表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異動ガチャ  作者: 泉北亭南風
29/40

29 精神障害者保健福祉手帳の申請

 自立支援医療の申請がすんなり認められたことで、私の中にあきらめに似た感情が湧き上がってきた。


 「これは・・・ホンマもんやな」


 適応障害発症から2年と少し。診断がうつ病に変わってから1年と少し・・・。回復には相当な年月がかかる・・・もう治らないかもしれない。そんなことを思い始めていた。


 クリニックの定期受診で、主治医の安藤先生に相談した。


 「先生。私って障害者手帳の対象になりますか?」


 「最終的には市の審査会の判断になりますが、主治医として診断書を書くことはできます。高槻さんの症状的には・・・2級・・・いや、3級くらいでしょうかね?」


 安藤先生は、私が障害者手帳の対象になると言い切った。


 「高槻さん。障害者手帳の申請は任意です。メリットは、さまざまな行政サービスを受けられることと、例えば公的施設の利用料減免が受けられることです。デメリットは・・・ありません。敢えていうならば、『障害者』としてのレッテルというか何というか・・・。でも手帳をぶら下げて歩いているわけはありませんし、自分から言わないと手帳を持っていることはわかりません。身体障害者手帳と違い、更新が2年に1回あります。その際不要ならば更新しなければよいです。」


 安藤先生はそんな説明をしてくれた。


 「先生。診断書をお願いしてもよろしいですか?」


 「わかりました。では次回の診察の時お渡ししますね。」


 7月末、私は区役所の保健センターで精神障害者保健福祉手帳の申請をした。その際証明写真を撮ったが、あまりの自分のやつれっぷりに軽くショックを受けた。結果が出るには1~2ヶ月かかるとのことである。


 そして9月上旬。保健センターからの通知が届いた。手帳ができたので、この通知と本人確認書類を持って保健センターに来るようにとある。通知には等級は書かれていない。私はすぐにバイクで区役所に向かった。


 「高槻さん。手帳をお渡ししますね。ご住所や生年月日等お間違いはございませんか?」


 係員氏が慣れた手順で確認を促す。そして等級は・・・


 「2級」とある。1、2、3級の2級。中程度の障がいということになる。

 

 私はどこか腑に落ちず、帰宅後等級判断の根拠を調べてみた。どうやら、私自身はできるともしくはできていると思っていることが実はできておらず、自分の認識と客観的な指標である手帳の間にズレがあるらしいことがわかった。


 次の定期受診で、安藤先生に手帳を見せた。


 「ふむ。2級でしたか・・・。私が書いた医学的診断だけではなく、社会的な要素を踏まえて審査会が判断した結果だと思います。」


 先生は軽く首をかしげてそう答えた。


 「精神障がい者」か・・・


 障害認定・・・症状固定・・・もしかしたら等級が軽くなることはあるのかもしれないが、もう完全に元の状態に戻ることはない・・・


 私は何とも言えない気分になった。


 日本の法律上の「障がい」は、「身体障がい」「知的障がい」「精神障がい」の3つに区分される。前二者は比較的認知されているのだが・・・


 「精神障がい」・・・どういうものなのか、自分でも正直未だによくわからない。周囲はおそらくもっとわからないのだろう。


 「わからない」に「知らない」が加わって、「怖い」という感情を生む。進む道は険しい。


 精神障害者保健福祉手帳取得・・・私がその入口に立った瞬間でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