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理不尽フットボール~ただボールを蹴っただけなのに  作者: 砂糖水色
7章

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7話 強さの種類

「行けるぞ!行ける!絶対勝てる!」

肩に氷嚢を乗せた富士夫さんがロッカールームを奮い立たせる。

盛り上がる中、亀田さん、鶴田、戸田さん3人が小さなホワイトボードを使って何か入念に確認しあっている。

あ、この3人が、サンタ(3田)か。なんてどうでもいい事を思い浮かべたけど、口には出さない。

大きなホワイトボードで白田監督が攻撃のバリエーションを説明し始める。

監督はいつも通りのテンションだ。

それが何だか心強く感じられる。

とにかく攻撃が単調にならないようにと何度も説明を繰り返す。

俺は自分の体を確認する。

膝もスネも痛みはない。

体調もいい。

ベストに近い状態。

 なのにミドルを止められた。

正直まだ動揺している。

早田選手のセービングは美しかった。今日はこれから何度も立ちはだかるだろう。

後半は失点0で3得点する必要がある。

相手は昨年リーグと天竜杯二冠の鹿島だ。セオリー通りだけじゃ絶対に足りない。

全て出し尽くす必要がある。


ピッチへ向かうトンネルの先に光が広がっている。

次にこのトンネルをくぐる時は優勝を決めた後だ。

奇跡みたいな確率だろうと、無理と言われてもやるしかない。

ピッチの芝を踏む。

観客の声が聞こえる。

鶴田が俺の隣に立った。

不安そうな表情をしている。

「鶴田。お前そんなもんじゃないだろ。」

自信を失っているように見える鶴田に数年前、藤沢時代に言われた言葉を伝える。

「俺攻撃に参加しても?」

不安そうに聞いてくる。

「そっちの方が得意なの?」

「メインは中盤なんですよ。」

「わかった。亀田さんと戸田さんと俺でバランスとるからガンガン行けよ。」

鶴田は決意を固めたようだ。 



鹿島の選手が交代の準備をしている。

後半から出場するのは藤沢時代お世話になった仲川さんだ。

左利きの俊足アタッカー。

ドリブルが驚異だけど、パスもフリーキックも、上手い厄介な選手だ。


 後半が始まるとスタジアムがザワついた。

あの王者鹿島が、前に仲川さんとトラオンだけ残して引く構えを見せたのである。

町田としてはあと3得点する必要がある。

 リーグ年間失点数最小の、しかも守る気満々な鹿島からだ。

しかもいつも頼りになる、庄司、ベンリー、颯馬さんが居ない。

不慣れなDFだけでトラオン、仲川さんを止めつつの3得点。

「剛、そう気張るなって。さ、やっちまいましょー」

鶴田とポジションチェンジした亀田さんが気軽に言う。

今はこのマイペースさが少しウザくて、頼もしい。

これも強さの1つなのかな?そんな風に少し思った。


 

 

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