「周りの個性が強すぎて埋もれています。どうしたらいいですか!?」by桜ノ宮アリス
皆さん、お久しぶりです。
ようやく完成しました。というわけで、最新話をお楽しみください。
1
「あ、兄ちゃんが悪い表情してる」
アイスに飽きたのか今度はリンゴ飴を食べていた晶彦がそう呟いた。
見れば観客席の巨大モニターには隆浩の悪い表情がデカデカと映しだされている。
それは杏子だけにではなく、応援に来ている十三組の女子達にも効果は抜群であった。過去にあのような表情をしている隆浩にいろいろな被害を受けてきたのだ。
それを思い出したのだろう。
恐怖よりも怒りがこみ上げて来ていた。
それは一つとなって、巨大な殺気の塊となった。
《帰ってきたらあのゴミ狐をぶち殺す……》
十三組の男子、そして近くにいた他のクラスの生徒を黙らせるほどの威力を持っていた。
「先生、魔法無力化ってどういうことですか?」
「えっとですねぇ、鈴蘭さんは先天性魔力器官欠損という病気を知っていますかぁ?」
首を横に振る鈴蘭。
当たり前のことだろう。発症率がとてつもなく低い病気の名前なんて、そうそう聞く機会が無いのだから。
知らないのは鈴蘭だけではなく、千歳や他の生徒達も知らない様子だった。
唯一の二年であるアンナは知っているようだが。
「まず人はぁ魔法を使うために必要な器官を持ってぇ生まれて来るんですぅ」
「魔力を作る『天心』と、そこで作られた魔力を溜めておく『鬼臓』のことだよね?」
「その通りですぅ。特に鬼臓よりも天心の方が大切で、そこから作られる魔力がなければ鬼臓も動かないんですよぉ。ですがぁ、先天性魔力器官欠損という病を持つ人達はその二つを持たないで生まれて来るんですぅ。その理由としては先祖返りですねぇ」
「先祖返り?」
「はいぃ。遠い、遠い昔の人達はこの二つの器官を持っていなかった、というのは歴史の授業で習いましたよねぇ?」
「でも人は魔力という力を発見して、それに適合したんですよね?」
「そうなっていますけどぉ、どこで魔力を発見したのか分かっていないんですよぉ」
「それは兄ちゃんも言ってた。歴史の中に魔法や魔力器官という物は前触れもなく現れたって。それはどこの国の歴史を見ても同じことみたい」
「その通りですぅ。ですから、さっき言ったように今は発見して人が適応したと発表していますが学者の人達が研究している最中なんですぅ。えっと、話を戻しますねぇ。この病気はその魔力に適合する以前の先祖の遺伝子によって発生したということなんですよぉ。でも問題がありましてぇ、それがどう魔力無効化に繋がっているのかという因果関係が全く解明されていないんですぅ。で、ここまでが病気の説明ですねぇ。ここからは鈴蘭さんや、他の皆さんも知りたい魔法無力化のお話をしますぅ」
持っていたお茶を一口を飲んでから風路は再び話始める。
「魔法無力化というのはぁ、魔法という物を完全に無にする能力なんですぅ。魔法刃を壊したり、砲撃を途中でかき消すなんてのはやったことのある人もいますよねぇ?」
この時、千歳を除いた十三組全員が肯定する動作を一切見せないで黙ってしまった。
先に風路が当たり前のように挙げた例えは魔力の結合に弱い部分に魔法をぶつける、その魔法以上の威力を持つ魔法を叩きこむということをしなければならない。しかし弱い部分、魔法の威力は毎回違うので、そうそう出来るようなことではないからだ。
と言ってもそれを簡単にしてしまう例外も存在するわけで。しかもその例外は複数存在し、一人はこの場で観戦している人物である。
「それはぁ魔力の結合を破壊されてぇ、魔力を散らされるだけですのでぇ、すぐに再結合が可能なんですよぉ。でもぉ魔法無力化で消滅されてしまうとぉ魔力そのものが消されてしまうんですぅ」
