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お姉様は私が守るッ〜姉バカ令嬢は全力で空回る〜

作者: 柴田じか

コメディーですので、ゆるーくご覧ください。


「スカーレット・ジークランド!お前との婚約を破棄する!」


バルザック王太子殿下の言葉に、お姉様は一瞬だけ瞳をゆらし、一度の瞬きで感情を隠した。そして、その素晴らしき頭脳をくるくる回転させて、あらゆる事を把握しつつあるのだ。

陶器人形のような見た目など、お姉様の仮面。いえ、武装?



ざわついた卒業パーティーの会場は、お姉様がすっと半歩進んだだけで、静まりかえる。


「理由をお聞かせしていただけますか?」


小さく紅い唇がわずかに動くのが、奇跡的ですらある。



「聞かねばわからないのか?『全能の淑女』が?」


バルザック王太子殿下は、学園で通っているお姉様の渾名を口にして、精一杯バカにしているようだけれども、バカにバカにされてもバカが晒されるだけで、お姉様の髪の毛一筋乱すことなど出来はしないのに。



「ーーフン。

お前は家族である妹、キャロルを陰でいじめ尽くしているそうではないか!可哀想なキャロルが何度も話してくれたぞ!」



キャロルーー私の名前が出て、お姉様の横に立つ私にも周りの視線が突き刺さる。ジークランド家の後妻の子供。

お姉様を見る視線とは全く違う種類の眼差しが。いくつも、いつも。ーーいつも通り。




「ーー王太子の妃となる者が、その様な悪辣な性質をもつなどあり得ない!国を、民を守る心の優しい者でなければ、我が妃にはふさわしく無いからだ!わかったか!」



「ーーそうでしたか」



お姉様が、隣の私を見る。

身長は、僅かに私が上だけれども、お姉様の視線はいつも私よりも上にある。伸びた背筋が、鍛えられた体幹が、高いヒールに耐えるその意気が、こんなにもお姉様を輝かせている。


その瞳に、小さく怒りが灯っている。

ーーごめんなさい。

すぐに謝りたい。抱きついて泣いて縋りたい。

でも、まだなの。

このバカは、否定も肯定もしていないお姉様の一言が、自分の謎主張が受け入れられたと勘違いして簡単に有頂天なんだもの。



「では、王家とジークランド家との繋がりを考えて、私はキャロルとの婚約を宣言する!」



お姉様は、ぱっと手を挙げて私の口を塞ごうとする。それを見切っていた私は、さっと後ろに下がって壇上の殿下に宣言する!



「お断りいたします!」



殿下の満面のドヤ顔が、固まる。



「なっ……!え!?k@5億w#」



後半は文字化けして言葉になっていない。聞く価値ないけど。



「ひとーつ!」

私は、指を一本、天井に突き上げる。


「お姉様の素晴らしさを理解しない人間など近くで息を吸うのも烏滸がましい!婚約者?『あり得ません』!」



「ふたーつ」

私は、指を一つ増やして掲げる。


「お姉様の素晴らしさを理解しない人間が、王太子妃を選ぶ? 国のため、民のためなど、言葉を飾ったところでその本質が見えていないだけではないですか!

その節穴が選ぶのが私!底が知れるというものです!自分に都合のいい言葉をくれる人間をはべらかしたいだけでしょう!

ーー生さぬ仲の私にこんなに良くしてくださるお姉様が、人を虐めるですって?あり得ません!」



ピクリとお姉様の眉が上がった。こういう時のお姉様は素早い。前方(と掲げた右手)に意識が傾いていた私はすぐに左腕を捕らえられてしまう。


「キャロル。ーー『生さぬ仲』は誤用です。……それは(お母様と私のような)、血縁の無い場合に使う言葉であって」


「でも、私とお姉様も血縁がっ」


お姉様は小さく首を振る。



「ーーあるの?えっ、なんで?ーー私、お父様の子なの?ーーだって、それなら、う、産まれたときっ、お姉様のお母様が生きてるじゃないですかあぁぁぁ!」


「ですから、お二人も貴女にはっきりとは言えなかったのでしょう…」



ぎゅうと抱きしめてくださるお姉様に縋り付く。温かい。

ここだけは。

この方だけは信じられる。


周りの学園の生徒たちはうんうんと頷いていた。公然の秘密というやつで、知らぬは本人だけという…。皆、2人は異母姉妹であり、キャロルが正式なジークランド家の子女であると知っていたのである。



