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消滅の魔女と四英傑 〜天才少女、異世界へ降り立つ〜  作者: ディノ
序章 エディノーツ学園入学
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生徒会長

キャラ紹介


ミュラー・ハウセル


二百年近く生きてる龍人の特別生

クリスのサポートとして来たがクリスからはその実力を一番疑われてる。

割と真面目な性格で冗談でも本気で受け取ってしまうことが多い。

永い年月生きてるだけあって物知りだが、若者の流行に関しては疎い。

世界に六人いる『覇龍種』で災害級の嵐を呼ぶことが出来る。

『覇龍種』の中では一番若い。

エディノーツ学園の入学式は無事に終了した。

クリスは面倒と言いつつも立派に首席の勤めを果たした。


「あれだけ、やる気がなかったくせによくもまあ、あれだけ達者な事を言えたものだと感心してしまうくらいだ」


ミュラーは半ば呆れながらも感心していた。


「完全にアドリブなんだけどね。それらしく言うくらいなら簡単に言えるわ」

「成績がいい優等生が言うことではないな。それで、俺を屋上に呼び出したのは何かあったからか?」


ミュラーを屋上に呼んだ理由、それはアシュナの件だった。


「まったく、何が油断するなよ!!完全に箱入り娘じゃない!!どうして私が『剣帝』のお守りをしないとならないのよ!!」


クリスは一方的に話すため、ミュラーは事態を理解できていなかった。


「悪い、最初から詳しく話してくれないか?」


クリスは改めて最初から説明する。


「祖父に大切に育てられたのは知ってはいるが、そこまでは知らないからな。それ以前にお前が女だったとはな」


ミュラーは一回で納得した。


「アレの何処が強いのよ!!強い要素ゼロよ!!いくら、鬼人が怖いからって過剰に言ってるでしょ!!」

「落ち着け、これは龍人の名誉の為に言わせてもらうが俺は決して鬼人を怖れていない。ただ不用意に関わるのは危険だと言っただけだ」


ミュラーは鬼人を怖れている事を完全に否定する。


「へぇ、俺っち達に手も足も出ない弱い種族が何を強がってんだ?」


屋上の入り口を見上げるとそこには、糸目の一角の鬼人がいる。


「チッ、鬼人が何のようだ!!」


ミュラーはその鬼人を睨みつける。


「あのさぁ、俺っちこれでも先輩だぜ。敬う必要はなくとも立場ってもんを理解しような。んん?」


鬼人はミュラーを一瞥すると視線をクリスに向ける。


「俺っちが用があるのはおまえだ」


鬼人が視線をクリスに向けた瞬間、クリスは視線をわざとハズす。


「俺っちは、会長に頼まれてこの手紙を届けに来ただけだよん。ああ、俺っちは三年のジンク・シラカ、『遊剣』の使い手といったところだ。」


ジンクはクリスにしか眼中にないように話を続ける。


「会長が特定の相手に興味を持つのは滅多にないから、実はジェラシーを感じてたりしなかったりした訳さ」

「ああ、そう。ならこう伝えておいて。興味ないわと」


クリスは手紙も見ずにそう答える。


「それは手紙を見てから考えてもいいかと」


ジンクがクリスに手紙を渡すとクリスは渋々受け取る。

クリスが手紙を受け取ると同時に手紙が消滅する。


「もう一度言うからちゃんと伝えなさい。興味ないわ」


クリスはジンクを睨みつける。


「そか、それがアンタの答えならそう伝えておこう。それじゃ、邪魔したな」


ジンクはその場を去った。


「お前、アイツがどれほどヤバい奴か分かってなかっただろ」


ミュラーはクリスが襲われないかハラハラしながら見ていた。


「『遊剣』の使い手って言ってたわね。それって凄いの?」


「『遊剣』は鬼人が扱う剣術の一つ、鬼人の中で最も多くの流派がある剣術だ。鬼人には剣などの刃物で曲芸をする文化があった。それを剣術に取り入れたのが『遊剣』だ」


要するに遊びの過程で出来た剣術らしい。

とても強いとは思えないが、剣術として完成しており鬼人以外でも扱う者がいるという話である。


「しかし、本人の目の前で消滅させるのはマズイのではなかったか?」