「それって……」
「そうですぅ。魔法無力化は魔法という物を根元から消滅させてしまうんですぅ。だからぁ瞬時に再構築は出来ません。出来るのは同じ魔法を一から作り直すことだけですぅ」
「でも隆浩さんは一回だけ魔法をかすらせてましたよね? 確か雷を……」
「それはですねぇ、あの雷が魔力で構築された物ではないからですぅ」
「それってどういう……」
「あの雷はぁ、隆浩君がぁ普通の雲に魔力を送り込んでぇ雷雲と同じ状態に作り替えたわけなんですぅ。だからぁ、あの雷に魔力は存在していないんですよぉ。ですが隆浩君が他の一組の皆さんを退場させる時に放った雷はぁ魔力で構成されてますからぁ、無力化の効果は受けるんですよぉ。覚えておいて損はないですよぉ」
その最後の言葉はまるで、この先に十三組が須藤杏子のような魔法無力化体質の人間と戦うと分かっているかのような言い方であった。
2
蛇と蛙という光景が出来あがってから数十秒。
同じ光景はまだそこにあった。
杏子には何となくだが本能で感じているのだろう。動いたら自分にとって社会的に良くないことが起きるのだと。
それでも動かなければならない。
目の前に立つ天敵から。
どうすればよいのか。そんなことを考えている内に隆浩は動き始めていた。
彼が取りだしたのは何かが書き込まれている長方形の紙。
それに魔力を流し込んでいくと紙を核として、魔力が生き物の姿かたちになっていく。最終的に出来あがったのは、おそらく地球上には存在しないであろう巨大で醜悪な姿をした蟲であった。
創り出した隆浩本人はそれを見ても何とも思わないのは当り前なのだが、問題は杏子のほうである。
大多数女の子は蟲という物が苦手である。
それは杏子にも当てはまることで、
「い、いやぁぁぁあああぁぁあ!」
彼女が取った行動は蟲からの逃亡。
当然と言えば当然の判断で、隆浩が予定していた通りとなった。
杏子が逃げて行ったことを確認した隆浩は新たに三枚、先ほどと同じ大きさの紙を取り出した。よく見ると書いてある模様が一枚目の紙とは違う。
その三枚にも同じように魔力を込めていく。
「触手って、言葉の響きだけでエロいよな」
女性陣が聞けばドン引き間違いなしの問題発言。
しかしそれを咎める者はこの場にいないので、言った本人は何も気にしていない様子。
そうこうしている内に新しい生物が出来上がった。一匹は姿が違うが最初と同じ蟲なのだが、問題は残り二匹にあった。
その二匹は同じ生物なのだ、触手を持つ化物と呼ぶにふさわしい生き物がそこに存在していた。
「行けニョロ太、ニョロ介! おいらの望むシチュエーションを作り上げるんだ!」
どちらがニョロ太でニョロ介なのか不明だが、隆浩に命じられると杏子が逃げっていた方へズルズルという効果音を出しながら蟲と森の中に消えていった。
それを嬉しそうに眺めていた隆浩だったが、完全に見えなくなった所でとあることに気がついた。あの四匹の身体は魔力で作られている。つまり、杏子に触れると消滅という結末が待っているわけで隆浩が望んでいるようなことは絶対に起きないのだ。
膝を地面について項垂れる。
完全に彼女の能力のことを忘れてしまっていたのだろう。
「阿部隆浩ぉぉぉぉぉぉぉ!」
怒気の含まれた叫び声。
それと共に現れたのは、あの蟲を見て逃亡していた杏子だ。どうにかしてあの四匹を撃退することに成功したのだろう。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「そんなにあわててどうした。これで汗を拭くといいぞ」
「え?」
そう言って隆浩が投げたのは白い布。
宙を漂ったそれは杏子にまで届かず、二人の間の地面にポトリと落ちた。
