へっちゃらさ~直ぐ治るから~♪
「ま、まあ、その内に落ちてくるさ、
そんじゃ、オレが次の魔法をためして見るかな・・・」
モーブスは、ボクの重力魔法で、
遥か上空へと消え去って行った石の事は無かった事として、
次の魔法の検証へと入る様だ。
「うん、次は『白魔法』だよね?
どうやって試すつもりなの?」
「そりゃ、じっさいにキズをこさえてから、
治してみるしかないだろう」
モーブスは、そうボクに告げると、
ズボンのポケットから小さなナイフを取り出した。
「それって確か、前にモーブスが小父さんから貰ったって、
ボクに自慢してたナイフだよね?」
「ああ、ウチの父ちゃんの『ホウシン?』とかで、
コドモのころから、ハモノのキケンセイとかいうのを、
知っといた方が良いんだってさ」
「まあ、ボクも、どちらかと言えば、
小父さんの意見に賛成かな?
子供の頃から刃物の危険性を認識していれば、
将来、それで他人を傷付けようとは考え無くなるかも知れないからね」
「うん?他人をキズ付けないのは当たり前だろ?」
「その、当たり前が分からない大人が結構居るんだよ」
「ふ~ん、オトナなのにナンカ変なの~、
まあ良いや、そんじゃ、
ちょこっとユビでもキズ付けてみるかな?」
「モーブス、ちょっと待った!」
「な、何だよ、テースト」
モーブスは、恐る恐るといった感じで、
自らの指にナイフを近づけて行っていたところだったので、
突然、大きな声で待ったを掛けたボクに驚いた様子だ。
「最初は、自分の治療じゃ無くて、
他の人からにした方が良いと思うよ?」
「何でだよ?」
「慣れてくれば出来る様になるのかも知れないけど、
最初の内は、痛くて魔法を使う為の集中が出来ないんじゃないのかな?」
「言われてみると・・・」
「だろ?だから、指の傷はボクが作るよ」
ボクは、モーブスの方へと、
ナイフを受け取る為に右手を差し出しながら、そう告げた。
「え?テーストがキズを作るのか?
い、いや、もし、魔法がつかえなくて、
キズが治らなかったらワルいから、いいよ」
モーブスは、ボクの傷が治らなかった場合の事を考えて、
遠慮している様だ。
「大丈夫だって、
さっきだって、ちゃんと風魔法が発動していただろ?
魔力の使い方は、もう分かっているんだから、
今度は、手から出た魔力で傷を覆いこむ様にイメージして、
頭の中で『治れ~!』て考えれば良いだけさ」
「ま、まあ、それはそうなんだろうけどさ・・・」
「ほら、さっさとナイフを渡して、
試してみようぜ!」
ボクは、モーブスへと向って差し出した右手を、
ヒラヒラとさせながら、そう告げる
「う~ん・・・分かったよ!
そんじゃ、頼むな!テースト!」
モーブスは少し逡巡する様子を見せた後、
覚悟を決めた様にキッと表情を引き締めると、
ボクの掌にナイフを乗せながら、そう言った。




