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1話 俺達が連れて来られたのは異世界でした。

 この作品の方向性:ギャグww

「う、うーん……。…………。…ハッ! こ、ここは…?」

「やたらベタな反応だね。起きろ☆」

「ぐはっ!」


 痛みで、目を開ける。が、まだ視界がはっきりせず、なんだかもやもやしている。

 頬に感じたのは冷たい床の感触。フローリングのような木で創られた物ではなく、綺麗に磨かれた石か何かのようだった。

 お腹は何かの衝撃でズキズキが絶えない。


 耳からは海が波打つかの如く一定のリズムで「ざざーんざざーん」と音が……ってマジで海の音じゃん。

 と、視界がようやく真っ白から色の付いたモノへと戻っていく。


 仰向けで寝ていた俺の右隣には、駿介の馬鹿が体を丸めて「…もぅ……食べられないよぅう…」と寝ていた。こいつ…。

 俺の床には大理石のような、そうじゃないような、丁寧に磨かれた石の上に、すごく細かい細工の入った円形の模様があった。

 ……。有り体に言えば、アレだ。魔方陣。

 その現代どころか3次元からですら、程遠くかけ離れているようなマークを見てここは何処だとようやく考える。

 空を見る。太陽が気持ちよくて、過ごしやすそうだが、それ以外には何もない。

 周りは魔方陣と数本の木しか無くて、狭い土地を水に囲まれている。

 どうやら俺たちは小さい島のような土地にいるようだった。


「何でこんな所に…。…ん?」


 不意に、何かの気配がして、左隣を見る。

 目の前に、太い棒が2本。

 その、上方には。



 トロールがいた。



「うぎゃああああ!何処のハリー・ポ○ターだああああああああああああああ!」



 ゴツイ顔。

 太い腕。

 3メートル近くある長身。

 そして緑色の体と背中に背負っているこん棒、まさしくトロールだった。

 俺はまんまロン・ウィ○ズリーのテンションで絶叫するのだった。


 ……いや。マジ怖いからな。

 ほんと。劇場やテレビだと客観的視点だからあの恐ろしさは微妙だし、ぶっちゃけおもしろかったし、俺だって初めて見たときは怖くもなんともなっかたけれども。

 この、でかいのを下から見上げると、顔の堀が深くなっていて、ホント怖い。

 今にもつぶされそうだぜ……(泣)


 と。

「ちょっと、誰がトロール?」


 上から……そう、ちょうど、トロールの頭の口の辺りから、少年のような少女のような、中性的な声が聞こえた。

 しかしそこには、恐怖の権化である、声もおっかないようなデカイおっさんしかいない。


 声の出所はどこだと、そこら辺を見る。

 きょろきょろと空を見上げていると、再び声。


「え、どこ見てんの? ボクはここだよ?」

「はぁ?」


 もう一度、きょろきょろ。

 しかし声の主はどこにもいない。


「いないじゃん」

「目の前にいるでしょ!? どんだけ灯台下暗し!?」


 え、目の前…?

 トロールしかいないんだけど…。


「まさか…! おまっ、トロ○ルの口にいるのか!?」

「だから、誰がトロール!? 貴方の、目の前にいる、可愛い『トロシー』ちゃんが、この、ボクだよ!?」

「すまん。その『トロシー』がなんなのか全く見当もつかない上に、俺の前にはゴツくてムサくてキモいおっさんしか………」


「だっ!! れっ!!! がっ!!!!!!!!!!!!!!」


 ガシッ!


「ちょっ!まっ!」


「キ!!!!!!!!!!! モ!!!!!!!!!! イ!!!!!!!!!!! ってえええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」


 ……………。

 ふー。テンションが一周して元に戻ったので。

 と、とりあえず、ありのままに今起こったこと(注:実際は進行形です)を話すぜ。

 俺は姿もみていない誰かに怒られた後、トロールに体からその巨大な手で掴まれた。

 な、何を言ってるのか分からないと思うが、俺も何をされたのか(注:実際は現在s(ry)分からなかった。

 と、とにかくヤバイ。


 っていうか、なんで俺、コイツに掴まれてんの?

 別に、俺、こいつ怒らせてなくね?


 俺は、コイツの喉仏辺りから聞こえるダレかと話を…ん?


「え。お前が、お前?」

「わ け の わ か ら ん 事をおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「え、ちょっと、何、やめ、うをおおおおおおおおおおおお!?」

「言うなあああああああああああああああああああああ!」



 ぼしゃーん…。

 漫画みたいな音を立てて、俺は水の中に落ちた。

 うわー…。もう秋だってのに、風邪引いちゃうぜー…。




 @~@~@~




「ごめん、ごめん。つい感情の赴くがままに行動しちゃったYO☆ でも、キミも人に軽々しくキモいとか言っちゃダメだぞっ☆」

「いや、その顔でそのテンションは流石に…」

「もう一回ダイブしたい?」

「どうも申し訳ありませんでした」


 土下座。

 向かい合う女の子座りをするトロールとそれに頭を下げる人間。イッツ シュール!