そこでようやくそれが三角形の布であること知ったのだが、汗を拭くための物としては形がおかしい。
「あ、あ、あ……ああああ!」
顔を蒼白にして叫ぶ杏子と、何を驚いているという様子の隆浩。
地面に落ちている物。それは三角形の布ではなく、レースがあしらわれた純白のパンティだった。
もちろんそれは隆浩が初めから持っていた物ではない。ではどういうことなのか。
その答えはすぐに分かった。
「きゃあああぁぁあぁあぁぁぁ!」
縮地で地面に落ちているそれを拾い上げて、縮地で草むらの中に逃げ込む。
つまりあれは杏子の下着だったというわけだ。
「ど、どうしてあなたが持っているんですか!」
当然の疑問である。
いつ脱がされたのか、杏子には身に覚えが全くない。しかしあれは隆浩のポケットの中から現れた。
それは杏子自身がその目で見ていたことなので確かなのだが、隆浩と会ってからのことを思い返してもそのようなことはなかったはず。
「『水着美少女のポロリを狙って水着を剥ぎ取る。着物姿の美少女の帯を「あ~れ~」見たさに引っ張る。これは男として当たり前の衝動。なら光の速さで動くことが出来たら、男としてするこは一つ! 下着を付けた美少女から光の速さで下着を奪う! これも男として当たり前! だからおいらは悪くない!』」
その話を聞く限り隆浩が彼女の下着を奪ったのは光速移動を繰り返していた最中なのだろう。だがやはり、どの瞬間で奪われたのかは分からないままである。
「そんなわけあるかぁ!」
草むらの中から隆浩を睨みつける杏子だが、その顔は羞恥により真っ赤。脱がされた上に、全校生徒と教員に自分の下着を見られたのだから当然である。
「で、どうする? このまま降参するか?」
「しません! 絶対にあなたを……倒します!」
草むらから飛び出した杏子はその場から消え、隆浩の目の前に出現する。
瞬間移動に見えたが実際には違う。縮地で空間を縮めているため、その間に存在していないように見えただけである。
距離を取ろうとする隆浩だったが、攻撃態勢で現れた彼女の方が当然早い。
撃ちだされた弾丸はこの男の額を撃ち抜いた、がHPはほとんど減っていない。なぜ、と一瞬だけ考え止めた。
そんなことを探るよりも隆浩のHPを削ることを優先したのだ。
だから隆浩が顔を戻さず空に固定していることに、口を『もう少し』と動かしたことにも気付くことが出来なかった。
「落ちろぉぉ!」
連射、連射、連射!
撃ちだされる全ての弾丸が隆浩のHPを少しずつ減らしていくが、決定的な一撃にならない。
それは杏子本人も感じていたこと。
どうすれば決定打が隆浩に届くのか。その手札を杏子は持っていた。
銃口に気が集中し、二つの球体が出来あがる。そしてそれは一つになり大きさ、気の質が上昇。
「マジっ……!」
「吹き飛べぇぇ!」
球体は引き金が引かれると同時に砲撃となって隆浩を襲う。
初見であるがこの一撃が自分の身体を覆っている魔力の幕を簡単に撃ち破る威力を持っていることは見極めることが出来た。
瞬時に秋月の刀身に魔力を流し込んでいき、刀身から漏れ出すほどの量を込めることが出来た。
向かってくるタイミングに合わせて振り抜かれる秋月。
砲撃は秋月を弾き、隆浩を飲み込もうとするが隆浩の愛刀がそれを許さない。
「どっせぇぇい!」
秋月を振り抜くと同時に雷を纏う斬撃が砲撃の真ん中を進んでいく。
刃が杏子へ届く瞬間に彼女の姿は隆浩の視界から消え、次に現れたのは隆浩の真後ろ。今度は気弾でも砲撃でもなく銃弾の形をしたカートリッジ。
この時なぜか隆浩の直感が働いた。
あのカートリッジは自分にとってマズイものだと。
だから隆浩は触れることをせず、光速移動を使うことを判断した。
