子竜は今日は外出中3
とりあえずカフェから移動した。
頼んだ食べ物も包んでもらったんだ。
飲み物もったいないけどね。
「結愛、昼寝しなくて大丈夫か?」
クロお兄ちゃんが言った。
「別に、大丈夫なの。」
私は言った。
相変わらず、クロお兄ちゃんに抱き抱えられての移動です。
それにしても、不気味な男だった…ってあの男が人身売買の犯人?
私にその価値ないか。
やっぱり可愛い子対象だよね。
「クロお兄ちゃん、魔殿ってなにするところなの?」
気をとりなおして聞いた。
もうひとつさっきとにた建物があったからだ。
規模はすこしちいさい。
「ああ、こっちは世界魔王の魔殿か…魔王を奉ってるだけだぞ、とくに嵐の魔王は風と海の属性だから、動く事と交流することにかけて奉ったらしい、参拝していくか?」
クロお兄ちゃんが言った。
「あそこもさっきの光の信者がいるからいい。」
私は言った。
やっぱりのぼりが立ってるし。
「そうか?じゃ、少し昼寝しろ。」
クロお兄ちゃんが例のトートバッグを出した。
こ、これで寝るの?
不味くない?
「クロお兄ちゃんの抱っこがいいの。」
私は言った。
うん、冗談を本当にしちゃダメだ。
「結愛、可愛い事を言ってくれるが…つけられてるんだ。」
クロお兄ちゃんが言った。
つけられてる?
さっきの変な人?
それとも刑事さん?
「あの~。」
声をかけられた時には、テイクアウト品一緒にトートバッグのなかだった。
「なんのようだ?」
クロお兄ちゃんが威圧感バリバリでいった。
「あ、あの~…お願いが…。」
気の弱そうな声がした。
「お願い?」
クロお兄ちゃんが不機嫌そうに言った。
私は心配になってクロお兄ちゃんが大事そうに肩にかけてくれた
トートバッグから顔を出した。
「あの~……モデルになってくれませんか?」
気の弱そうな男性が言った。
色調豊かな格好奇抜って言うのかな
そんな格好をしている、小柄な男性がいた。
「結愛か?目的は?」
クロお兄ちゃんが言った。
「え?……夢は服飾デザイナーで近い目的は学校祭の服飾コンテストで上位にはいることです。」
男性はとぼけた事を言った。
すごいなある意味会話成立だよ。
「……そうか、ガンバレ。」
クロお兄ちゃんは夢みる少年竜を見るような暖かい眼差しで男性を見た。
竜王様だもん、頑張る子(竜じゃなくても)にそれくらい言うよね。
え?人も言うって?
そうなんだ?
「あの、あなたの素晴らしい肉体美を僕の服でいろどってみませんか?お願いします!」
男性は言った。
クロお兄ちゃんの身体目当て?
たしかに細く引き締まった筋肉の身体に
かっこいい精悍な顔って言うのが人型の特徴だけどね。
「すまない、少年、オレは忙しい、いつもはこのシュレイルではなく、ハタヤ竜人国で役目を果たしているから、そうそう、こちらにはこれぬのだ。」
クロお兄ちゃんが男性の肩を叩いた。
「そうですよね、やっぱり。」
男性はため息をついた。
「…すまないな。」
クロお兄ちゃんが言った。
「お洋服のコンテストがあるの?」
私は聞いた。
「わ?だ、だれ?ど、どこ?」
男性は慌てた。
「結愛、寝てなかったのか?」
クロお兄ちゃんが言った。
「うん、大丈夫なの、出してほしいの。」
私は言った。
クロお兄ちゃんが出してくれると
テイクアウト品で服が汚れてた。
「ああ、ソースまみれなの。」
私は汚れたレースの裾を見ながら言った。
「美味しそうな匂いだな。」
クロお兄ちゃんが言った。
食べられちゃうの?
冗談だよね。
「あ、あのー、友達が子ども服のデザインしてるのでよかったら。」
男性が言った。
「しかし…。」
クロお兄ちゃんがためらった。
「あいつも刺激を受けると思うし。」
男性が言った。
「私、デザイナーさんのアトリエいってみたい。」
私は言った。
気持ち悪いし…デザイナーさんのアトリエ興味あるもん。
女だからね、華やかなイメージかな?
「…では、申し訳ないが、よろしく頼む。」
クロお兄ちゃんが言った。
本当に楽しみだな…アトリエなんて素敵な響き…。
フリフリは可愛いと思うけど…。
私はもっと機能的なほうがすきなんだよね。
素敵な服がいっぱいありそう。
クロお兄ちゃん回り道させてごめんね。