「ーー男なんて大嫌いッ。お父様最低よッ。うわぁぁぁぁぁん!」



私は筋金入りの男嫌いなのだっ。

小さい頃に一緒に暮らしはじめた、素敵完璧お美しいお姉様ッに群がる虫ケラを払い落とすのにどれほど苦労したか。


ーー3年前、お父様が決めてしまった王太子との婚約。(それからお父様と喋るのはせいぜい一月に一回だ。今後は…一年は喋らないかもしれない。)


お姉様が将来の王妃になるというなれば、これ以上の相手はないし、でも、本当にお姉様に相応しい相手なのか、世界の宝物であるお姉様を託すに値する者なのか、私は不安で仕方なかった。

ただ、一部しつこい虫ケラ以外は、あっさりお姉様に距離を置いたのはありがたかった。その点、良い虫除けだった。



婚約者と言ったところで、相手は王太子。学生でもあるし、そうそうウチの屋敷にもやってこないし、会う機会は限られていた。


今年、私も学園への入学となり、やっと奴の仮面を剥ぐ機会を得たのだ。



少し興奮が治まってきたので、お姉様が私の頬をハンカチでそっとなでてくれる。



「お姉様…ごめんなさい」


お姉様が傷つき、怒りを覚えているのは私に関してだ。

私に、ではない。ご自身にお怒りなのだ。私を止められなかった事実に。



「私は好きにやったのよ?お姉様が傷付かないで」


ーー思いっきり傷付けた原因が言う!?


と、いう、ツッコミは私には聞こえません。あんなのとの婚約破棄など、傷になるものですか。



「私が殿下と浮名を流したことで、将来を棒に振ったとお考えなのですね。大丈夫ですわ!別に結婚などしたくありませんし、どうしてもしないといけないなら、あのストーカーと結婚すれば良いですから。あれなら、それが10年後でも、20年後でもずっと待つでしょうし!」


えへっと笑うと、お姉様は、深いため息を飲み込んだ。(普通の人はそこでため息をつくけれども、お姉様はそれを出しません!)



「同級生を、あれなどと呼ぶものではありませんよ。ましてや…」


「えっ、でも、アレ、本物のストーカーですよ?被害者がストーカーだと思ったらストーカーでいいと思います!」




「ちょっと待て!」


尊いお姉様との会話に割り込んできたのは、舞台上で固まっていた虫除けこと、バルザック王太子殿下で。



「まだいたの?みたいな視線は止めろ!キャロル!お前は王太子を欺いたのだな!?」



あ、この人一応私の視線の意味くらいは分かるのね。そして、邪魔です。


「欺いたーーと、申しますと?」



「この1年、お前は私に好意を寄せてきたではないか!そして、何度もスカーレットが虐めると!」



「ワタクシ、お姉様のように完璧にはなれませんもの。愚痴は『将来の兄君』たる、殿下にも聞いていただきましたわ。ええ、何度も」



「お茶がわからないとバカにされたと!」


「お姉様なら、ブレンドティーの茶葉の種類も産地もお答えできますもの。ミルクを混ぜても、ミルクの種類すらお答えされますわ。

産地を知ることは土地を知ること。土地を知ることは歴史を知ること。つまりは広く歴史の知識がおありなのです。

ーーそれに、お姉様は私をバカになど致しません。お姉様にバカだと思われたくないと申し上げていたのです!」



「ダンスが不恰好だと笑われたといっていたではないか!」



「お姉様のように、異国のダンスを身につけてはいないのですもの。外国(とつくに)のバレエダンスというもので、ピルエットという技法がございます。お姉様は、4回美しく回れるのですが、私は2回でぐらついてしまうのです。何度も挑戦すると、お姉様が『体幹を鍛えてから挑戦なさい』と笑って教えて下さったのです」



