子竜は今日もかまわれる1
今日も山盛りご飯…。
そして、育児袋、ああ、人型はもう…。
「結愛ちゃん、いいわね、竜王様と一緒で。」
竜姫様が言いました。
竜王様を補佐する人です。
あのお昼寝いらい竜王様は昼間は育児袋から出してくれません。
夜はだしてくれるけど、竜王様の寝床で添い寝です。
何で~そんなに心細そうですか~私?
「竜王様~出してー。」
私は唯一で育児袋から出せる手をパタパタした。
「結愛、ちゃんと食ったか?」
竜王様が頭を撫でました。
「あんまり食べられないの。」
私は言った。
育児袋の中には沢山の食べ物がはいっている。
とくに子竜の成長に必要な竜果草は多量だ。
「ちゃんと食え、その内散歩もいかないとな♪」
竜王様が言った。
散歩はもちろん空です。
育児袋に入ったまま。
「子守り竜のセリアお姉さんのところに返してください。」
私は言った。
すくなくとも、育児袋からは出してくれるもん。
「セリアは俺に任せたそうだ。」
嬉しそうに竜王様が言った。
任せないでください。
「お外出たいのに。」
私は言った。
「その内、人の街に行こうな。」
竜王様はそういって私の頭を撫でた。
すくなくとも、人はいるらしい。
人型とってる竜はいないけど、
まさか、竜体でいかないよね。
「竜王様、別の里の子竜ちゃんがいると聞いたのですが?」
きれいなブルーグレーの竜がきた。
「ああ、ここにいる。」
竜王様がそっと私を育児袋からだして
仕事の書類が置いてある机の上に座らせた。
「……派手ですね、可愛いけど。」
ブルーグレーの竜が言った。
そして、私を机から持ち上げた。
キューキューキューキュー
あーん、子竜の鳴き声しかでないよー。
「紫がかった真珠色と銀の鱗、髪も同色のたてロールか、目がアメジスト色ね、うちの一族にない特徴ですね。」
その人は私を観察しながら言った。
あ、髪はテンパーです、自然にたてロールになるんですよ、ハア、真っ直ぐ髪憧れです。
「…麒麟公、結愛を離せ。」
竜王様が唸った。
なんで、威嚇してるのさ。
「……はいはい、分かりました。」
麒麟公はそういって私を机に置いた。
この人麒麟公なんだ。
外回りする人だから呼ばれたんだね。
私の里を見つけるために…。
でも、見つからないとおもう。
私、自分の世界の地竜の里行ったこと何回もあるもん。
叔母ちゃんがお嫁入りしてるから。
あの里の竜王様、もっとお年だし、体色
茶色だもん。
「本当に大事にしてるんですね。」
麒麟公が言った。
竜王様が抱き上げて育児袋に私をしまいこんでるのをみてるみたい。
「あとで、風呂に入れないとな、俺以外の雄竜の匂いがつくなんて許せん。」
竜王様が面白い事を言った。
匂いを気にするのは求愛時でしょう?
お子様(竜体はすくなくとも)に言うことじゃないよ。
「セリアに聞いた通り、独占欲バリバリですね♪良いことです。」
麒麟公が笑った。
「可愛いだろう。」
竜王様が私の頭を撫でた。
どうして?独占欲バリバリなの?
私は小首をかしげて育児袋のなかで転がりかけた。
どうも子竜の身体はバランスが悪くていけないや。
「……結愛、大丈夫か?」
竜王様が言った。
「大丈夫。」
私は竜果草まみれで言った。
いいクッションだよ。
「しっかり食って早く大きくなれよ。」
竜王様が言った。
「じゃ、里探し続行ということで麒麟たちにもいっておきます。」
麒麟公はそういって帰っていった。
「安心して食え、アイツならすぐ見つけてくれるからな…寂しいが。」
竜王様が私に大きい竜果草飴を食べさせながら言った。
あーん、私、竜体が子竜なだけなんです。
そんなに食べられません。