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こんなにかわいい女子高生なのに、どうして魔王って呼ばれるの?  作者: 牛一/冬星明
第2章『ロマンスと言えば、迷宮ね!』
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2.からかうことが趣味なのかしら?

ギルド長が改めてギャバクラ嬢を紹介する。

鼻を下げて、色香に惑わされているんじゃないか?


まぁ、話はちゃんと聞いておく。


「こちらの方はジェネットさんと言われる迷宮探査家です。ダンジョンと違い迷宮は魔物を発生しない不思議な空間です。その原因を探るのが迷宮探査家です。この領都クライシムの東にも1つあります。特に危険も少ないので新人研修の場として使われています。『鮮血の誓い』のみなさんもよくご存じのハズです」


私は知りません。


何でも迷宮には宝物が残されており、それを探して多くの冒険者が迷宮に挑んだらしい。

らしいと言うのは、もう古い過去形だからだ。

東にある一〇階層の迷宮には、もう宝はない。

故人がすべて持ち去っていた。


しかし、ゴブリンやオークのような魔物が根城にすることがあり、掃除を兼ねて新人研修が年に一度行われる。


G、H、I、J級の駆け出し冒険者が研修に参加してクラスアップに挑んでは力不足を痛感させるのが研修に目的らしい。


そう、危険性を教える研修だ。


ランツら冒険パーティ『鮮血の誓い』も駆け出し冒険者の子守として何度も参加して、隅々まで知り尽くしていた。


そんな判りきった説明を私にしている間もギャバクラ嬢のジャネットは足を何度も組み直し、私達を品定めでもするように見ていた。


足を組み直す度に男達が振り返った。


こいつら駄目ね!


「気に入った。この子達にするわ」

「ホッとしました。先ほども申しました通り、D級の冒険パーティは彼らしかいませんので、気に入って頂いてよろしかったです」

「ちょっとまだ依頼を受けるなんていってないわよ。ねぇ、ランツ」

「えっ、受けないすか?」

「私、アスネトに一票」

「私もお断りしたいと思います」


魔女のニーサさんは保留したので女性3人と男性2人で割れた。


「ばかもん、これはギルド長命令だ」

「ギルドの特別依頼ですか? それなら考えてもいいですわよ。キルド長」

「…………」


特別依頼、金貨1000枚以上で貢献ポイントが1000ポイント付く。

領主以上か、ギルド長が発布できる。

当然、ギルド本部に連絡が行くので、ギルド長の成績に直結する。


はっきり言おう。


どこかの国の王宮魔導師であっても身分を明らかにしていない以上、ギルド長の成績に傷が付く。


ギルド長は色香に惑わされているが理性は失っていないようだ。


「断られると困るわ。せっかく気にいったのに!」

「他を当たりなさい」

「処女の少女がその怒った顔もすてきよ」

「しょ! 処女は関係ないでしょう」


そんな反応すると面白がられるわよ。

流し目でアネストを見下している。


ホント、アネストをからかって面白そうに笑っているように見えるわ。


心からなら軽蔑するな!


「そちらの処女の美少女もいいわ」


こっちを見るな!


「それはありがとうございます」

「へぇ、見かけより気が強いのも気にいったわ」

「残念です。私は益々嫌いになりました」

「それは残念だわ」


からかっているのか? 本気なのか?


どちらにしても遠慮したい。


「あなたはいけないわ。清潔であるべき僧侶が純潔でないなんて神への冒涜ね」

「いつの時代の話をしているのですか?」

「昔も今も変わらない」

「随分と処女に拘るのですね」

「私の趣味なの!」


これで交渉決裂決定だ。


ソフィアはこのパーティの裏番だ。


ランツの姉みたいなものであり、頭が上がらない。


ふっ、ソフィアを怒らせて、ジャネットはにっこりと笑う。


何がそんなに面白いのだろう?


「これでどうかしら?」


なるほど!


ジャネットがテーブルに置いたのは2枚の白青銅メダルである。


メダル1枚が大聖堂に金貨1000枚を寄付するのと同じ価値を持つ。


それが2枚だ。


ソフィアがその場を離れようとしていた足が止まる。


大聖堂へ貢献度150ポイントを注がないとソフィアは神官になれない。


メダルを2枚、手にいれるとソフィアの貢献ポイントは50ポイントを超える。


それで二桁台に入る。


法官士以外には何の価値もなりメダルだが、神官を目指す者にとって貴重なメダルであった。


「判りました。まずは依頼の内容を聞きましょう」


迷宮探査家の目的は迷宮しかない。


どんな仕事であれ、迷宮に連れて行くだけでメダルが2枚手に入るなら、多少の不可解な発言くらい享受して上げるとそんな感じで言い切った。


私が金貨2,000枚を上げるから断って欲しいな!


でも、稼いだお金は母の教会に寄付するのがソフィアなのよね。


「肉欲の間を探しているのよ。肉欲なあなたなら知っているのではなくて!」

「知りません」

「おかしいわね。淫らことが大好きな人なら見付けていると思ったのに?」

「とにかく迷宮の案内を致しましょう」

「ありがとう。肉欲の法官士さん」


あぁ、怒っている。怒っている。


このキャバクラ嬢のようなジャネットさんはソフィアを怒らせたいのか?


私を見てウインクをする。


訂正。


私達を怒らせたいのかな?


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