バレエは、お姉さまのお好きな時間で、先生と共に、温かい時間を過ごしました…。


「鍛えるーーそう!トレーニングを強要されたと!」



「体幹を鍛えるのに、お姉様がお付き合いしてくださいましたけど、強要などされていませんわ。そうそう。私のためにトレーニングメニューをご提案くださいました。その話は、殿下にいたしましたね。でも、お姉様は私のメニューの何倍ものトレーニングを積んでいらっしゃいますし」


「壁に立たされたのは!」


「姿勢を整えるのを手伝ってくださいましたの」


「1人だけ食事のメニューを変えられたのは!」


「身体作りによいものを、と。朝ご飯の大切さを教えていただきました。朝のフルーツは美肌にも良いのだそうです。でも、食べすぎも良くないのですって」


「髪型をっ」


「うっかり学校の木に引っ掛けてしまったのを、お姉様が髪を解いで直してくださったのです。いつも侍女がしているのに、お姉様はご自身でも整えられるのですよ!すごくないですか!」


「ドレスがっ」


「私とお姉様とは髪の色が違いますもの。似合うものが違ってきます。お姉様のように大人っぽいドレスでお茶会の話題になりたいと思うのは、私だけではないと思うのですけれども」


周りで、うんうんと頷く女生徒が幾人も。

ですよね!


「私、お姉様のようになりたい、とーー、頑張ってはみてもなれない、と、殿下にぐちぐちと申しましたわ」



項垂れていた殿下は、グッと顔を上げて、こちらを見る。顔面蒼白。


「ーー婚約の話は…ッ」


「だって、殿下はお姉様の婚約者でしょう?お姉様との婚約が破棄されたら、考えさせていただきますと。あら、まだ正式に破棄されていないのに、私お返事してしまいましたわ。申し訳ございません」



「…殿下…。確かに、キャロル嬢の言う通りです」


そっとバルザック王太子殿下の隣に現れたのは、舞台袖にでもいたのだろう、最側近の1人である、アイトワ様だ。

うん。確かに彼は護衛も兼ねたご学友として、だいたい殿下の近くにいて、私とのやり取りも聴こえていたはず。

意外にも、アイトワ様は、ここで引くよう説得?してくださるみたいだ。



「私がお側にいるとき、キャロル嬢は好意こそ見せても、一度も『好き』も『愛してる』も『結婚したい』も言っておりません」


あ、トドメ刺しに来たの?

事実ですけど!


「スカーレット嬢の渾名に、『湖面の鏡』というのがあるのはご存知でしょう。美しき景色を映す、揺るがぬ鏡だと。そして、キャロル嬢のことを『波紋』と」


知ってる。皆聞こえていないと思っているだろうけど、しっかり聞こえている。



「スカーレット嬢と比べての蔑称のように聞こえますが、違います。

揺るがぬスカーレット嬢を唯一揺さぶれる存在、スカーレット嬢の素直な姿を見ることの出来る唯一の存在という意味です」



へぇーーー、え?……で?

それ。どういう意味?



「ですから、まぁ…キャロル嬢が、殿下とスカーレット嬢との仲を裂くことは、当然予想の範囲内でした。結局、キャロル嬢の演技にまんまとしてやられたわけですが」


「予想してたなら、ちゃんと教えてくれよ!こんなことになる前に!」


「ーー卒業パーティーをこんなことになさったのは殿下ご自身ですから」


スッパリ。

今日もナイス切れ味。

アイトワ様は賢いのに、何でこんな殿下についていくのかな?修行?



ぐだぐだな空気を切り裂くように、突然広間に爆破音が爆ぜた!


ドガアン!


