子竜は事件に巻き込まれる5
すぐに助けるから、まっていてね。
空間術…範囲あってるよね。
竜体になると、すぐに空間術を放った。
ここからでられないように被えたと思う…。
オークションの客がパニックを起こしているのが見える。
竜見たことないのかな…。
『お客様、すぐに対処いたします、座っておまちください。』
アナウンスがはいり、ここの連中が客をなだめる。
警備係が私を取り囲んだ…。
剣なんて、槍なんて火器だって怖くない…。
小規模の空間術で無効かすればいい。
「おや、本当の竜は君だったのか…。」
セファムがあらわれた。
…え?どこにいたの?
すくなくともさっきまではいなかった。
「セファムさん、危ないです。」
ラリスが言った。
警備係がセファムの前に出ようとする。
危ない…そうかもしれない…。
セファムがそれを制して言った。
「僕が対処する…良い商品だ…子竜など普通は手に入らない。」
まだ、商品のつもりなんだ。
それに…何を考えてるか分からないからこわい。
「君は子竜だ…どこまで出来るのかな?」
セファムが微笑んだ。
「なめないでよ!」
私は空間術をセファムに向かって放った。
「甘い!」
セファムが手のひらをこちらに向けてはじき返した。
そのまま、力がおそいかかる…。
私はよけた。
「ふん、素早いね、では、皆さんこの珍獣をいまからとらえて御覧に入れましょう。」
セファムが優雅に礼をしている間に私は力を再度練り始めた。
ショーだったのかと客に安堵の表情が見えた。
ショーじゃないよ!
たぶん…セファムは…。
魔法使いなのかもしれない…。
ただの人間に空間術なんて…たとえ明正和次元人でも…はじきかえせない…。
「さて、珍獣は美幼女にもどるでしょうか?」
セファムがそういって力を放った。
深い緑色の霧が私を被った?
「おいたの君には眠りを…あとでお仕置きだよ、子竜ちゃん。」
セファムの声がする。。
…眠い?…眠くなんてない!
でも…視界が悪い…そうか…闇魔法か?…。
ここの闇は…緑色なんだ…。
どうしよう…空間術で覆う?
二重に使っても大丈夫かな?
「もう、寝た?子竜ちゃん。」
セファムの声がする。
寝たふりして解かせる?
でも、バレたら…。
「いい加減諦めなよ。」
セファムがクスッと笑った。
諦めるくらいなら…。
ここになんていない!
二重がけで時空凍結したら…。
空間が歪んで行方不明になったら…。
もう、クロお兄ちゃんに会えない。
なんで、クロお兄ちゃんが出てくるんだろう?
時竜王様でも、両親でも、志甫ちゃんでも、でもなくて…。
わからない。
でも…私、時竜だもん。
空間術しか使えないもん。
さあ、やろう!なるべく被害は自分とセファムにいくようにして…。
私は力を放とうとした。
『結愛!空間術を解け!』
クロお兄ちゃんの声が聞こえる。
なんで?空間術で被うと…外からの声も…そうか
ここは…一階なんだだから足元から地面を伝わってきてるんだ…。
地竜王のクロお兄ちゃんなら…もしかしたら。
「どうしました…良い子になりましたか?」
セファムの声がする。
『結愛!早くしろ!』
クロお兄ちゃんが言った。
多分…この声は私にだけ届くようにしてるんだ。
「うん、今、解くよ。」
うん、クロお兄ちゃん、解くからね。
私は被っていた空間術を解いた。
それと一緒に闇魔法も破られたらしく視界が戻る
窓を突き破って黒い大きな竜。
地竜王クロルリード様…クロお兄ちゃんが登場した。
クロお兄ちゃんが雄竜の咆哮をあげた。
「ほ、本当に演出なのかね。」
身なりの良いでも下品な男が言った。
「ええ、これから…悪竜を退治して…可愛い子竜を人間の女の子に戻して見せますよ。」
セファムが笑った。
警備係がクロお兄ちゃんを取り囲む。
「結愛!」
クロお兄ちゃんがさけんだ。
「クロお兄ちゃん。」
私はクロお兄ちゃんの所に行こうとした。
「合流させないよ…。」
セファムがいって上に飾ってあった。
豪華な赤い幕が落ちてきて私に巻き付いた。
「クロお兄ちゃん!」
どうしよう、足手まといになっちゃう。
「結愛、今、助ける!」
クロお兄ちゃんが言った。
「さあ、ショーの始まりですよ。」
セファムが優美に礼をした。
わーん、ショーじゃないよー。
なんどかして、このからみつく幕から逃げなくちゃ。
クロお兄ちゃんの足手まといになっちゃうよ!
やっぱり、空間凍結かな…。