子竜はご褒美をもらう。
えーと、アーティンデル皇帝陛下。
いつの間にこんなの準備したんですか?
「子竜ちゃーん。」
皇帝陛下の一番上のお子様のレイナ皇女が抱きついた。
わー、この竜果草の山半端ないわ。
ちゃんと生えてるから新鮮ですって?
「どうだ、子竜の栄養にはぴったりと聞いたぞ。」
アーティンデル皇帝陛下が言った。
ま、そうですけど、なんでお子様方の遊び場兼なんでしょうか?
「そなたはまだ、成竜ではないと聞いたぞ。」
アーティンデル皇帝陛下がまだ竜化してない私の顎を持ち上げて目を合わせた。
「いつ、成竜になるかは自分次第ですから。」
うん、そうなんだよね。
心が問題なのは竜族の特徴なんだ。
でも、身体は限界があるから。
一生ドラゴンパピーなんてこともある。
大体、きちんと成長しますが。
逆に身体が幼いのに大人と言う極端な例もあったらしい。
とくに時竜が起こりやすいんだよね。
「そちらに育児袋も準備してある、子供らが入ってしまっているが。」
皇帝陛下が指した先には確かに育児袋っぽいものがついたてに下がってた。
ああいうのは確かに子供の餌食で、お子様方とその遊び相手で満杯らしい。
…あれ?あの子は…。
「一緒に遊ばないんですか?」
私はその男の子に近づいてみた。
ウーリディシス皇太子殿下だ。
どこかしょぼんとしてる。
「ちかづかないで!お母様~。」
皇太子殿下が泣いた。
ああ、オルシア妃捕らえられたもんね。
「ウーリディシス、なくでない、母親はそのうち出てくる。」
皇帝陛下が言った。
まあ、あのくらいならね。
「帰ってくるんですか?お父様?」
まだ、泣きながら皇太子殿下が聞いた。
「帰ってくる、母親の実家に同行すればよい、お前も重い役目で大変だったな。」
アーティンデル皇帝陛下が言った。
ええ?まさか?皇太子すげ替え?
「タステアンデーウスが後は受け継ぐ、お母様と実家で沢山遊んできなさい。」
タステアンデーウス皇子って皇后が産んだ、まだ赤子じゃないですか?
「お母様が役目は果たしなさいって。」
ウーリディシス皇太子殿下あらため、ウーリディシス皇子が言った。
戸惑ってるみたいだ。
「いいんだ、お前はお母様をいとうのが役目だ。」
アーティンデル皇帝陛下が微笑んだ。
わー、目の前で政権交替?あったよ。
「側室の座が一つ空いた、早く成長せよ、結愛に与える約束をしよう、それがご褒美だ。」
ウーリディシス皇子から向き直ってアーティンデル皇帝陛下が微笑んだ。
「え?結構です。」
私は断った。
「拒否は許さない。」
アーティンデル皇帝陛下が微笑んだ。
ええ?いやだよ。
そんなご褒美いらないよ。
ここから解放してもらうのが一番のご褒美です。
側室なんてなりません!