皆が振り向いたのは、舞台の真反対。

爆破音は、広間の大扉を誰かが強引に開け放った音だったのだ。

大扉は、爆破された訳ではないので、破損はしていないーーようだ。多少、がたつくかもしれないけれど。



その誰か、は、どれだけ離れていて豆粒サイズでも、推定多分その人だと学園の皆が分かる。

トレードマークの全身黒づくめで今日も現れた。

制服のジャケットすら黒に染め上げた、変人でも有名だ。


今日は、卒業パーティー。

どうやら、パーティーに相応しいーー制服ではないーー黒づくめで来たようだ。



「まさかのまさか、俺のキャロルを貶める声が聞こえたが?」



そしていつものトンデモ発言。

私はあなたのではありません。


「発言失礼します、ブラッドリー様。非常に良いタイミングでした。まだ殿下はジークランド姉妹を貶める言葉を発するギリギリ手前です!まさにグッジョブ!ナイス野生の感!」



返事をしたブラッドリーの同郷の親友のルノアール君(乱入にも付き合うなんて本当に仲良しね)に、しきりに拍手喝采を送るアイトワ様。

ーー疲労で壊れたかな?


「ふん。ルノアールの読み通り、我が愛しのキャロルの念願が叶ったところか」



私の念願、お姉様に相応しくない相手との婚約を破棄すること。ブラッドリーが知っていたの?以前から?

アイトワ様にも……お姉様にも気づかれなかったのに?



ブラッドリーは、いつものように自信満々に歩き、皆は気圧されたように道を譲っていく。

カラフルな花道を通って、卒業生でもない真っ黒のブラッドリーがこちらに来る。



「スカーレット嬢、ご卒業おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「婚約破棄も順調に?」

「まさか、王と大臣が纏めた婚約が、子どもの戯言で覆ることはございませんでしょう。殿下の気持ちもーー今更ですわ」

「はっ、キャロル、首尾よくとはいかなかったか」


私に話しかける前に、曇らせたお姉さまの気持ちをどうにかするべきでしょう?


「お姉様、直情的(バカ)なブラッドリーが言ったことなどお気になさらず、もうさっさととっとと家に帰りましょう!そうすべきです!婚約破棄も、殿下の気持ちははっきりくっきりなので、十分です!」


殿下の言質はとった。

今後の状況改善は、お父様の仕事っ。

だから家に帰るべし、です!


「卒業パーティーを混乱に陥れる、混沌の女神としても美しいがーーキャロル、このままでは満願成就とはいかぬようだ」


出口へ!とお姉様の背を押すのをやめて、いけ好かないストーカーを見る。


「まさか、ここまで周到に用意し、自主性に溢れた君が、今後は父君に全てヨロシクと、放り投げるはずはあるまいな?まさかな。愛する姉君の運命を、誰かに託す、と?」


カッチーーーン


「ーーんなはずないでしょっ!ワタクシがっ!お姉様をっ!意に染まぬ男の隣になど、うかうかと並べさせるものですかっ!」


「しかし、未だ婚約破棄は成されていないし」


「王の意向もあるのだから、当然でしょう」

悔しい。

悔しいけど、この場で確定など無理なのだ。国益とか、政治とか、大人の世界の話なのだから。


「しかも、君に新たな婚約者になれと」

「それは無理」

「私にではなく、彼に伝えるべきでは」

ブラッドリーの言う通りだ。

「殿下、私婚約も何も無理です」


アイトワ様にトドメを刺された後だからか、バルザック王太子殿下の顔色はすでに真っ白だ。


「殿下ー?聞こえました?無理ですからね!言いましたよ」


うん。反応無いけど仕方ない。


「言ったわよ!…なんであんたは嬉しそうなのよ?」


ブラッドリーは笑いながら、私の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。


「頑張ったな、キャロル」

「もー!猫扱いは、やめてってば!」

留学生であるブラッドリーが、実家で飼っている猫に似ていると言ってちょっかいをかけるのは今に始まったことでは無い。

いや、むしろココからスタートしたのだ。ストーカーが。

そんなに猫が好きか。


「しかし、この様な騒動を起こしたとなれば、君の今後はーー」


「まぁ、ブラッドリーが気にすることでもないけれど。色々とお叱りは覚悟の上でしたもの。結婚など…お父様には…今更ですが、怒りしか沸きませんし…まさか…浮気だったなんて…」


