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転職アイテム

7月5日に拙作「小説版・生き返った冒険者のクエスト攻略生活」2巻が発売となります!

こちらもどうぞ、宜しくお願いいたします!

名前:天水 ソラ

Lv:21→22 ランク:E

SP:5→10 職業:中級荷物持ち

STR:25 VIT:24

AGI:56 MAG:0 SEN:15

アビリティ:【成長加速】【初級二刀流術】+

スキル:【完全ドロップ】【限界突破】【インベントリ】

装備(効果):短剣+、革の胸当て+、ゴブリンキングの小手、漆黒のブーツ(隠密性+)、吸血の腕輪(AGI+16)


 レベルが1つアップした。

 Fランクダンジョンでは、4つクリアしてやっとレベルが1つ上昇したことを考えると、FとEには取得出来る経験値にかなりの開きがあるようだ。


 ステータスボードを広げながら、ソラはそれとなく周囲を見回した。

 公園にはそこそこ人の姿がある。ソラにちらり目を向ける者はいるが、ステータスボードを見ている人は誰もいない。


 ソラは先日、春日さくらの前でステータスボードを広げた時に、それとなく気付いていたが、ここへきてハッキリした。

 ステータスボードは、ソラ以外の人の目には見えないようだ。


 これで心置きなく、他人の前でステータスボードを確認出来る。

 とはいえ、下手にボードを弄ると変な奴だと思われかねない。


 また勘の良い人ならば、ソラの動きで何かあると気付くかもしれない。


(さすがにステータスボードがあるとまではわからないだろうけど……)


 気をつけるに越したことはない。

 人前ではボードにはなるべく触れない方が良いだろう。


 今回Eランクのダンジョンを攻略して、得られたアイテムは二つ。

 一つはアクセサリーだ。


名称:緩衝のネックレス ランク:R

VIT:+10 精錬度:―

装備条件:なし

説明:スライムの粘力で作られたネックレス。VITを大幅に増強する。


 足りないVITを補えるのはありがたい。

 ソラは早速精錬し、装備する。


〉〉VIT:+10→16 精錬度:―→6


 次のアイテムは、武具ではなかった。


名称:覚醒の宝玉 ランク:S

使用条件:Lv20以上

説明:使用者の能力を最適化する。


「――ッ!」


 その文言を確認したとき、ソラは思わず声を上げそうになった。

 僅かに浮いた腰を下ろし、ベンチに深くもたれかかる。


(まさか、自分が手に入れられるとは……)


『覚醒の宝玉』は、冒険者の能力に合わせて適切な能力を引き出すアイテムだ。

 主にボスからドロップする、レア中のレアアイテムである。


 これを使うと、冒険者の能力が覚醒するといわれている。

 現に、使用した者は新たなスキルを覚えたり、これまで以上に機敏に動けるようになったという報告がなされている。


「いったい、どういう仕組みなんだろう?」


 ステータスが底上げされるのか、あるいは『再分配』が起こるタイプのアイテムなのか。

 新たなスキルが獲得出来る、という可能性もある。


 いずれの場合でも、使用者のこれまでの戦闘スタイルと大きくかけ離れる、といった事象は報告されていない。

 いまのスタイルに沿った形で、戦力が上昇するようだ。


 事実、説明文には『使用者の能力を最適化する』とある。使用した途端に、戦闘スタイルが大幅に変わることはなさそうだ。


「これを売れば……」


 ゴクリと喉が鳴った。

 もしこれをオークションで販売すれば、スタート価格は最低でも一億円になる。

 入札者の熱気にもよるが、十億、二十億は優に超えるだろう。


 これを一つ売るだけで、(税金を引いても)一生働かずに生活出来るだけのお金が手に入る。

 大金に化けるアイテムの出現に、ソラの体中で鳥肌が立った。

 心拍数が上昇し、自然と呼吸が上がる。


 ソラはコーヒーを飲んで、気持ちを落ち着ける。


(これを売っても、自分のためにはならないよな)


 オークションは、冒険者やそれに関係する企業しか出入札が出来ない。

 商品登録、落札など、すべての段階で個人情報が記録される。

 その上で、不審な出品物には厳格な監査が行われる。


 もしFランクのソラがこのような高額商品を出品すれば、必ず監査が入るだろう。

 盗品や詐欺などを疑われ、しばらくの間拘束される可能性が高い。


 もしソラがAランクの冒険者なら、疑われることはないはずだ。

 すべてはFランクであることが悪い。


(売るにしても、ランクを上げきってからの方が良いよな)


 ソラには【完全ドロップ】スキルがある。

 もう二度と手に入らないわけではない。

 ならば、今はこれを使って力を底上げした方が良い。


 ホットドッグの残りをコーヒーで流し込み、ソラは場所を移動。

 公園のトイレの個室に入り、インベントリから覚醒の宝玉を取り出した。


「これが……」


 推定数十億のアイテムを持つ手が震える。

 一度深呼吸をし、意を決して宝玉を握りしめた。


 ソラの手から宝玉の感触が消えた。

 次の瞬間、パッと宝玉の破片が拡散。

 破片はキラキラと光を放ちながら、ソラの体内に吸い込まれて消えた。


 十秒、二十秒。

 しばらく注意深く体を観察するが、変化は見られない。


「まさか、失敗!?」


 ソラが青ざめる。

 しかし――変化は遅れて現れた。

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新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
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