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十六、

 トレーラーが急停車した。

 スキャンの終わった幸太は店内からバックヤードを経て、トレーラーの連結部に出た。トレーラーは倉田の店舗の駐車場まで乗り込んでいた。

 倉田の店舗のまわりには建築用の足場が組まれていた。店内にいたバイトの連中が逃げだそうとするのを人が押さえて縛り上げていた。

 鷺沼と倉田はどこだ、と幸太は店内を探したが見当たらなかった。先日、見せられたバスが店舗駐車場に停めてあった。バスは何人かに包囲されていた。

 あそこにいるのかと幸太が思っていると、店にはもう誰もいないなかかれ、という広田の声が牽引車のほうから聞こえてきた。

 トレーラーから深夜組が飛び出した。

 深夜組の一人、筋肉質のほうが消防用ホースを二回りほど太くしたような物を抱えて走っている。山田さんがそのホースをぐるぐる巻いたロールをのせた荷台を押していた。ホースをロールから出しながらゆっくりと進んでいる。細身の方はダイナマイトの束を抱え片手で大型の掘削機を持っていた。そして店舗に着くやいなや、店舗の柱の根元穴を開けてダイナマイトを設置していった。

 店舗の外の足場はもう、ほぼ完成していて防音防塵シートがかけられはじめていた。

 筋肉質の方が店舗内に入り、ホースを小脇にかかかえて構えた。そして後ろを振り返り山田に向かって何かのサインを送った。山田がホースをロールから全部引き出してトレーラーのほうへ戻ってきた。ホースが連結されているところにあるスイッチを山田は押した。

 店舗内の商品がホースに吸い込まれはじめた。巨大な掃除機のように倉田の店舗内の商品という商品を吸いこんでいる。トレーラー内からバラバラと音が聞こえてきた。トレーラーに直接吸い込んでいるようだった。

 信じられないものを見て呆然としている幸太に、行くぞついてこい、と広田が声をかけた。広田は牽引車から飛び出していった。

 我に返った幸太は、牽引車の後ろにある窓からハガネがこちらをのぞいているのに気がついた。彼女と目があった。ハガネは目を伏せ顔を横に振った。もう本当に引き返せないわね、と言っているようだった。

 幸太早くしろ、と叫ぶ声が駐車場から聞こえた。

 あわてて連結部から飛び降りて幸太は広田を追いかけ店舗内にはいった。


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