挑戦
「良き心がけ! わたしも混ぜろ!」と、三番隊長が手を乗せてきた。
握って握って――いや、重ねて重ねてと、気が付けば牡丹派の隊長は集まり、円陣を組むような輪を作っていた。
牡丹派の隊長たちがこんなにも暑苦しい女子たちだとは思いもしなかった。男子がぼくひとりとは居心地悪きことこの上ないが、男子顔負けの強い女子たちだ。
「今日の夜禅は全てが完璧でした。それは十番隊長、あなたの鼓舞のおかげです。ありがとう」
と、総隊長殿に言われた。しかしぼくが何かしたとは考えられない。なぜぼくに感謝の言葉を使うのだろう……。
「この身に宿る呪われし痣が疼いたのは初めてです」
と一番隊長が言うと、それに呼応して何人かの隊長が「初めて熱くなったね」「燃え滾ったよ」「呪いが呪いではないみたいな感じだった」などと話した。
呪われた痣? ……痣が疼くとな。うむ、難しい。実ノ國に伝わる言い回しか、それとも牡丹派内部での言い回しか。うん、そんなことはどうでもいいか。
「ぼくひとりのおかげではありません。隊長や他の隊員が守り守られと、いのちを尊いものとして動いたから今日の結果に結びついたのです。夜禅部隊の皆のおかげです」
「あなたは呪いを解く鍵やもしれぬ」
総隊長殿は言って優しい微笑み浮かべた。
「大層なことはできませんが、現世界の復興に挑戦します」
「挑戦ですか。挑戦するだけで立派ですよ」
と、隊長たちは微笑んでくれた。正直、冗談と受け取ってくれると思っていた。しかし違った。彼女たちはぼくの言葉に言の葉を乗せてくれた。
何となくだけど、この時に牡丹派が最高の派閥だと分かった。
こうして夜禅は、日の光に包まれながら終業となる。
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