隆浩がいた場所に届くとカートリッジから茶色の魔力色をした鎖が飛び出してきた。おそらく触れていたら隆浩は絡め取られていただろう。
「良く分かりましたね」
「何となくな……」
――――――カートリッジの性能忘れてた――――――
カートリッジに書き込むことのできる魔法の数は一つだが、魔法色に縛りは無い。つまり相手に合わせてカートリッジを切り替えることが出来るということだ。
もしさっきの鎖に捕まっていたら、茶色の魔法は黄色の魔法を受け付けないという属性関係的に抜けることは不可能となって負けてしまっていただろう。
そうなれば後で風路から折檻を受けた上に、一真からいろいろと罵倒されることは目に見えている。前者はいつものことで慣れてきているが、後者は腹が立つ。あのニートに罵られるのだけは、全力で回避したい。
「魔力の消費が激しいけど、やるか」
左手に出現したのは魔力で作られた雷の魔力刀。同時に隆浩の身体も帯電を始めた。
杏子に絶対に届かない武器をどうして作りだしたのか。杏子自身も理解できていなかったが、隆浩が今までにないくらい真面目な表情をしていることだけは理解できた。
どうして攻撃が届かないのに諦めないのか。
今までは自分の力を知ってしまうと無理だと諦めてしまう者ばかりだったから。
だから彼女には分からない。
だけど怖かった。
さっき下着を盗まれたからではなく、魔法無力化という能力に臆することなく向かってくることが。
「動かないなら、こっちから行くぞ」
その言葉にハッと顔を上げた時には、すでに隆浩は動き始めていた。
「どうして……」
どうして自分が恐怖しなければならないのか。
そんなフツフツと湧いてくる怒りが彼女を支配し始めていた。
3
「おいおい、そんなもんかぁ? 喧嘩売ってきたんだから、もっと根性見せろよ」
俺を見下ろす壬生がそんなこと抜かしてやがる。
たぶん、あいつも司馬の野郎も俺の意識は無いものだと思っているんだろうな。だから雑魚なんだ。
俺のHPをしっかりと確認して、自分の状況を確認しろ。
「まだ倒すんじゃないぞ。そいつは俺達のサンドバックなんだから」
「わーってるよ」
しっかし、そろそろこいつらの攻撃を受け続けるのは飽きたな。
いい加減、こっちは終わらせても問題なさそうだな。つか、俺的にはその方がいい。
眠いし。
「はぁ……おい『優等生』共」
ゆっくりと立ち上がった俺は、自分の目の前に立つ二人に視線を向ける。
目に見える限り、こいつらは俺に対して驚愕しているのだろう。ボコボコにしたはずの俺がこうしてピンピンとした状態で立っていることに。
しかし十三組に所属していれば、これくらいのことは模擬戦をやっていればよくあること。だから驚くことでもない。
「テメェら想像以上に弱すぎる。この程度で強いって威張り倒してたのか? そうなのだとしたら、担任ともどもおめでたい脳みそだな。いい加減に自分達の弱さに気づいたらどうだ?」
「それはテメェだぁ!」
振り下ろされた壬生の拳を掴むと蹴りを腹に一発入れ、顔面の真ん中に魔力で強化した拳を叩きこんだ。
数メートル飛んだ壬生の身体は、二回ほどバウンドして停止。ピクリとも動かなかった。
HPは0になっていないから問題ない。後でしてもらう役目が存在するからな。
こいつと同じ魔法を使って応戦して、負けたのはこいつ。ここまでの戦闘で気がついたことは、こいつの頭の中に力押し以外の戦い方が存在していないということ。
千歳を倒すことが出来たのも、不意打ちでガードのタイミングを奪ったというだけ。まともに戦っていた場合、絶対にこいつは一撃も与えることは出来ずに負けていただろうな。
「弱すぎだろうよ。この程度で、よく威張ってられたな」
