竜王様は子竜を探す
結愛になにかあったんだろうか!
くそっ許すんじゃなかった。
高級ホテルの中に駆け込むとあの気にくわない捜査員が
セアヤラゼ老夫妻の部屋に駆け込んで行ったので
オレも続いて駆けこんだ。
「ち、ちょっと、入るな!」
警備官らしい男が制止されたが振りきった。
「なにがあった!」
オレはさけんだ。
「地竜王様…」
セアヤラゼ公が言った。
なんか、暗いな…。
「めんどくさいのがきた…。」
キャスア捜査員が呟いた。
なにが面倒くさいんだ。
「結愛ちゃんがさらわれてしまったのよ。」
上品な老婦人が言った。
「結愛が誘拐!取引して相手をおさえるのではなかったのか!?」
オレはさけんだ。
「だから…セアヤラゼ公夫妻が眠らされて…その間に連れ出されたらしい。」
キャスア捜査員が言いづらそうに言った。
なんということだ!オレがスーラシスとのんきに話しているうちに!
「どこにいるのか、見当もつかないのか?」
オレは言った。
「不審者の洗いだしはしているけど…見当がつかないな…。」
キャスア捜査員が言った。
なんということだ!結愛!
「オレは探しに行く!」
オレは窓を開けた。
「おい、どうしようってんだ、ここは3階だぞ。」
キャスア捜査員があわてたように言った。
「探しにいく、連絡は、ゼストリーア殿にくれ。」
オレは窓から飛び降りた。
「地竜王様…いったいどうになっているのですか?」
ゼストリーア殿が息を切らせてさっきの建物の外階段からおりてきて言った。
「結愛が誘拐されたようだ、さがしてほしい。」
オレは感覚をとぎすまして言った。
シュレイルには竜族は多くいない。
ましてや、小さいあの不思議な雰囲気な子竜…いや、子竜ではないのだった。
結愛のような竜は早々いない…。
竜果草もむりやり食べさせたし…たどれば…なんとか…。
街の喧騒が消える…。
風の囁きがきこえる…。
足元から地霊の話声がする…。
こりゅうが、あばれてる。
こりゅうがくうかんをきりとった。
おもしろいちから…。
その子竜は何色だ?
オレは地霊を驚かさないように静かに聞いた。
しんじゅいろ。
むらさきとぎん。
ちいさいの。
その子竜はどこにいる?
ここから…きた…。
このへんなの…。
頭に場所の位置が流れ込んでくる。
ありがとう。
うん、またあそぼうね。
地霊たちが言った。
意識を戻す…竜体じゃないとめんどくさいな。
結愛は竜体に戻っているようだ。
「なにか分かりましたか?」
ゼストリーア殿が言った。
「ああ、場所が分かった、地面に立つもので、地霊の好奇心を逃れるものはおるまい、行こう!」
オレは竜体に戻れる広い所をもとめて駆けだした。
結愛まってろ、すぐに助けに行くからな!
それまで、無事でいてくれ!