プロローグ
お時間があれば、是非並行して執筆している「鬼」もご覧ください。
迫り来る恐怖に怯えながら、二階堂神は王宮の中を走り続ける。
あの時の叫び声がまだ頭の中でガンガン鳴り響いている。
「いつまで逃げるつもりだ…」
明らかに声が近くまで来ている。
ーーーもう無理かもしれない。
ぐちゃぐちゃと不気味な音を奏でている。やつは近づいている。
不意に横を紅の刃がかすめた。
いつものように悪態を吐く余裕などない。
「グッフォ…エ」
次は背中に命中した。口の中が鉄の味でいっぱいになる。背中から全身にとてつもない熱が広がってきた。
アツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイ
頭の中ではもう何も考えることができなかった。
足を動かしたくない。頭も働かせたくない。何もしたくない。でも、でも、でも、でも、
ーーーー死にたくない。
目の前に廊下の行き止まりが現れた。
ジンは、腹にかざあなを開けているのにもかかわらずかすかに笑った。
「残念だったな!今回で48回目だぜ!コンティニューだ!じゃあな化け物!」
何本もの刃が飛んでくる。壁まであと少し。少しでやり直せる。またもう一度。もう一度。
ーーー俺は、挑戦し続ける。 何度でも。報われるまで。何度でも。何度でも。何度でも。何度でも。何度でも。何度でも。なんどでも。なんどでも、ナンドデモ、ナンド、ナンド、ナン、ド……
ジンは、時の流れに飲まれた。努力は報われないと知っていながらも。何度も時を繰り返すのであった。
運命からは逃れられない。