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第二話 キャンプ

監督 小田嶋安信

監督としては始めてのキャンプ







このチームのことを少し説明しよう。


大阪フェニックス

本拠地 大阪海浜スタジアム

ファンの多さと熱気は間違いなくリーグナンバー1。 しかしそのチームの戦いぶりはというと不甲斐ないを通り越している。

最後に優勝したのは何と30年前。小田嶋がまだ現役のころだ。

それから30年はAクラスがわずか2回。さらに昨年までは5年連続最下位。間違いなくリーグのお荷物である。

このチーム投手陣は充実しているものの打撃陣はさっぱりであった。何と3割打者がおらずチーム打率は2割第前半。それなのにフロントは何も分かっておらず、破壊力ばかり求め外国人を獲得する。それによって若手は育たずこの有様。シーズン終盤になると、自慢の投手陣も耐え切れずに崩れ大敗を繰り返す。



しかしこのようなチームでもスタープレーヤーというものは存在する。


福永孝一郎 投手 36歳

まぎれもないフェニックスのエース。

通算勝利は186勝,防御率2.55 これがフェニックスではなく他のチームであれば、ゆうに200勝を達成してるであろう。

もう一人

戸塚真司 内野手 36歳

最近は衰えもあり代打での出場がほとんどだが、通算打率3割ちょうど本塁打451 打点1052








「野山〜データはまだか?」

やがて一人の男がやってきた。野山浩二打撃コーチ 小田嶋とは一緒にプレーしたこともある。

「ほらよっ 昨年の選手全員のデータ。」


「サンキュー 助かるよ。」


と一言いうと彼はその紙を持って奥にある監督室へ消えた。






次の日ブルペンへ行くと、ちょうど3人の投手が投球練習を行っていた。



一番奥にいるのが金井武志21歳の先発投手である。彼の持ち味はサイドスローから放たれる150?の速球にあり、昨年7勝をあげた期待の右腕である。だが彼の欠点はその気性の荒さにあった。昨年暴言での退場が2度あった。


真ん中は佐藤隆雄左のスリークオーターからキレ味抜群のスライダーを投げる中継ぎ投手である。昨年は何と75試合に登板し防御率は1.05。中継ぎエースである。

一番手前にいるのは、大川雅史 右のエース 140?台後半と100?前後のスローカーブで惑わすベテラン投手。




彼らの投球を見ている間に目的の男がやってきた。




東条栄一郎 今季常勝球団ホワイターズからやってきた日本球界最高のクローザー。

MAX155?の速球と140?台のフォーク、それに右打者の内側に鋭く食い込むシュート、そして抜群のコントロールを持つ。






「よぉ〜 東条じゃないか。」

佐藤が話し掛ける。彼らは同期で大学時代はチームメイトであった。





俺の頭の中に勝利の方程式が浮かびあがった。










キャンプは終わりオープンに突入する。


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