2話 虹の道を歩くようです。
なんか…ギャグ系書くの辛い…。
俺、シリアス専門の方がいいのだろうか…?
「『アンダー』? 何の下だ?」
「それは…うーん。あまりここでだらだらしてるのもマズいんだよね…。当初の予定通り、キミ達をお城に連れて行かせて貰うから、そこでいろいろお話しよう?」
「お城? そんな物、海以外何も無いこの島の何処にあるの?」
駿介がきょろきょろと周りを見渡す。
彼の言う通り、俺たちの身の回りには足元の魔方陣と、大理石、そしてその地盤となる小島以外は全て青に染まっている。
城なんて大層な物、何処にも見当たらない。
「……これも、ボクが話すと長くなるから今は話さないけど、ここ、ホントは陸地だったんだ、全部」
「は?」
「まるで、日本沈没だな…」
水、か…。
俺達が召喚された理由も、そこにあるんだろうか…?
スフィアは困惑する俺達を見て、偽の海の向こうを指差した。
「あそこ見て。丘があるでしょ?」
「んー…」
目を細める。
確かに、ぽっこりと海に浮いている小島のように見える物が、水平線を塞ぐように存在していた。
その上には、こんな遠くからでも分かるほど、壮大で優雅な孤城が見えた。
アレか?
「見えたが…」
「あそこまで、どうやって行くの?」
「ふっふっふー。ボクは妖精だよ? あそこと此処を繋ぐ次元通路を造る事くらい、夕飯前だよ!」
「なんか早速能力の限界が見え隠れしたな」
「じゃあキミは泳いで来てね。100キロは軽くある距離だけど」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「謝ってると思いきやまさかのボケ!」
しょーがないなー。
そう言って彼女は右手を床に触れさせる。
「我、世界と世界を未来と過去へ紡ぐもう一つの世界を存在させる者也。願うは道…」
毎度思うが、なかなかカッコイイな、呪文。
マジ、中二乙!ww 的な感想しか抱いていなかったが、しっかり聞くと、うん、やっぱ俺も男なんだな、と思うほど心を揺さぶらせる。
さぁ、今回はどんな締めの言葉を見せてくれ……。
「現れよ! レインボ○・ロード!」
「まさかのマ○オ・カート!?」
そんな訳で俺達は虹色の道を歩く事となった。
@~@~@~
俺達は歩く。虹色に輝く道を。
周りは満天の星と漆黒の闇。
その中に佇む虹色の道を俺達は歩いていた。
……。
マ、マジでレイン○ー・ロード…。しかもこれディ○・エス版だコレ。
「で、俺達は城に行って、何するんだ?」
「ボク達の国の姫様に会って貰うよ」
「へー。どんな人なの?」
「それはそれは可愛らしい…あ、駿介クン、後ろ危ないよ?」
「へ? ドゥワッハアアアアア!」
「しゅ、駿介ー!」
駿介が、後ろから走ってきたヘ○ホーに轢かれてた。
吹っ飛ばされて、場外に落とされたとさ。えー。
「おーい大丈夫か!? おいトロール! アイツだい…」
「キミも落ちる?」
「あ、スンマセンww。で、アイツ大丈夫か?」
「今ワラワラしてなかった? …大丈夫だよ。そのうち釣られて来るから」
「釣られる…? お、おお、おおおおおおおおお!」
コース外に落とされた駿介。
確かに釣られて、帰ってきた。
ジュ○ムさんに、釣られて帰ってきました。
「ジュ、ジ○ゲムさん! 貴方がコイツ助けてくれたんですかっ!?」
気を失っている駿介を助けた彼は、そろそろとコイツを下ろしてくれた。
いや、マリ○ーやってる時はこの方のありがたみが分からないが、まじ、この人がいるから、マ○オ達は無残な死に様を見せないで済むんだよな…。
「ジュゲ○さん! 本当にありがとう!」
離れていく彼に声をかける。
雲を操って何処かへ消えていく彼は、
右手の親指を立てて、不敵な笑みを見せてくれるのだった。
「か…!」
カッケエエエエエエエエエエエエエエエエ!
俺は、全身全霊の想いを込めて、そう叫ぶのだった…。
「で、姫さんは可愛いんだっけ?」
「どんな娘どんな娘?」
「切り替え早!」
何事もなかったように会話と歩みを再開させる俺達。
○ュゲムの立ち位置なんて、所詮そんなモンさ…。
本職=カメラマンが泣いてる気がしないでもなかったが、とりあえず今はその姫様とやらの話を聞こう。
「どんな奴なんだ?」
「『奴』とか、一目見たら言えなくなっちゃう程の…アイドルなんて霞んじゃう、アニメのキャラなんて見向きも出来なくなっちゃう、そんな世界を滅ぼす事が出来るくらいの可愛さだよ!」
「それ、逆に超ブサイクな…そう、トロールみたいな奴が姫様なんじゃ…」
「えいっ☆」
「のおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
てめっ、わざわざトランスしてまで投げ飛ばす必要無いだろ!?
