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第三話 スタメン

オープン戦も終盤に差し掛かり各チーム今年一年を戦うスタメンを揃えてきたころ、なかなか大阪のオーダーが固まってこない。

毎試合、下位打線はともかく1番、さらには4番までもが決まってこない。




そんななかフェニックスの監督、小田嶋は余裕であった。


「心配するな。開幕までにはしっかりしておくから。」


「しっしかし・・・」










そして迎えた開幕戦前日




「じゃあ開幕戦オーダーを発表しようかな。」


というと監督はホワイトボードに先発オーダーを書き始めた。


1番 二塁 長浜

2番 遊撃 西本

3番 左翼 片山

4番 一塁 戸塚

5番 DH アレックス

6番 中堅 海藤

7番 三塁 河元

8番 右翼 近井

9番 捕手 沢木













「よお、野山じゃあねえか。どうかしたか?」


「どうもこうもないさ。何で俺に相談せずに、勝手にオーダーを決めた?しかも開幕戦直前に。」

こんなことを言っているが、顔では笑っている。



「で、何を聞きたいんだ?」


「まあ、いろいろあるんだが…、まずは1,2,3番だな。なぜ昨年は殆ど代走の長浜を1番に起用した?」




「これを見てみろ。」

というと小田嶋は一枚の紙を出した。

「何だ、これは?」

「長浜の二軍での打撃成績だ。野山 おまえは二軍監督やってたから分かるだろう。」


確かに野山は長浜の二軍時代を知っている。

しかし彼の打率は二軍では三割程度打っていたが、そこまでヒットを放っていたわけではない。

「しかし、一番を任せるまでの打者か?・・・・・

あっ!」


「そうだ。あいつの打率は三割程度だが、出塁率は四割をゆうにこえているんだ。それにあの際だった足。あいつを一番に起用しない訳はないだろう。」

そう言うと小田嶋は笑った。


「ああそれはわかったから、次は3番の片山だ。なぜ万年二軍のあいつを三番に起用した?」


「あいつはなぁ…

バントがうまいからだ。」


「・・・・・・??」

不思議に思うのもわけはない。3番といえば、チャンスに強い強打者が入るものである。


「一番二番を見てみろ。どちらも出塁率が高いだろう。だったらその後にバントのうまいやつを入れるのが筋じゃあねえか。」


「は はあ・・・」


野山はそれでも腑に落ちない様子だ。


「まあ見とけって。それからでもおそくはないだろう。」







そして開幕戦の日を迎えた。


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