未来を決定付けるものではありません、

あくまで自分が、どんな職業に向いているかを知る為の儀式であって、

今までにも、儀式に依って知ったスキルや魔法とは、

全く関係が無い仕事に就いた人々も、私は大勢知っています。

ですから、不安に思わず、心を穏やかにして儀式へと望んで下さい。」

列の先頭の子が『チョウサ水晶』の前へと着くと、

祭司様が、皆をさとす様な口調で告げる


「「「「「は~い、分かりました。」」」」」


「うむ、宜しい、では最初の子から順番に、

この、水晶の上に掌を下にして乗せて行って下さい。」

祭司様が告げると、

待ち兼ねた様子で、先頭の子が水晶の上へと手を乗せる、

祭司様が、それを確認してから、

水晶が乗った台座に付いているレバーをカチャン!と倒すと、

台座に開いているスリットから、

名刺程度の大きさのカードがスッと吐き出された。


「司祭さま、もう、カードをとってもいいですか?」

先頭の子供が、台座から出て来たカードと、

祭司様の御顔を交互に見ながら、そう尋ねる


「はい、自分の手に取り、確認して見て下さい。」

子供に聞かれた祭司様が、そう返事を返すと、

待ち兼ねた様子で、子供はサッと、その手にカードを持った。


「あれ?司祭さま、なにも書いてないよ?」

カードを手に取った子供が、不安そうな表情で告げる


「はい、今の状態では何も見えなくなっています。

では、両の目を閉じて、

頭の中で『文字よ出て来い!』と強く願って見て下さい。」


「あっ!なんか出てきた!」

最初の内は、半信半疑な表情を浮かべながら、

祭司様のおっしゃった通りに、

両目を閉じてから力を込めていた子供は、

再び目を開くと、その目で自らが握るカードを見てから驚きの声を上げた。


「はい、宜しい、

では、カードに書かれた名前が、

ちゃんと自分の名前になっているかを確認して下さい。」


「はい!ちゃんとボクのナマエです!」


「宜しい、

では、スキルと魔法が何か書かれているかな?」


「はい!『レンキン』と『カジ』のスキルと、

『火まほう』と『フヨまほう』があります。」


「ほう、それは良かったね、

確か、君の御両親は、鍛冶師と錬金術士だったから、

御両親の血を色濃く受け継いでいるのかも知れないね。」


「はい!ボク、パパやママみたいになりたいです!」

子供は、嬉しそうな表情を浮かべながら、

祭司様に、そう返事を返した。



「おい、テースト、どうする?

オレもオマエも、パパたちみたいに、

『金属加工』とか『精密細工』のスキルだったら・・・」

先頭の子供と、祭司様とのやり取りを見ていた

将来、冒険者が志望のモーブスは、

不安そうな表情を浮かべながら、

テーストに、そう話し掛ける


「ハハハ、そんなに気にする事無いよ、モーブス

あの子は偶々、御両親の血を濃く受け継いだみたいだけれども、

大概の場合は、親とは違うスキルや魔法になる方が多いんだから」

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