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64話--カレンとリンド--


 飛んでいる竜の口が開いて何やら発光している。これは――竜の息吹(ドラゴンブレス)だ。

 他4人は膨大な魔力から発される圧で動けないのか引き攣った表情をしたまま固まっていた。……そうか。【竜の威圧】!

 この中でまともに動けるのは私だけ。【八剣】を展開してそのうちの1本を開いている竜の口へ全力で投げた。

 盛大にガラスを割ったかのような音がダンジョン内に響き渡った。

 飛んできているであろう【竜の威圧】に私も【竜の威圧】を向けて相殺する。すると、辺りの空気が急に軽くなった。

 4人も息は荒いが呼吸を再開したようだ。

 

「あ、あーちゃん……? その力……」

「ごめん、説明は後」

「何故? 何故ですかねぇ!? 下等生物(にんげん)如きが【竜の威圧】の中で動くだけではなく同じく【竜の威圧】を出して相殺? ありえない。ありえなイ!!!」


 飛んでいる竜の上で騒ぐリンド。カレンも同じような疑問を抱いているのだろう。

 完全に復活した沙耶と七海が竜に向かって技能を放った。いつの間にか小森ちゃんが全員に上昇効果をかけている。


「【炎球】【土槍】【炎槍】」

「【速射】【強射】【貫通】」


 どれも全力の技能だ。夥しい量の魔法と強力な魔力が込められた矢が竜へと飛んでいく。

 当たったのか爆発した。轟音と共に煙で竜が見えなくなる。横を見るとカレンが竜が居るであろう方向へ手を向けていた。


「ん、私もやる。【炸裂する闇】【喰い散らす悪夢】【血槍】」


 沙耶と七海とは桁外れの魔力で技能が放たれた。

 竜に当たる直前――薄紫の膜のようなものに防がれた。

 ……あれを防ぐのか。動向を伺っているとリンドの声が聞こえてきた。

 

「おや、おやおや。この魔力はザレンツァの放蕩皇女ではありませんか!! 何故下等生物とご一緒に? あぁ、聞くまでもありませんね……」

「アラミスリド。今日と言う今日は許さない。七竜が全て顕現する前に闇竜を殺すなんて……!」

「信仰が古いんですよ、ザレンツァは。古代竜を基軸とした七竜信仰は過去の遺物……そろそろ我が主の寵愛を受けるべきなんですよ」

「胡散臭い魔王なんて存在は信用に値しない。古より強者として生き続けている七竜こそが正義」


 カレンとリンドが口論をしている。

 その間攻撃は来ず、攻撃はせず。私たちはその口論の行方を見守った。

 どうやら二人には国を挟んだ確執があるようで口論が収まる気配は無かった。

 少しするとカレンがため息を吐いて頭を掻いた。

 

「ごめん、あーちゃん。あいつは私に任せてほしい」

「分かったよ。思う存分やってきな」

「ん。闇竜のゾンビは……任せた。魂を世界に返してあげて……」

「了解」


 そう言うとカレンの姿が消え、竜の上でリンドを掴んでいた。


「向こうで、本気で戦おう」

「相変わらずクソ馬鹿力ですねぇ!!」


 カレンがリンドを竜から引きはがして別方向へ蹴り飛ばす。

 竜のコントロールが切れたのか竜は私たちに向かって咆哮をした。


「沙耶、七海、小森ちゃん。竜は翼膜で風の技能を使って浮いている。実際に戦闘した時はそうだった。ゾンビになっても変わらないはず」

「了解、翼に技能を打ちまくって竜を落とせばいいんだよね?」

「そういうこと」

「単純っすね」


 回帰前に古代竜と戦った時ほどの威圧感は無い。

 ゾンビとなった時点で生きているときほどの思考能力は無いし、そこまでの戦闘能力は無い。

 下に落ちれば私が戦える。息吹は私が物理的に防ぐから問題は無いだろう。

 

「沙耶と七海は左右に展開! 小森ちゃんは七海の方へ」


 指示を飛ばして展開させる。

 左右から技能が竜の翼に炸裂する。ターゲットを外さないように【竜の威圧】を当て続ける。

 カレンの方は大丈夫だろうか……。



次話が長いので切りのいいここまでとします。

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