プロローグ 子竜は今日もため息をつく
新連載ですよろしくお願いします。
なんでいつも山盛りなのさ。
誤解されまくりだよ。
「大丈夫よ、子竜ちゃんお食べなさい。」
やさしい子守竜のお姉さんが言った。
目の前には山盛りの竜果草だの竜果草飴だのパンケーキだの焼肉だのパイだの
ともかく多量にある。
たしかにインファントドラゴン(赤ちゃん竜)は沢山食べるけど…。
私、ドラゴネット(少年少女竜)なんでそんなに食べられないんです。
まあ、小柄なのでインファントドラゴンに見えるでしょうが…。
それに完全子竜じゃないし…。
「ガキがなに遠慮してる、食え。」
大きい黒い竜が来ました。
「竜王様。」
子守り竜のお姉さんが言った。
「たりないな、もっとだしてやれ。」
竜王様が言った。
「おなか、一杯です。」
私はちょびっと竜果草飴をなめながら言った。
「子竜が遠慮するな。」
竜王様が食べ物の山から大きいパイをだして私にあーんした。
えーん、食べられないよー。
「それにしても、結愛ちゃんの里はどこなのかしらね。」
子守り竜のお姉さんが言った。
たぶん、この世界じゃないです。
「ほら、食うんだ。」
竜王様が私を抱き抱えて再びこんどはサンドイッチをあーんしました。
わーん、恥ずかしいよー。
私は時竜です。
まあ、みてのとおり
薄紫と銀の子竜です。
竜体は。
二瀬結愛といいます。
時竜の里に里帰りしようとホテホテと里の
そばの道を歩いていたら転んで
気がついたらこの竜の里にいました。
「お前、どこから来たんだ?」
竜王様が言った。
「わーんおうちかえる。」
里帰り仕様で竜体とってた私は
竜体の幼さに引きずられて幼児がえりしてました。
「名前は?」
黒い竜王様が言った。
「ふ、ふたしぇ、ゆめぇでしゅ。」
私はもとらない口で言った。
「なくな、子竜。」
竜王様が私を抱えてよしよししてくれました。
ああ、どこの竜王様でも落ち着く。
時竜王様が一番ですけど。
竜なんて、特に子竜なんてそんなものです。
それで、子守り竜が呼ばれて
山盛りご飯と育児袋ぜめです。
山盛りご飯はともかく
育児袋からはだいぶまえに卒業したんですよ~。
で、ここは地竜の里なんです。
異世界のです。
せめて、明正和次元ならなぁ…。
「少し昼寝させよう、育児袋を。」
竜王様が言った。
「どうぞ。」
子守り竜のセアラお姉さんが笑いながらエプロンをわたした。
「なんだ?」
エプロンをかけて、育児袋に竜果草をつめながら竜王様が言った。
「いいえ、もっと食べて早く大きくなるのよ、結愛ちゃん。」
セアラお姉さんは私に頬擦りして育児袋に入れた。
わーん、ここも山盛りだべものだよ。
でも、ちょっと眠くなってきた。
子竜の身体ヤバイ。
人型とっても大丈夫かな。
ねむ…。