 しかし……。

 今更だが、明らかに人外だぞ、こいつ。

 よっぽど、珍しい生物なのか、あるいはここが…。


「なぁ、聞いていいか?」

「うん。何でもどうぞ」

「此処は…の前に」


 横で左右に何度も寝返りを打ち続ける親友を一瞥。

 お前、こんなに寝相悪かったのか…。

 寝る場所はお互い別の部屋だから、コイツの寝てる姿なんて全く知らなかったが…。


 ごろんごろん。

 ごろんごろんごろんごろん。

 ごろんごろんごろんごろおおおんごろおおおおおんごr


「いや、いい加減に起きろ! どうしてそんなに体回転させて目を覚まさない!?」

「はぶぅぅっ」


 頭を殴る。

 痛そうに頭を抱える駿介だったが、俺を見ると安心したほんわかとした(気持ち悪い)笑顔を此方に、向けてきやがった。

「おおー。おはよー龍ー」

「……(イラッ)。……。…ああ、お早う…」


 なんか、額の血管が切れた気がしたが、話が進まないのもアレなので、どうにかこのワナワナ震える拳を抑える。

 ま、負けるな俺…!

 頑張って踏ん張っていたら、後ろから声が聞こえた。


「おはよ-ございまーす」

「んー。おはょええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」


 叫んだ。まぁ、そうなるわな。

 びっくりしすぎて、低血圧の彼の頭も一発で通常の機能を働かせ始めたらしい。


「龍! 何このキ」

「あ、お前、それは確かだが、言わないほうが」

「モい…、え?」


 ガシッ。


「え。ってうわああああああああああああああああああああああああああ!」


 ぼしゃーん。


 あ、俺あんな感じに落ちたのか。

 ははは。


 ガシッ。


「え。」


 再度。掴まれた俺。

 しかも、今度はごつい顔がやたら近い。


「な、何で…?」

「…『確かだが、言わないほうがいい』、って、どういうこと?」

「…………あー。そういうことね…」


 やっと自分の失言に気付く。

 んー、だって、つい言っちゃったんだもん。しょうがないじゃん?

 という訳で、弁解を試みる。


「あのな。お前」

「あ゛ぁ゛?」

「怖っ! …や、あのな。お前のその顔がキモいって事は、俺ら人間からして見れば常識に近いほど当然の考えなんだ」

「うん。だから?」

「え、いや、その、だから、整形でもすれば…」

「言い残す事はそれだけかあああああああああああああああああああ!?」

「いやああああああああ!らめえええええええええええ!」


 ぼしゃーん。

 だめだこりゃ。





 TAKE2


「んで、此処は何処なんでしょうか?」

「いや、その前にお互いの事を知ったほうがいいんじゃないの? お名前は、なんて言うのでございますでしょうか?」

「お前は敬語の使い方を覚えろゴリ顔」

「ゴリ…! いえ、何でもございませんでございまする」


 駿介がトロ○ルに土下座していた。

 びしょびしょのまま、服を乾かす事も許されず、俺たち2人はその場に正座。

 俺たちは、この状況を整理できそうなこの、自称『可愛くて強くて速くて元気が取り得のみんなのアイドル』wwwwwwに話を聞く事にし…ちょ、こっちみんな! 地の文くらい、別にいいだろ! それに関して怒ったら、この小説の世界観ぶち壊しだろうが!!!


