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子竜は抱き込まれる1

ねぇ、クロお兄ちゃん。

なんか違うんじゃないんですか?


「結愛、どうしたんだ?」

クロお兄ちゃんが私を抱えたまま言った。

「なんで、抱き抱えてるの?」

私は竜果草を頑張って食べながら言った。

「結愛をとられないようにだ。」

クロお兄ちゃんが私の頭にキスをした。


地竜の里だもん、私を害する人なんていないよ。


「あらあら、雄竜の独占欲ですか?」

セリアお姉ちゃんが言った。

「……セリア、お前は最初から…結愛が子竜じゃないって知っていたのか?」

クロお兄ちゃんが言った。


「最初は、ドラゴンパピーだと思っていました。」

セリアお姉ちゃんが言った。

「いつ、気が付いた?」

クロお兄ちゃんが竜果草を口に含んで私に食べさせながら言った。


これじゃ、雄竜の求愛行動だよ。


「竜王様が育児袋に囲いこんだ時点です。」

セリアお姉ちゃんが言った。


ええ?なんでさ。


「つまり、オレの態度はおかしかったと言うことか?」

クロお兄ちゃんが言った。

「ええ、求愛行動中の雄竜のようでした、どう見ても。」

セリアお姉ちゃんが言った。

「き、求愛行動中なの?」

私はジタバタ手を動かした。


困るよ、私、時竜東竜公なるんだもん。


「結愛?どうした?」

クロお兄ちゃんがますます抱き込んだ。

「く、クロお兄ちゃん、落ちついて。」

私、まだまだ、そんな気分じゃない。


麒麟としても未熟だし。

竜王様の伴侶としてふさわしくない。


「落ち着く?お前さえオレの腕の中に入れば落ち着いてるぞ。」

怪訝そうにクロお兄ちゃんが言った。

「そうよね、問題ないわよね、雄竜にとっては、竜王様が離さない時点で、これは噂の竜王の伴侶を見つける本能なんだと思いました。」

セリアお姉ちゃん微笑んだ。


あ…それなんか聞いたことがある…子竜の頃から感じる人が多いらしい、

囲うって聞いた…昨夜は抱き込みが激しかったな…一線は越えてないけど…。


「そうか、では問題ないな?オレは目下結愛に求愛行動中だ、他の雄竜には爪先一本ふれさせたくない、決闘はしたくないが本能には逆らえないから、なるべく、雄竜は近づくな。」

クロお兄ちゃんが私の手の指をなめはじめた。


「クロお兄ちゃん、やめて。」

私はなんとかクロお兄ちゃんの腕の中から逃げようとした。

「結愛?オレが嫌か?」

クロお兄ちゃんが淋しそうな声を出した。


…だ、ダメだよ、私、時竜だもん。

もとの世界に帰るんだもん。


……あれ?なんか、忘れてる?


「そう言えば、ゼストリーアさんから連絡来たの?」

私は誤魔化したくて話題をかえた。

「………結愛、わかった、まだ、少しは待てる…ゼストリーアからはまだだ。」

クロお兄ちゃんはそう言ってこんどはほっぺをなめた。


わーん、クロお兄ちゃんがエロエロしいよー。


「結愛は本来どんな仕事をしていたんだ?」

クロお兄ちゃんが言った。

「えーと…麒麟だよ、二次界でしてたの、アタランテ帝国って言うところにお祖母ちゃんがすんでいて、そこ中心に動いていたんだ。」

うん、そうなんだよ、お祖母ちゃんもだけど、世話になってる人たち心配してるだろうな…。


「結愛の世界にも帝国があるのだな?この世界はティエンイ帝国という帝国がある。」

クロお兄ちゃんが考え深そうに言った。


麒麟はスルーですか?

まあ、麒麟自体は麒麟公以下そこそこいるしね。


「…アレシマ軍州国とめんどくさいことに…まあ、いいか……古ハタヤ王国が…多分。」

なんか、クロお兄ちゃんがブツブツ言ってる?


「悩みごとなの?」

私はお腹の上にあるクロお兄ちゃんの手に手を重ねた。

「まあな、このハタヤ竜人国創建時、元々あった大国ハタヤ王国から土地をもらったからな。」

クロお兄ちゃんが私の首もとに顔を埋めて言った。


つまりこういうことらしいここにあった

ハタヤ王国と言う大国が腐敗して

独立戦争が各地で起こり

その混乱に乗じて竜と竜人と竜を慕う人たちがこの地にハタヤ竜人国を造ったんだそうだ。


ハタヤになった理由はその時国を憂いた、お飾り状態だった国王陛下が代表者になったからなんだって。


そして、元々のハタヤ王国の連中に

その時の代表者にとある竜王様が言いはなったらしい。


『いつでも相手になってやる、取り戻せるものなら取り戻してみよ。』


完璧挑発だよね。


まあ、竜族全体の総意の元に言ったらしいけど。


それ以来、小さくなった古ハタヤ王国は

チャンスを見つけて仕掛けてきてるんだけど。


例の挑発は世界中独り歩きして、

ハタヤ竜人国人は刺激すると恐ろしい

と言うことになったらしい。


で…今も…ティエンイ帝国とアレシマ軍州国が不味いことになってて、古ハタヤ王国の暗躍が見えるんだってさ。


「麒麟から連絡があってな、かなりまずいらしいな、おそらく、止めないと古ハタヤ王国連中がティエンイ帝国をうしろだてに戦をハタヤ竜人国にしかけるかもしれない、国王陛下と相談しないとだが…。」

クロお兄ちゃんが私の向きをかえて目をのぞきこんだ。


「いってらっしゃい。」

私は手を振った。

「結愛も連れていく、人化しといてくれ、まったく、王宮はなんだって人化が原則なんだ…正装もあつっくるしいし。」

クロお兄ちゃんがそう言って

今度は竜果草アメを口移しした。


ええ?私も行くの?

というかクロお兄ちゃんの

エロエロしい態度は当分続くの?

私、まだ、クロお兄ちゃんが好きかわかんないよー。


人身売買のほうも気になるのに!

思い出したんだよねフロリ商会っていってたのを、あのシュレイル交流国にまだ、潜伏してるのかな?

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