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理不尽フットボール~ただボールを蹴っただけなのに  作者: 砂糖水色
1章

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5話 垣谷陽一

オフシーズンのトレーニングマッチ。

それはチームの主力になれていない選手にとっては格好のアピールの場だ。

今回のような主力選手が出ない予定の試合では特に、だ。

 

普段なら数人しかいない報道陣が集まっている。

しかもJ1のチームに所属している自分ではなく、ポッと出のJ2の同学年の佐古剛が目的だろう。

プロンタールの天才と言われている垣谷陽一はイライラしていた。

 

何の因果か佐古は双子の妹紀香と同じ高校に通っているらしい。

「たまにはお兄ちゃんを応援してあげる」

なんて言って今日は試合会場まで来ていた。

関係者以外立ち入れない筈だが、友人の女子と3人でシレッと報道陣の横のベンチに座っていた。

 更に今日の対戦相手FC藤沢の佐古を見つけると、嬉しそうに駆け寄って会話していた。

なんだか普段より露出の多い服装なのは気のせいだろうか。

佐古もデレデレしている。

身長は高く筋肉質だが、頭はボサボサだし、ニキビも少し見える。

全然かっこよく無い。

あんなののどこが良いんだか。

 

壮絶なハットトリック。

70m弾。

サッカー自体を変える可能性のあるプレーヤー

ヨーロッパの有名な監督モウニーニョが

「究極のアンチフットボールだ」

なんてコメントした。

 等とネット上では騒がれてはいるが、今だけだろう。

今日試合に出てくるなら格の差を思い知らせてやる。

「陽ちゃん相変わらずイライラしてるねぇ。カルシウム足りてないんとちゃう。」

 チームメイトの伊藤潤哉が馴れ馴れしく肩を組んでくる。

「紀香ちゃん可愛くなったなぁ、ん?アレ彼氏なん?」

 今日の練習試合限定でユースから上がってきている同級生だ。

毎回馴れ馴れしくて口が悪く、人間的には苦手な奴だけど、コイツとは何故かプレーが合う。

いて欲しい所に、走り込んでくれる選手だ。

更にセンタリング、ラストパスの精度はユースでも抜きん出ていて、小学生の時から俺は伊藤のアシストで何ゴール決めてきたか分からない程だ。

俺は肩を払いのけ、佐古を見る。

身長は高いし、上半身は高校生にしては筋肉質だけど、特に足が太いわけではない。

どう蹴ればあんな距離を正確に蹴れるのか。

173cm60kgの俺には真似できそうにない。

40mのパスでも精度が良いとは言えないのだ。

 それにデビュー戦でいきなりあの距離を狙う勇気…。

「まあ、ホンマあのキックは脅威やな。毎回あの精度ならホントに戦術が壊れるかもしらんわ」

飄々と伊藤は言う。

全然脅威に感じているとは思えない態度だ。

「ま、今日は俺、右のサイドでスタメンやから。完封したるわ。今の時点では余裕やろ」

「アイツ出ると思うか?」

伊藤は両手を上に向け

「さぁーわからんな」

そう言って自陣のベンチに向かって行った。

 

実を言うと俺たち兄弟は佐古の事を小学生の時から知っている。

向こうは覚えちゃいないだろうが。

…俺と紀香にとって佐古剛は悪夢そのものだった。



 




 



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