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僕シリーズ

カプリチョーザで背筋がゾクゾク

作者: 真言☆☆☆

 僕は、美味しいものを、彼女と一緒に食べるのが大好きです。

 幸せな気分も、味わえます。


 あの日も、今は無き高茶屋のサンバレーのカプリチョーザで

セットのパスタを彼女と少しずつ取り替えっこして、ニコニコと

パクパク食べていました。


 突然、背筋がゾクゾクした。


 おかしい、お店の暖房は良く利いているし、風邪をひいた覚えもない。

 不思議に思いながら、後ろを振り返ったら、少し離れたテーブルの

女の子の二人組の一人が僕を恨めしげに睨んでいる。

 ナイフのように突き刺さる視線・・・・・。

 眼があった瞬間、僕はすぐに視線をパスタに戻した。


 元カノだった。


 振ったのはあちらだけど、振るようにしむけたのは僕かもしれない。

 あちらも新しい彼と一緒なら、良かったのに。

 僕は、元カノが見ているのも知らずに、いちゃついていたわけだ。


 恐怖心が僕を支配する。


「どうしたの。」

 不思議そうに尋ねる彼女に、本当の事を言えるはずがない。

 言ったが最後、こっちに殺される。

 さらに恐怖心が増大する。

「いやあ、今日はあまり待たずに座れて良かったなあと思ってさ。」

 何食わぬ顔をするしかない。

「そうだね、ラッキーだね。」

 彼女は美味しいパスタに夢中だった。

 僕はもう後ろを振り返ることなく、パスタに集中した。


 背中のゾクゾク感は、まだ消えない。


 無事パスタを完食し、今度は二人でピザに集中することになった。

 

 そのうち、ふっと背中のゾクゾク感が消えた。

 それでも、後ろを振り返ることはできなかった。

 

 恐る恐るレジの方をチラ見すると、元カノが女友達と代金を支払って

いるのが見えた。

 元カノはプライドが高いのか、大人になったのかわからないが、

ラッキーだった。

「あら、久しぶり。今度はこの女と遊んでいるの。」なんて

帰り際に元カノに言われた日には、修羅場になる。

 血の雨が降るかもしれない。


 それを確認した後、すぐさまピザに集中しなおした。

 決して、顔を上げなかった。

 完全に視界から消えるまで、上げることができなかった。


「どうしたの、一言もしゃべらないで。」

 不思議そうに聞く彼女に、僕は彼女の瞳を熱く見つめて

渾身の笑みで答えた。

「幸せな気持ちで、胸が一杯なんだ。」

「まあ、よく言うよ。」

 口ではそう言いながら、彼女の小鼻がピクピク動いていた。

 機嫌が良い証拠だった。


 本当は、恐怖心で胸が一杯だったことは、口が裂けても

言えなかったのである。


みなさんは、こんな経験はありませんでしたか。


女は幾つもの顔を持つ。

女の秘密は、アクセサリーとか言いますが、男って、本当駄目ですね。

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