「っていうか、呪文言わずに変身できるんかい!」
「あんなの、作者の趣味なだけだからネッ!」
「それ言っちゃおしまいだ!!! ってうわぁぁぁぁぁ!」
落ちる。落ちる…。
ひゅうぅー…。
パシっ!
あ、ありがとうジ○ゲムさん…。
さっき馬鹿にしたのに、助けて貰って…。
俺を降ろすと、ジュ○ムさんは何故か葉巻を一本口に咥え、火を付けた。
一服し、煙を宙に舞わせると、低い声でこう言った。
「それが……、…俺の、仕事だからな…」
「…………」
か!
かっけえええええええええええええええ!
俺は涙ながらに離れていくジュ○ムさんを追った。
彼の背中は、人生の哀愁を背負った、まさに男の背だった。
「ジュ○ゲムさん!」
「坊主……それ、伏字の意味があまり無いぞ…」
「あの……助けて頂いて、ありがとうございました!」
「お、俺も…本当に、ありがとうございました!!」
駿介も俺と同じ気持ちらしく、しっかり挨拶をしていた。
これが、別れと言うものなのか…。
何故か、悲しくなかった。
また会える気がしていた。
いつか、きっと。
何処かで会えるのだ。俺達は。
だから、ジュゲ○さんも、こう言ったのだろう。
「……次にここに来るときは……俺に世話焼かせるなよ…」
『!! ハイッ!!」
そう言って、何処かへジ○ゲムさんは消えてしまった。
「行っちゃったな…」
「でも、また会えるさ…」
俺達は、どこかやり遂げた雰囲気を纏わる。
そしてこの空気から疎外されていた彼女も、それっぽく呟いてみせた。
「次会うときは…迷惑掛けないようにしなきゃだね…」
「いや、俺が落ちたのお前のせいだからなっこの暴力トロール鼻糞野郎…!」
「てぇぇぇえええいい!!!」
…………。
俺が早速ジュゲ○さんのお世話になった事は、ここにいるみんなだけの秘密ダゾ☆
@~@~@~
なんだかんだでレインボ○・ロード通過。
俺達が虹色の道を出たその場所は、確かにさっき見た城の門前だ。
ワ○ピの正義の門みたいな、そんな感じの大きな大きな門。
その前に、護衛の兵士が一人。
こういうのって、2人兵士がいるもんじゃないのか、と思ったが、確かに門は簡単に開きそうにないし、城壁は高く硬そうな金属で出来ているので、敵が来ても大丈夫なのだろう。
兵士は金髪のイケメン君だった。
長い髪はサラサラで、ニコニコしながらこっちを見ていた。
「お帰りなさい、スフィアさん!」
「うん、ただいまー♪」
挨拶を交わす妖精。
知り合いか。
この耳が長くて、鼻の高い兵士の…。……。
アレ、コイツ…。
「エルフ…?」
え、でもよく見れば翼もある。なんだコイツは…。
「お、そちらが…? 2人、いるのですか…?」
「そうみたいだね…っていうか、文献と違って、道が繋がっていれば誰でもこっちに来れるし、行けるらしいよ」
「そうなんですか…」
「ちょっと、俺たちにも分かるように話してよ。意味不明だから」
そう言って口を挟む駿介。
2人はこちらを見て、すまなそうに笑った。
「これは申し訳ないです。僕は森精と天使人の混合種、天精人のジャックと思います。
「え? エロティア?」
「な、なんて低レベルなボケ…! スフィアさん! コイツ、殺していいですか!?」
「んー。まだ駄目。とりあえずこの人達がやって貰う事を、やって貰わなきゃね」
「…なぁ、一つ聞いていいか? お前達の世界には、その混合種とやらが多いのか?」
思えば、スフィアも妖精と小さい巨人の混合種だとか言っていた気がする。
俺が思い描く異世界とは、普通に獣人とか、ドワーフとかが生活しているモノだったんだが。
それともこいつらが特別なんだろうか?