ミュラーは流石にクリスの行為は断るにしてもやり過ぎだと思った。


「何となく、さっきの奴の感じとこのタイミングで手紙の内容は分かりきってるもの一々見てやることなんてないわ。これ以上、私の面倒を増やしてなるものか!!」


クリスはあの手紙の内容が生徒会への案内しか考えられなかった。

クリスには、ルームメイトの問題で頭が一杯でこれ以上はお腹いっぱいだった。




生徒会が利用する部屋は会議室二部屋以上の広さがある。

そこで、ジンクは眼鏡をした金髪ロングのお嬢様風の女性の魔人と話していた。


「まさか、会長の誘いを断る者が現れるなんて!!」

「それは会長に脅すなと釘を刺されたからで、脅せば首を縦に振らせる自身はあったんだけどねぇ」


ジンクは口調のせいか胡散臭い青年ではあるが、生徒会の中では実力者の一人である。


「ジンクにその手のお使いを頼むのはやめた方がいい事は分かりきっていたからいいけどね。彼女が駄目でもまだいるじゃない。特別生が・・・」


副生徒会長のジェニス・クロスが別の特別生を誘う事にするが、ジンクは即座に反対する。


「それは無理、アシュナとライチェスはまだガキだ。会長が賛成するとは思えねえ。あの龍人は俺が気に入らないから問題外、もう一人は存在はしているようだが気配すらないんだ。どこにいるか分かったもんじゃない」

「鬼人と龍人が相容れない存在なのは知ってるけど、ここまで来ると面倒ね。でも、龍人が入学なんて珍しいわね」


ジェニスは龍人が人の里に滅多におりて、ましてや学業に勤しむとは思えなかった。


「何も珍しい事ではないけどよ。奴等は『智の神徒』の可能性が大きい者が現れると必ずその下に使える。そういう奴等だ。しかし、あの龍人・・・今回ばかりはかなり本気なのは分かったよ」


ジェニスは、そういえばあの龍人を見た瞬間に喧嘩をするジンクが今回は何もしなかったのに疑問を抱いていた。


「龍人相手に珍しく大人しく帰って来ると思ったらそういうことね。でも、鬼人はあの樹があれば龍人なら敵なしなんじゃないの?」

「・・・それは、鬼人なりの見栄という奴や。鬼人でもどうにもならない龍人が存在する。それが純正の龍人の中でも覇龍種は鬼人数人がかりですらかなり厳しい。アレを相手するのは割に合わん」


ジンクはあの龍人が相手をするには割に合わない相手だと知っていた。


「ライチェス君はあの歳で複合魔法が高位の域に達してるし、今年の侵入生は化物ばかりね」


改めて見ると凄い面子だとジェニスは思ってしまった。

それと同時に生徒会になんとしてでも入れさせたかったのである。


「ところで会長は?」

「伝言を伝えたら楽しそうに出て行った」

「あらら、会長の興味を引いちゃった訳ね」


ジェニスは遠い目をすると可哀想にと告げる。




クリスは教室に入ると目の前にアシュナが立ちはだかる。


「邪魔なんだけど」

「ライちゃんがあなたに勝ったら付き合ってくれるって言ったの」

クリスはどういう事だとライチェスを睨み付ける。

「も、申し訳ありません。師匠!!こういうしか諦めてくれそうになかったものでして」

「はぁ」


クリスは溜め息をこぼす。


「あんた、今朝の準備誰が手伝ってやったっけ?」


クリスはアシュナに今朝の事を話す。


「私はいいのよ。遅れても怒られるのはあんただから」


ルームメイトなのでクリスも怒られる可能性もあるが、クリスにとってはどうでもよかった。


「明日は一人で準備してね。自分の事もろくにできない子供が恋人なんて粋がってんじゃないわ!!いいから来なさい、相手してあげる。その代わり、明日の準備は手伝わないわよ!!」

「!!」


アシュナはクリスの言ってる事を理解すると不安げな表情をする。


「そんな!!」

「別に私はあんたを助ける義理はないの。そうね、聞き分けのいい可愛い妹分なら助けない事はないわ」


クリスは意地悪く笑いながら話す。


「本当!!」

「ええ、その代わり、三つの事を守ってもらうわ。一つ、私の事を姉さんと呼ぶ事。一つ、私に余計な面倒はかけない事。一つ、節度を守ったお付き合いをする事。これを守れるなら、あんたが自立できるよう手伝ってやるわ」

