お約束設定
「『ガタニー』行きの列車が発車するまで、
30分位時間があるけど如何する?」
僕らが暮らして居た町から、
一番近いジャンクション駅である『ニーツ』へと、
到着した僕とモーブスは、
この国の首都『ガタニー』へと向かう魔導列車が、
発車するホームへと辿り着いていた。
「そうだな~・・・まあ、取り敢えずは、
ホームの売店で昼飯用の弁当を買っといて、
コヒ茶でも飲みながら一休みしてようよ」
ローカル線の無人駅である、僕らの町の駅とは違い、
利用客が多い、この駅には、
ちゃんと、飲み物や食べ物、新聞、週刊誌などを取り扱う売店が、
各ホームへと配備されている
「オッケー!そうしよう、そうしよう、
まだ、時間的には早いけど、
『ガタニー』までは5時間ぐらい掛かるみたいだからな、
美味そうな駅弁を買っといた方が、
後々の楽しみが増えて良いよな!」
「うん、事前に僕が調べた情報だと、
『テラドマの街』産のシャケを使った
『シャケづくし弁当』が一番人気らしいよ」
「シャケ?それって何なんだ?」
「ああ、モーブスは聞いた事が無かったか、
シャケっていうのは、マスに似た魚で、
マスよりも大ぶりで、油が乗ってて美味しい魚なんだよ、
『シャケづくし弁当』っていうのは、
そのシャケを塩焼きにした物や、フライにしたもの、
それから、蒸してから身を解した物なんかがご飯に乗せてあるらしいよ」
国の外周部をグルリと高い山脈に囲まれた
ここ『ゾパン島国』では、海との行き来が出来ない為、
一般的には海魚を食べる機会が無いのであるが、
この国で唯一、山脈の麓近くにある『テラドマの街』では、
日本の琵琶湖ほどの大きさを持つ湖『銅鑼湖』から、
海魚が収獲出来るのであった。
聞いた話では『銅鑼湖』の水は塩辛いとの事なので、
山脈の下で、地下水脈等で海と繋がっていると思われる・・・
「へ~、マスだって結構大きいし、油も乗ってるのに、
それ以上ってのか?」
「ああ、そうみたいだよ、
それに、シーズンによっては、
サービスで、シャケの卵の醤油漬けも乗せてあるらしくて、
それがまた絶品な味わいって雑誌に書いてあったな」
「マジか!そりゃ食ってみてぇよな!
それで、今は、そのシーズンには入ってるのか?」
「うん、シーズン的には、そろそろ終わりに近いらしいけど、
冷蔵してある物が、今月一杯までは乗ってるらしいね」
「よっしゃ!そりゃ絶対買わなきゃな!
醤油漬けって事は、生ものに近いんだろうから、
買ったら『ハウス』に入れといてくれよな」
「うん、そうだね、
列車の中は暖房が利いているだろうから、
一応、僕の『ハウス』に収納して置いた方が良いだろうね」
『ハウス』というのは、
勿論、僕のスキルである『アイテム・ウェアハウス』の事で、
スキルの発現当初は、僕が日本に居た頃に入手したした物を、
自由に出し入れできるスキルかと思っていたら、
こちらの世界の品物も、生きてる動物や虫など以外なら、
自由に出し入れできる事が、後に判明したのである、
しかも、中に入れている物は時間が停止している様で、
生ものなどを入れても腐らない事が、
モーブスと共に行った数々の実験にて判明していた。
なお、この能力が他に知られると、
僕の就職先は、強制的に運送業一択とされる恐れがある為、
知っているのは、僕本人とモーブスのみである事を、
ここに追記して置く・・・




