異世界生活経験者な友達は今日も子竜を探す③
うーん、見つからない…。
本当にどこ行ったんだろう。
『志甫、いつになったら戻ってくるのですか?』
イライラしたイルハースが通信してきた。
不味い!限界が近いな…こいつも。
余裕あるふりしてるけど…。
下手にこいつが明正和次元なんて来たら
明正和世界の意志が過剰防衛するんだろうな。
でイルハースについてきたアラセルングル世界の意志が過剰反応…。
大騒ぎだわ。
だってイルハース、アラセルングル世界の世界魔王だし。
「ちょっと、待ってちょうだいっていってるでしょう?」
あたしはため息をついた。
イルハースがあたしを世界魔王の副官認定してくれてるのは嬉しい。
嬉しいけど…今は結愛なんだよね。
『みんな、志甫に会いたがってます、もちろん、僕も志甫が居ないと仕事に手がつきません…志甫を早くこの手に抱きたい。』
イルハースが言った。
「なんで、あんたに抱かれにゃいかんのよ。」
あたし、イルハースと付き合ってないんだけどね
『志甫~。』
イルハースが情けない声を出した。
まあ、こいつはともかくあたしもアラセルングル世界の世界魔王チームの仲間が心配だし。
あの世界、勘違い勇者がいて
イルハースの事狙ってるんだよね。
アホ王にだまくらされてさ。
うーん、こりゃ、禁断の扉を開くしかないか?
あの世界に結愛がいたら…。
高級料亭 瑠璃葉流亭で懐石料理おごってもらわなきゃきがすまない!
『志甫、帰ってきてください。』
イルハースがきっぱりまた言った。
うーん、やっぱり勇者関連で疲れはててるか…。
勘違い勇者、スペックだけは良いからね。
アホ王もなんか言ってきたかも知れないし。
「お願い、もう少し待ってちょうだい。」
うん、あの世界探してみるよ。
『志甫さにゃ、帰ってきてほしいにゅ』
画面に黒い角のついた子虎がプニプニの肉球を画面につけていった。
「くっ、イルハース、テルニーを出してきたわね。」
あたしがかわいいあの子に弱いの知ってて。
『志甫さにゃ?てる、志甫さにゃがそいねしてくれにゃくて寂しいにゅ。』
テルニーが可愛く両手を合わせて小首をかしげた。
可愛い!文句なく可愛い!
「テルニー、お姉ちゃん、速攻で探して帰るからね。」
ああ、モフモフにさわりたい!
結愛の子竜姿も可愛いけど、私より大きいしね。
『やくそくにゅ、いりゅあーしゅさにゃも待ってるにゅ。』
テルニーが円らな瞳で言った。
ああ、負けた~。
イルハースの戦略勝ちよ!
あんた、その頭なんで勇者攻略に使えないのよ!
あの女、あんたの容貌見惚れてたわよ!
『約束しましたよ、志甫。』
イルハースがテルニーを抱きあげてまた画面に現れた。
「ああ、もう、わかったわよ、もう、1つ世界を調べたら一度帰るわ!」
あたしは言った。
イルハースが嬉しそうに笑った。
ああ、もう、しかたない!
たしか、律さんが五十嵐家のお友達がいるっていってたわね。
あの世界の世界魔王は五十嵐家出身らしいし。
律さんに頼んで五十嵐家に渡りをつけてもらいましょう。
ああ、テルニー、待っててね。
あたしがすぐ、行くから。
イルハースはうるさすぎだから少し
話とこうかな?




