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1話 追放

どうも七転です。

新しく不定期で投稿していこうと思うので、よろしくお願いします。

できるだけ毎日書きたいとは思ってます。

「な、何!? スキルも無いし、魔力もないだと!?そんな子供が本当にいるのか……」

「何?それは本当なのか?」

「は、はい。この子、フォード・シュタインには、スキルも、魔法どころか、魔力すらありません」

「そうか」

「何。気を落とす必要はありませんよあなた。なんてったって、私達シュタイン家には、もう1人優秀な子がいるじゃないですか。それも、稀代の才能の持ち主、サイガが……」

「そ……そんな……」


僕は、あまりの出来事に、その場で力なくへたりこんだ。横には、ニヤニヤとした笑みを貼り付けた弟が、こちらを見ている。


「ねえねえ。お母様、お父様。こんなお兄ちゃんなんて、いらないよ。今日で家を追放して、僕に教育を集中した方がいいんじゃない?」

「それもそうよ。あなた。こんな出来損ない。もう家にはいらないわ」

「ふむ。そうだな。フォード。明日中に身支度を済ませて、家を出なさい。金はやる。何、冒険者になれば、街の手伝いをして食いつなげるだろう。学院には通えないが、才能の無いお前には無理だろうし、身の丈にあった生活をするといい」

「そ、そんな、お父様!」

「お前はもうこの家の人間では無い。家名を口にしたら、お前を地の果てまで追い込んで殺すから、覚悟しておけよ」

「そんなことより、お父様、お母様。僕の才能は凄くないですか?魔力は宮廷魔法士レベルですし、それに、この聖剣士……」


弟と、両親だった人達の声が、やけに遠くに感じた。

僕は、このままどうなるんだろう。

漠然とした不安、期待していた未来への展望のギャップ。

僕の胸には、ただひたすらに絶望が広がっていた。



「とっとと家を去るがいい」

「サイガが生まれていなかったら、私、恥ずかしさで自殺していたかもしれないわ。二度と顔を見せないでちょうだい」


両親にそう言われ、最低限の金を手渡され、1人家を出て、トボトボと歩いていると、弟が追いかけてきた。

昨日はあんなことを言っていたけれど、もしかして、弟は内心

僕を案じていてくれているのでは無いか。そんなことを考えていると、弟は、こんなことを言い出す。


「いやぁ。何も知らないよりは、知っていた方がいいと思ってさ」

「な、何が?」

「いやぁ。僕の才能。全部兄貴の分を吸収したからなんだよね」

「な、何を言ってるんだ?」

「これだよこれ。贄の魔杖。血の繋がった対象の力を、別の対象に移す能力。お父様とお母様には黙っとけって言われたけど、こんな面白いことただ黙ってる訳にはいかないでしょ」

「そ、そんな……」

「ちなみに、僕の才能より、兄さんの方がずっと優秀だったんだよ?でも、シュタイン家に伝わる剣術に関しては、僕の方が上手だったからね。それが決定打だったみたい」

「か、返せ!僕の力を返してくれ!」

「はっはっは。悔しかったらこの杖を奪ってみるんだね」


僕は、全力で走り、弟を殴りつけようとする。しかし、弟はあっという間に僕の後ろに回り込み、僕は背中を殴られる。その衝撃で、僕は前に倒れ込む。立ち上がろうとすると、弟が足で踏みつけてきて、立ち上がれない。


「最後に、お父様とお母様からはやめろって言われてたけど、もう少し力を奪っていこうかな」

「や、やめ!」


弟が杖をかざすと、力が、みるみる抜けていく。そして、体までもが貧相になり、体力と気力、それに大事な何かがごっそりと抜かれていくのが分かった。


「お、以外に人並みの力は残ってたんだね。でも、それも今は僕のもの。これからは僕があの家の当主に選ばれる。君の分まで、優秀に働くつもりだから、安心してよ」

「お、お前……」

「あ、ちなみに、君普通の人間の才能すら奪われてるから、多分一生その体のままだよ」

「く、くそ……」

「それじゃあね。僕の出涸らし君」


僕はただ、弟の背中を見ることしか出来なかった。


感想、評価、ブックマークお待ちしております。

それが何より私の励みになりますので。

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