お姉様が、そっと、私の手を包んで、私はその暖かさに慰められる。慰められ、浮上したことで、自分が落ち込んでいるのだと知る。


「ーールノアール様、ちょっとよろしくて?」


お姉様はなぜか、ブラッドリーの悪友の名を呼ぶ。


「はい。スカーレット様」

「ここにいらっしゃる方は、留学生のブラッドリー様でしたわよね?」

「ええ、私と共にサテンカーリ国からこちらに留学しているブラッドリーです」

「サテンカーリは大陸で一番の大国ですが、『ただの』ブラッドリー様なのですよね?」

「ええ、とてつもなく高い御身分の方などでは決して無い、『一般貴族の』ブラッドリーです」


何なのでしょう。このやりとりは。

一般貴族とはあまり聞かない言い回しなのですが。

私が拾われた(元々お父様の子だった様ですが!)ジークランド家は、大臣を歴任し、広い領地を治めていますが、皆そうではありませんもんね。

そこそこの貴族のことを、一般貴族と呼ぶのでしょうね。


でも、サテンカーリ国は、我が国の三十倍もの国土があるから…?うーん…。

幼い頃平民として育った身には、貴族は貴族だ、ということで!



私一人納得している所だけれど、お姉様とルノアール君の謎の確認で、ブラッドリーも不審な顔をしている。いや、不審というか…不機嫌…?


「別に、お姉様はブラッドリーの家を馬鹿になどしていないからね。平民出身の私も馬鹿になどしたことがないのだから、ね?」

「ーー安心しろ。それは承知している。キャロルが私に心を砕いでくれるとは!」

「いや、まったく爪の先ほども心配しておりませんから」


輝くような笑顔を見せるな。安定のストーカーめ。


「では、私から一言申しても差し支えなど」

「一般貴族のブラッドリーが、ジークランド家の令嬢に何を聞かされても、答えはハイかイエスかありがとうございますしかございませんよ」


ーールノアール君、笑顔が気持ち悪いね…。お姉様も少し目を細めて。


「ブラッドリー様。我が妹キャロルを、同級生としてお優しくしてくださり嬉しく存じます。しかし、王家の婚約話に他国の方が口を出すのは内部干渉とみなされることもございましょう。

よもや、この話に『口添え』なさるほど羽根の軽い方とは思いませんが」

「勿論ですよ」

「我が妹、キャロル・ジークランドは、まだ婚約者はおりませんが、私の婚約がこの有様ですのでーー今は何一つ動きますまい」

「勿論ですね」

「『貴族の婚姻』というのも、本当にしがらみが多くーー真にこの子を愛する父や母がどのようになさるか……心が痛くなります…」


「お姉様っ!

私、お父様とは暫くお喋りもしないし、殿下との婚約は勿論、誰かと結婚とか全く考えていませんから!」


「でも…あなたはこんなに可愛いのだもの。私のことは関係なく、幸せになるべきよ」

「私の幸せは男の元にはございません!全てお姉様の元にあるのですっ」

「なんて愛らしいのかしら。貴女を包んで攫って誰にも見せたくないという不埒な輩が出ないか、本当に心配だわ。ねえ、ブラッドリー様」

「ええ…勿論です…」

「じゃあ、今後とも()()()として、温かく見守ってくださるわよね。嬉しいわ。ルノアール様も、()()()()()()()()()()()()でしょうけれど、今後ともお転婆な妹とお付き合いくださいませね」

「はい喜んで!」


ブラッドリーは、笑えていないし、ルノアール君はやたら嬉しげ。うんまぁ、お姉様と直接お話しできたら嬉しいよね!老若男女問わず癒しを与えるお姉様…!






ジークランド家の姉妹が帰宅した後、荒ぶる男が二人居た訳だが。

この場の誰と誰が後に婚姻を結んだのかというのは、また別のお話し、ということで。


まず、この時点のキャロル・ジークランドには、知る由もございません。

スカーレットお姉様も、ずいぶんな妹馬鹿です。


にぶキャロルは大国の…『一般貴族』に篭絡されるのか…!?


続く予定はなし!

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