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夏休みの終幕。

作者: 槻谷 充希
掲載日:2021/08/28

途中から何書きたいか分からんくなりました。

「無理だろ……」


 目の前の山積みになった課題の山を見て俺はため息を吐いた。


「大体、わざわざ課題作っていただかなくとも、受験生なんだから勉強するっての。」


 高校受験。人生で初めて分岐点。成績は良くないし金もないので俺は公立の高校をうけ、就職の道を選ぼうとしている。


「早いとこ自立して好きに生きたい。」


 正直なことを言おう。俺は家族が嫌いだ。しかし、感謝はしている。自分がこれまで生きてこれたのは親のおかげだし、退屈しなかったのも兄や妹のおかげだ。


 だが、俺は家族といると自分の無力さを理解させられる。なぜかって? 才に恵まれているからだ。


 親が言うには昔は俺も周りよりも優秀な人間だったらしい。学習が早く、一度やらせたことは簡単にこなしたそうだ。


 しかし、中三の今、俺はどちらかと言うと……いや、どこからどう見ても、周りよりも劣った人間だった。


 中の下に届かないほどの成績、周りを遥かに下回る体力、将来性のない趣味、落ち切った学習能力。


 学生のステータスであるすべてが常人以下なのだ。


 こんな俺にも親は俺に注文を重ねる。


「勉強していい高校入れ。」

「努力すればその分が身に着く。」

「スタートラインはみんな一緒なんだから、頑張んな?」

「就職に有利だから頑張んな?」


 もうやめてくれ。アンタらを見てると自分がどんどん惨めになる。


 努力した分が身に着く? スタートラインが同じ? アンタらは俺よりも遥かに早く生まれたのにそんなことも分からないのか? だったら教えてやるよ。この世界に平等も、公平もない。


 この世の中のスタートラインが同じなら、何故点数に差が出る? 同じ三歳児で勝手にひらがなを覚えた兄と、三歳児にやっと文字に触れた俺、同じなのか?


 生まれた国、時期、育った環境、親の教育方針。全てにおいて必ず「差」が生まれる。それなのにお前らは俺が劣っている事ばかりを比べ鬼の首でも取ったかのように俺を責め立てる。


 誰かより劣っていてもいいと言うくせに要求してくるものは常に『完璧』だ。


 失敗してもいいと言うくせに失敗をしたら自分の満足がいくまで責め立てる。


 過程が大切なんだと言うくせに、求めているものは常に結果ではないか。


 あなたの為に言ってるの? 違うだろ? 全ては自分の為だ。 親であろうと先生であろうと、見えているのは全て自分だ。


 才のない人間がどれだけ努力しても才のある人間たちには到底及ばない。


 たとえ泥水を啜ろうと、血反吐を吐こうと、天地がひっくり返っても才ある人間には追い付けない。


 だが、才ある人間は口をそろえて自分の成功は努力だと言い張る。


 だから才のない人間はその到底及ばない人間たちに追いつこうとする。


 誰かに夢を与えるということはそれと同じぐらい絶望を与えることに等しい。


 そんな残酷な事をする家族が、俺は嫌いだ。





 絡まった思想をよそに俺は課題に手をかける。


 夏休みが、終わりを告げようとしていた。

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