しかし、そんな事はないらしい。
「子孫繁栄の為って言うか…まぁ、別々の種族でも好きになったり、愛し合ったりするんだ。そういった過程で生まれてくるのは当然ハーフ。だけどいちいち『ほにゃららとほにゃららのハーフだ』って言うのめんどくさいから、混合種って言う新しい種族の名前を創っていく事にしたんだ」
「まぁ、ネズミ算式に新しい種族が生まれていく訳ですから、それはそれで大変なんですよ」
「ほー。じゃあ、純粋な種族…例えば「妖精」と呼ばれる種族はこの世界にはあまりいないのか」
「そうなります。いない訳では無いですが…かなり希少、って事になります」
「なるほど…」
「なるほどじゃないよ! 俺全然分からなかったんだけど!」
「うるさい、今は黙ってろ。後で俺様がゆっくり分かりやすく説明してやるから。…姫様の所へ、行くんだろ?」
2人は笑顔でうんうんと頷いた。
物分りが良くて結構、みたいな笑顔。
とりあえずこの馬鹿よりは役に立つと踏んだのだろう。
そしてジャックと呼ばれた彼はトランシーバーを取り出した。
やはり、この世界の文明が俺達の世界と共有してるというのは確かのようだ。
だが、彼の守衛としての武器は銃ではなく、弓だという所はやはり俺の異世界としてのイメージそのままだな。
「此方、門前守衛のジャックです。スフィアさんが上の世界から
勇者を連れてきました」
「勇者!?」
「話が進まないだろ。おとなしくしとけ」
騒ぐ馬鹿の口を塞ぎ、話を進めさせる。
「はい、2人です。ええ。……分かりました、2人とも連れて行きますね」
という訳で。
「じゃあ、お2人、我らの姫に会っていただきますが…よろしいですね?」
「なぁ、めちゃくちゃ可愛いって話をコイツから聞いたんだが」
「そ! それはもう! あのお方の姿を見れば自らの身分すら忘れて抱きしめて頬擦りしてハフハフして……って思います」
「変態紳士なのに行動は起こさないんだな」
「っていうか小心者?」
「う、うるさいです! …それでは、すぐに門を開けますね」
すると、ジャックは深刻そうな顔でため息をついた。…な、何故?
「どうした?」
「この門、開けるのぶっちゃけ嫌なんですよね…」
「うわ、敬語キャラが多少言葉を崩す程の嫌悪!」
「君が自力で開けるの? 大変じゃない?」
「いえ。門は魔法で開けるので肉体的なダメージは無いのですが…コレは…門番辞めたくなる…」
「いいから! 早くやってよ!」
ボクっ子妖精がキンキン声で叫んだ。
み、耳がアアア!
「キミの所為で、かなりのタイムロスだよ! 分かってるの!? だいたいキミはめんどくさいとかやってらんないとかすぐそういう事を…」
「あー! もう! 分かりましたよぅ! さっさとやればいいんですねやれば!」
ジャックはトランシーバーを捨てて、ふかふかの芝生に膝をつき、
「おーぷん! じゃ! どあー!」
「何故赤ちゃん声!?」
両手を挙げて、幼児ボイスでなんか叫び出した!
え、ナニコレ珍百景?
っていうか何でおしゃぶりしてるの?
ハ○ヒの小泉みたいな、男の俺には分からないサービスなの?
そして何でそんなアホみたいな魔法だか呪文で、こんな重そうな扉が開くの? 馬鹿なの?
もうわけワカメ! ってなった所で、ジャックが振り向いた。
「…さ………どうぞ……お入りください……ぐすっ!」
『……………』
泣いてた。
おしゃぶりしたまま、バンザイしながら、泣いてた。
こ、これは…! ヤバイ、見てられない…。
哀れみ5%、笑い95%っていう申し訳なさで、見てられない…!
「…………ぷっ…」
『!!』
駿介! おま、馬鹿野郎! 何でそこで吹くんだよ!
確かにアホらしいさ!
どうしようもないくらい、馬鹿みたい…。
「……………ぷっ、くっくっく…」
あ、俺もダメだった。
そこからは、スフィアも含め、全員笑いを治める事が出来なかった。
完全涙目のジャックは、
「!! うぅ、いいから、これやってる間じゃなきゃ、門開けてられないんだから、早く通ってくださいよぉぉぉ!!!!」
『ぎゃあーはっはっはっはっはっは!』
「わ、笑うなぁぁぁぁぁ!」
実に馬鹿らしい天使人とエルフのハーフを指差し、大笑いしながら、俺達は城の中へと入っていくのだった。
……ぷっ。
ぜんぜん姫と会わない…。
というかぜんぜんこの小説の目的が見えない…。
き、きっと次回には…?
うん。ダメっぽいww
Skype友達、募集中です。詳しくは小説家情報=フィアをクリック!