晴明神社の桔梗が咲く
日々を生きていると、誰も気にとめないような些細な物事に心動かされる。それがひとつ、またひとつ。そうやって私の歩んだ道に少しずつ積み重ねられていく。そんな日常を綴っていきます。
第二回目は、個人的によく詣でる神社と、そこに咲く桔梗の花について
6月21日。夏至。
一年のうち北半球で最も日の出ている時間が長いとされる日。天気予報を眺めている折、来週からは連日雨マークが並んでいることに気づく。
本日は晴天。幸い時間もある。ということで、二週間ぶりに晴明神社へ足を運んだ。
大河の影響か(間違いなくそうなのだが)今年は特に参拝客が多い。国内観光客に加え、昨今は他国の言語で話す声も目立つようになった。
数日前、神社のSNSにて桔梗が咲き始めたとの情報を得た。それを楽しみに、少々浮き足立って一礼し、鳥居を潜る。
平日のこの時間帯は人が多いはずだが、この日はやや疎ら。幸運。とこっそり顔を綻ばせながら本殿で挨拶を済ませる。その後そばにある御神木の木陰でひと息。視線を上げれば澄みわたる青空と瑞々しく枝葉を伸ばす樹齢約300年ほどの楠の姿。
放っておくと実に様々なことを勝手に考え悩み出す頭を持っている私が、この瞬間はふっと余計な思考が消えて安らぎが訪れる。そして次に湧いてくるのは「ここにいられて幸せ」という気持ち。
色々な縁に導かれてやってきたこの土地。今やこの場所が私にとってかけがえのない大切な存在になっている。最近は特にそうなのだが、私はここへ来るべくして来たという感覚が年々強くなっている気がする。そういう導きが本当にあるのならば、私はそれに感謝したいと思う。そして私は幸せなのだということを、ここを訪れるたびに何度も何度も噛みしめるのだ。
帰りに目当ての桔梗の姿を探しに、植えられた場所へ歩みを進める。社務所付近はどうやらまだの様子。次に二の鳥居のそば。ここはいくつか咲いていた。どの景色が背景にあっても、凛と姿勢を正して美しい青紫の花弁を開かせている桔梗の花。花の品種や咲く時期に疎いはずの私が、この花だけにはどうしても興味を引かれる。昔から。そして今年も無事過ごしてきたのだという感慨が湧く。
帰りに近くの書店で好きな作家の作品を買って、さらに自分の機嫌をとる。ここ最近体調を崩したり色々とふさぎ込みがちだったが、いい気分転換になった。調子を取り戻しつつある。感謝。