「でもでも・・・」


アシュナはライチェスをチラチラ見ている。


「だから言ったじゃない。節度を守る分にはライチェスを好きにして構わないわ。師匠の私が許可するわ」

「そんな!!あんまりです師匠!!」


ライチェスは必死にクリスにやめてくれと懇願する。


「私の許可なく勝手に話しを進めた馬鹿弟子と可愛い妹分なら可愛い妹分を応援するのは当然じゃない」


クリスはライチェスに諦めろという。


「節度を守るってどういうこと?」

「時、場所、場合を弁えろと言ってるの。ここの場合、授業中ね。それ以外ならライチェスを好きにして構わないわ」


クリスがアシュナに話すとアシュナの表情が明るくなる。


「わーい、ありがとう。お姉ちゃん」

「し、師匠それはあんまり・・・ぎゃああああ!!」


アシュナはライチェスに抱きつく。


「これで良かったのか?」


後ろからミュラーが声をかける。


「私としては面倒さえなければ問題ないわ。何か問題ある?」

「いや、俺としても『剣帝』は敵に回したくはないからな」

「本当に龍人は鬼人が怖いのね」

「だから、さっきも言ったようにだな」


ミュラーは弁明したいようだが、クリスは認めなかった。


「それじゃあ、いい機会だから仲良くなれば」

「悪いがそれは無理な相談だ。分かり合えないから今に至るんだ。俺としてはどうでもいいことだからな」

ミュラーは、別に仲良くなる必要はないと思っている。


「クリスさんはいますか?」


ミュラーの背後にに白髪の青年が立っていた。

その青年は生徒会長の挨拶で挨拶をしていた者だった。


「いないわ」


クリスは即答する。

「なるほど、アナタが・・・」


白髪の青年はクリスを眺める。


「う〜ん、パッと見だとジェニスと同レベルかな。想像より弱いからガッカリですよ」


青年はクリスを挑発する。


「そうね。少なくとも、私はこの龍人やそこの鬼人よりは弱いわ。だから何?私は別に最強を求めてないの。それこそ興味ないわ」


クリスはミュラーやアシュナより弱いのは知っている。

だが、クリスは誰が強くて誰が弱いなど興味はなかった。


「強さ比べをしたいなら一人でやってなさい。付き合ってらんないわ」

「ジンクから聞いた通りな方です。面白い、面白いですよ。最高に面白い!!」

「私は訳の分からない奴に絡まれて面白くないわよ。興味ないからどこかに行ってくれない?」


クリスはうんざりした様子で青年を追い払う。


「それなら逆に聞くけど君の興味が湧くことってなんですか?」

「それを聞いてどうするの?」

「気になったから聞いただけですが?

青年は思わせぶりな態度をとっているが、クリスは全く意に反さない。


「そうね。むしろ、それが何なのかに興味があるわ」

「まさか、自分自信も分かってないとは」

「というのは、冗談よ。ただ単に面倒だから言ってるだけよ」


クリスはただ単に面倒臭いだけだった。


「やれやれ、どうやったら君はやる気を出すんですか?」

「あんたが目の前から消えて、二度と私の視界に現れない事を誓うなら出すかもね」

「それは無理な相談です。私は生徒会長、壇上に上がれば否が応でも視界に入ってしまうでしょう」

「その時は私が目を閉じるから問題ないわ」

「話しを聞く時は相手の目を見て聞けと教わらなかったのですか?」

「生憎、そんなことを教えてくれる殊勝な人間なんていなかったわ」

「そんなはずはない。君にだってご両親が・・・」

「そんなものはいないわ!!」


クリスは即答する。

両親にとって彼女をいなかった事にしたかったように彼女にとって両親とはいないものなのだ。


「・・・成る程、今ので君という人間が少しばかり分かった気がしました」


この青年は、クリスの一瞬の心の変化を見逃さなかった。


「私はエリック・エディノーツ、生徒会会長です。気が向いたらよって下さい。部活練三階ですから」


エリックはクリスにお辞儀をする。


「いいの?まだ、勧誘は終わってないわよ。それとも諦めたのかしら?」

「いや、これ以上機嫌を損なわないうちに退散した方が良さそうですからね。気が変わったらでいいから、名前だけでもいいから入ってくれませんか?」


エリックはクリスに握手を求める。

クリスは渋々その握手に応じてこう答えた。


「前向きに検討するわ」


つまり断る時の常套句である。


「その時を楽しみにしてます」


その時は永遠に来ないわよとクリスは心の中で思っていた。

エリックがその場から去るとミュラーが歩み寄る。


「生徒会に入るのか?」

「何のこと?」


クリスは入るとは言っていなかった。


「前向きに検討すると言っていた気がしたんだが」


クリスはここで察した。

この世界ではそういう常套句が存在しないということを


「前向きに検討するとは言ったけどやるとは言ってないわ」


つまり、文句を言われてもそう言い返すということである。

それを理解したミュラーは深い溜め息をこぼした。

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