 それよりも、話だ話。

 情報を集めなきゃ、この訳のわからん状況についていけない。

 んまぁ、だいたい予想はつくが。


「私の名前は…ああもう! 敬語メンドイ!」

「ヲイ」

「俺は、海風うみかぜ 龍聖りゅうせい。しがない普通の大学生だ。で、こっちが」

「和木 駿介です。趣味は散歩です」

「何でお見合いみたいな感じなの? そして嘘でしょ? リアルで散歩してる若い男の子いたらボク引くよ?」


 俺たちの自己紹介が終わると、トロールは立ち上がり自分の胸に手を当てて、自慢げに声を上げた。


「ボク、さっきのキミ達の家でも言ったと思うけど、スフィアって言う、妖精なんだっ!」


『へー』


「む。信じてないでしょ」

「いやだって、なぁ」

「そりゃあ、なぁ」


 俺達は顔を合わせて苦笑いする。

 コイツ、ホラ吹いてますぜ。みたいな。

 その様子が気に入らないようで、スフィアと名乗った大きい妖精はぷくーっと頬を可愛くなく…、んん! 本当に可愛くなく、膨らませた。


「何でー! キミ達、ファンタジーとか信じてないの!? 目の前に妖精って名乗る娘がいるんだよ!? もっと男の子らしい反応しようよ!」

「いや、めっちゃ信じてるよ?」

「え?」

「ああ。ここがなんとなく何処かは理解できたし、きっと俺が思い浮かべる場所なら、妖精がいるのも頷ける」

「うん? じゃあ、何で、信じてくれないの?」

「いやぁ。そりゃ、お前が」


『そんな姿だからだ』


「そぉおおいいっっ!!」


 ぼしゃーん。

 本日3回目の水没。






 TAKE3


「ボク、さっきのキミ達の家でも言ったと思うけど、スフィアって言う、妖精なんだっ!」

「ソ、ソウナンデスカ!」

「ソレハスゴイデスネ!」

「わざとらしいっ! わざとらしいよこいつら!!」


 知ったことか。もう顔面から水に落ちるのは勘弁願いたいんだよ。

 というか、もうそろそろ正座がキツイです。

 足が痺れてしゃーない。

 俺は耳をかっぽじりながらつまらなそうに呟いてみせた。


「じゃあさぁー。妖精だって事、証明して見せてよー。俺達が確実に「おお。やべえ、コイツ、妖精だっ!」って言えるほどの事を俺達の目で認識できるように表現してみせてくれYO~」

「ああ。そうだね。それの方が手っ取り早いね」


 そう言ってスフィアはパーにした右手を冷たい床に置き、にやりと(キモッ!)笑った。


「見せてあげるよ。ボクの魔法」

「魔法!」


 駿介が歓喜の声を上げる。

 マジ小学生だなお前、こいつ、就活ちゃんとやっていけるのか?

 そんな疑問が浮かんだが、まぁ、今は放っておく。

 それよりも、俺の推測ではガチの魔法が見られると思う。

 これを見逃す手は無い。


「我、在るべきもう一つの姿を現わすとき来たり。願うは妖精。その背には翅を。鮮やかに、鳥の様に舞う為の翅を今一度与えたまえ」

「おお!」

「………」


 喜ぶ親友の隣で、俺はただ黙って流れるような言の葉を聴いていた。

 推測を、確証に変えるため。


「…《トランス》!」


 ぽふんっ。


 呪文を唱え終えると白い煙が立ち込めた。

 その煙は心地よく吹く風に流され…。


 可愛らしい妖精が、そこで飛んでいた。


「キターーーーーー(゜∀゜)ーーーーー!!」

「ウザ!」


 驚愕の反応を見せる駿介に若干引く俺。

 一方、さっきと打って変わった姿となったスフィアはその十数センチの体で精一杯胸を張り。


「どう!? これが妖精ピクシー小さい巨人トロールの混合種の『トロシー』であるボクの相互変体トランスだよ!!」

「うひょおおおおおおお!! すっげえええやっっ!!」

「何だよコイツのテンション! マジウザい!」


 と、まぁ、この変態が狭い島をホップステップで走り回り出したので、放置。

 数分後、俺とスフィアの目線に気付き、急に萎えたのかとぼとぼと戻ってきた。

 俺は、自分の疑問に結論が出た事を妖精に伝える。


「なあ。ここが何処だか分かったぜ」

「ふーん。ご回答を願いますよ」

「ここは、俺たちの世界とは




 別の世界だ」



「ぴんぽーん♪」

「え、マ、マジで!?」


 駿介が驚きの声を上げる。

 スフィアは珍しい物を見るような、面白い物を見るような目で、俺を見た。


「あはは。こういうのって、「ここは、異世界なんだ」「ええーー!?」みたいな感じで伝えられると思うんだけど、どうなんだろう? 召喚された本人が誰にも言われずに異世界に来た事を自覚するなんて、そうそうないパターンだと思うよ?」

「やー。俺、『小説家になろう』っていうインターネットサイトでこういう展開腐るほど見てるからなー」

「おいおい! いいのか!? そういう事を、この小説は言っていいのか!?」

「大丈夫。責任は作者にある(キリッ」


 くすくす、とスフィアは笑った。

 とても妖精らしい、可愛らしい笑い方だった。


「ボクも知ってるよ、そのサイト。確か、ランキング上位があまり変動しない小説投稿サイトだよね」

「嘘! 知ってるの!?」

「いや、ちょっと待てよ…その前に…この世界にはインターネットとかあるのか?」

「え、そりゃあるよ。だってここは…」


 そう言って彼女は小さい手を広げ、広大な海を俺達に眺めさせた。






「キミ達の世界と文明や言語がリンクしている、幻想と魔法の世界『アンダー・パラダイス』だからね!」


 今回『トロール』って単語が出てきましたが。

 俺、『トロール』ってハリ・○タにしか出ないのかと思ってたんですけど、違うんですね。

 ずっと伏字してて、大変な思いをしましたww

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