子竜は悩みまくる
ああ、クロお兄ちゃんがいないと…。
仕事が手に付かないよー。
「二瀬騏麟、ボッとしてないでください。」
こっちの地竜の騏麟に言われた。
クロお兄ちゃんみたいに黒くないし…里以外は
人型とってるから茶髪の若者なの。
確か谷田 誠騏麟だよね。
「すみません。」
私は頭を下げた、ダメだ、お仕事だよね。
「わかればいいんです。」
谷田騏麟が言った。
私は二次界のセカラータ大陸を担当してんです。
お父さんのお母さんの実家がアタランテ帝国の奥の宮なんです。
お祖母ちゃん半端ないお姫様なんですよ…お祖母ちゃんはね…。
「以上で報告は終わりです、異世界帰りでたいへんでしょうが、仕事はきっちりおねがいしますね。」
谷田騏麟にくぎを刺された…。
ああ、ダメだ…どうしても…クロお兄ちゃんの事を考えちゃうの。
騏麟の仕事は外に出てる里の竜のサポートや情報収集なんです。
…平和なこの世界でどんな役に立つか分からないけど…。
でも…アリアスト大陸に新しい世界魔王が生まれたのはいいことだよね。
しばらく、代理の魔王が世界魔王してたからね…。
世界の自然環境はその魔王が大きくなるにつれて…どんどんよくなるよね。
大きくかぁ…。
私がおおきくなったら…クロお兄ちゃん…竜体見てくれるかな?
あんなめんどうな父親がいるから考えなおされたかな?
クロお兄ちゃんの周り…美竜ばっかりだしな…。
ああ、落ち込むよ。
「ユメッピ、お疲れ様。」
ハトコの明音姫姉さんにいわれたよ。
「ただいまなの。」
ああ、帰って来たの…でも寂しいの。
今、明音姫姉さまのいる奥宮にお世話になっているの
明音姫姉さまは今の皇帝陛下の第一皇女で正妃様の子供だから
皇太女なんです。
ひいお祖母ちゃんが時竜なので…
強く時竜の血がでたお祖母ちゃんが時竜の二瀬のおじいちゃんに恋して
押しまくって出来たのがお父さんと優衣叔母ちゃんです。
明音姫姉さんの方は時竜の血は多く出てないんだよね。
「ユメッピ、なんかため息ついた、悩みごと?」
明音姫姉さんが言った。
悩み事は…クロお兄ちゃん…違う…好きだけど…。
やっぱり…わかんないよー。
会いたいよ…。
「また、ため息ついた恋バナ?」
明音姫姉さんが嬉しそうに言った。
オリエンタルな居間には優秀な侍女さんたちがお茶を用意しだした。
あの…夕飯前にそんなにお菓子消費する予定はないんですが…。
干しなつめや干しブドウ、くるみやレモンピールの蒸しカステラにカスタードまんじゅう…あと新鮮なフルーツ、中国茶みたいな細工茶が綺麗な薄いグラスの中で花のように広がった。
「いやん、ユメッピも大きくなったわね。」
明音姫姉さんが両手を組んで言った。
なんかすごくうれしそうなんですが?
結局洗いざらいねほりはほり聞きだされ…ばれまくりました。
「じゃ、ユメッピの成年の儀の相手はその異世界の地竜王様ということで決定ね。」
ものすごくうれしそうに言われたよ。
「ええ?私、別にやらないよ、時竜だし。」
あの儀式って露出高い衣装きて、結婚相手といきなり契る儀式じゃない。
成年、即結婚は昔の制度になりつつあるよね。
まあ、高貴な人だとあっさり、成年の儀で契った人と結婚じゃないみたいだけどさ。
「五月子おばさまもきっと喜ぶのに。」
明音姫姉さんがお菓子を優雅に食べながら言った。
五月子お祖母ちゃんは私の祖母です。
やっぱり、この奥宮にいるの。
「クロお兄ちゃんは忙しいんだもん。」
うん、きっとこないよ。
あの人身売買の事も解決してないし…。
「そんなこといってるととられるわよ。」
明音姫姉さんが言った。
と、とられちゃうのー。
そんなのやっぱりいやだぁー。
ああ、涙がでるよー。
「ユメッピ?ごめんね、意地悪いって。」
明音姫姉さんがあわてて涙をハンカチでふいてくれた。
でも止まらないよー。
クロお兄ちゃん…会いたいよー。
私、クロお兄ちゃんがやっぱりすきなんだ?