「ま、まぐれだ! 落ちこぼれの問題児クラスのお前達が、俺達に勝てるわけが無いだろうが!!」
「はぁ……どいつもこいつも、バカの一つ覚えみたいに同じことばかり言いやがって。少しは他のこと言うことできねぇのか?」
「んだと……ふざけんな、ザコがぁ!」
棍棒の先から放たれたのは赤いレーザー。
魔法色は赤。つまり、これの正体は純粋な魔法攻撃ではなく熱線、ってことになる。
体に直撃するとヤバいんだろうが、当たらなければ問題はない。この魔力でコーティングされているだろうから、普通の奴なら躱すんだろうがこの魔法に追尾機能が付いていいたら面倒だからな。
ここでぶった切る。
よく見ると、司馬は笑みを浮かべていた。
この魔法はこいつの切り札、か。何か面倒な機能がついていそうだな。そうだとすると、直接黒月で切るのは得策じゃねぇか。
「紅之太刀壱式・煉刃!」
圧縮された魔力は一つの巨大な刃となって、熱線へと向かう。
ぶつかると拮抗なんてことは一秒も起きず、俺の煉刃が熱線を真っ二つにしながら進んでいく。その先に立つのはもちろん司馬。
この魔法の問題点は一直線にしか進むことが出来ないので避けるなんてことは誰にでも出来ること。なんだが、今のあいつは自分の中で最強の魔法がたった一撃で無効化された、という精神的なショックでフリーズしてしまっている。
頭の中が真っ白になってしまっているあいつが、他のことを考えるなんてことは不可能だろうな。
「さて、壬生よぉ」
蹴られて強制的に覚醒させられた大男は、怯えた瞳で俺を見上げるが知ったことか。
「司馬はもう消えた。残りはテメェだけなんだが、どうしてテメェが残されたのか分かるか?」
問いに対してこいつは全力で首を横に振る。
そりゃあ分かるはずがないわなぁ。自分達は当り前のことをしたと思っているんだからな。
「俺がテメェと司馬を狙ったのには理由があってだな。司馬は姉さんのことを悪く言い、テメェは千歳を病院送りにしやがった。あの時は姉さんのことで沸点が超えたわけなんだが、実害はねぇから司馬はほとんど一撃で終わらせたわけよ。だがテメェはは違う。やりすぎだ」
「……」
今、自分から発せられているだろう殺気を抑え込む気は全くないんだが、これでこいつに気絶されるのは困るな。
会話して正気を保たせるか。
「で、話は変わるが今俺はリミッタ―を付けてテメェら一組と同等の魔力値まで落としている。だけどな、一分間だけリミッタ―を全部解放することが出来るわけなんだが……今からそれを行う」
何でそんなことを宣言して行うのか。
その意味をこいつは恐怖に支配されている脳みそで理解することが出来たらしい。理解できたところで、それを回避することは不可能なわけだが。
「ど、どうして俺にだけ!?」
「言ったろ、やりすぎだって。俺の所有物に傷を付けたんだ、テメェも同じようになってもらう」
「ひっ……」
「謝って許してもらおうなんて考えても、もう遅いことは分かってるよなぁ? 覚悟、決めろよ」
こいつを全校生徒の見ている前でボコボコする。それを開始の合図は、魔力で強化しての全力の蹴りだった。
4
暗く、広い空間。
そこがどこに存在している場所なのか見当がつかない。しかしそこに数十人の人間が集まっていることだけは気配で確認することが出来た。
「間もなく模擬戦が終わります」
「計画実行は試合終了の合図と同時よ」
「目的はあくまで一人。邪魔をする者は友人だとしても全て敵だ」
おぉ、と部屋が揺れるような大きな声がそこに響く。
「聖母を我らの手に!」
『聖母を我らの手に!!!!!!』
「あの者から解放する!」
動き始めようとしている者たちがいる中、二つのクラスの決着は付こうとしていた。
《次話へ続く》