子竜は今日もかまわれる2
今日は、人の街につれていってくれるそうです。
じゃ、人型とらなくっちゃね。
「竜王様、人型とるの?」
私は育児袋の中から確認した。
「ああ、ちょっとまで。」
竜王様がなにか私の頭につけた。
あれ?なんかますます縮んでる?
「やっぱり、結愛ちゃん人になっても可愛いわ♪」
セリアお姉さんが育児袋から私を出した。
「セリアお姉さん、どうなってるの?」
私は言った。
「結愛ちゃん、この服にしようか?」
薄紫のフリフリレースのワンピース子供用をセリアお姉さんが出した。
わー、かわいいけど、私、それ入らないと思うけど。
いつもはもっと機能的な格好だし。
似合わないんじゃないかな?
「リボンとあってるし良いわよね♪」
セリアお姉さんがそういって私の服を脱がしてそのフリフリを着せようとした。
「セリアお姉さん、着られるの。」
私は言った。
友人の栗楽花志甫が言ってた。
異世界トリップ後生活での基本は異世界の人に面倒かけないことだって
王族、貴族に保護されるのは論外。
一人で暮らすのが一番面倒じゃなくて。
一般人のところで働きながら持ちつ持たれつ共同生活がいいと言ってた。
栗楽花家って
異世界召喚、トリップ体質だもんね。
異世界生活想定訓練もするらしいし。
り、竜王様に育児袋に保護されるってアウト?
え?竜の里だよ?
竜王様は人の王族と違うもん。
保護されてもセーフだよね?
アウト?今度あってら聞いておこう。
「キャー、可愛いわ♪このお帽子被ってっと。」
セリアお姉さんが同色のお人形がかぶるようなレースのボンネットを私に被せて
姿見もついでに出して私に姿を見せた。
そこにはちび幼児が薄紫のフリフリワンピースとやっぱり、フリフリボンネットに埋もれてた。
…どっかでみた…ああ、アンティークのじゅなんとかとか言う人形だ。
まあ、人形のほうが可愛いけど。
「セリアお姉さん、これどういう。」
私は呆然とした。
「人型になれるアイテムがあってね、結愛ちゃんに着けたリボンがその一つなの。」
セリアお姉さんが言った。
オー!ノー!
ワタシ、ヒトガタ、チビヨウジデハアリマセン。
ちゃんと言わなければ。
「結愛、行くか。」
私は抱き上げられた。
腕は人だ。
見知らぬ日に焼けた
長身の精悍な短い黒髪に黒目の男の腕のなかにいた。
戦士らしく、剣が腰にある。
だ、だれ?知らないひとだよね?
「結愛?わからないのか?」
男性が言った。
「…もしかして、竜王様?」
私は小首を傾げた。
「キャー、結愛ちゃんかわいい!」
でセリアお姉さんが言った。
「セリア、落ち着け。」
竜王様?が言った。
「可愛いものは可愛いんです。」
セリアお姉さんが言った。
私、このちび幼児時代は大分前に人型は卒業したんですが。
「結愛、名前を呼んでくれ、クロルリードだから、クロとでも。」
竜王様が言った。
うん、竜王様だよね。
お外で竜王様は不味いから名前教えてくれたんだね。
と言うことはもしかして
この世界の人たち竜いるの知らないのかな?
「クロ様、歩けます。」
私は言った。
歩きたいよ、筋力つけなきゃ。
「様はつけるな。」
竜王様が言った。
歩くほうはスルーなの?
というわけで、外回りの竜にのせてもらって
目立たないところへ下ろしてもらった。
考えてみれば竜の上に竜(人型)って変だよね。
でも、外に出て驚いたよ。
空が紫色だよ。
わー、志甫に情報収集してから動くこと!
これ鉄則だよ。
って言われちゃうよ。
こりゃ、本当に異世界だよね。
思わず、竜王さまにしがみついた。
「結愛、どうした?怖いのか?」
竜王様はそういって
私の頭を撫でた。
「大丈夫なの、街いくの。」
私は言った。
人のすむところにいって
情報収集しないとね。
竜の里こもってないで…って
育児袋にいれられてるからね。
無理かも…ガンバろう!