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学徒

翌日、『マギナフェスタ』一日目ライチェスは結局返って来なかった。

それどころか、行方不明になり捜索願いが出されていた。


「なんで、こんなことになってるのよ」


クリスはライチェスが行方不明になる事は完全に予想外だった。


「ライちゃん」


アシュナは泣きそうになっている。


「私が守ってあげなかったから」


アシュナは自分も一緒に行けば良かったと後悔している。


「何かあったとしか思えないわね」


クリスは何があるか可能性を考える。

可能性としてはライチェスがゴーレムに襲われた可能性である。

だとしてもあの男があの程度に遅れを取るとは思えなかった。

クリスは、ライチェスは爆撃系の魔法が多い気がしている。

ああいう相手は持ってこいなのだ。


「でも、あいつがそんな簡単にやられるとは思えないのよね」


クリスはとりあえず依頼主のラチェットンの話しを聞いたが何処かが怪しかったというよりも怪しさしかなかった。

ライチェスは昨夜何処かに出かけ帰って来ていないと話しており、それについて何か心当たりがないかを聞いても知らないの一点張りだった。

それよりもアシュナへの当たりがきつくライチェスじゃなくても腹が立って来た。

自分でこれなら、アシュナが大好きなあの男はよく我慢できたとライチェスの辛抱強さによってクリスのライチェスに対する評価がますます上がる。

そう考えるとミュラーの辛抱の弱さが垣間見えミュラーの評価が下がる。

あの男がキレた時がクリスは想像できなかった。

アシュナに骨を折られても、痛がってはいるがアシュナに怒ってない辺りが凄いと思うが、ニーナのようなドMの可能性も否定できないが、アシュナに毎回加減してくれと頼んでる辺り痛いのはやはり嫌なのだろうとクリスは安心した。

クリスとしてはこれ以上ドMが増えるのを勘弁して欲しかった。


「でも、魔法を使えない状態じゃやられちゃうよ」

「むしろ、どうすればそういう状況になるか聞きたいけど、一人なら魔力が枯渇する可能性があるからね。それにしても、あのオッサンの方が胡散臭さ満点よ。アレは何かあったか間違いないと思うけど・・・」


クリスはアシュナに視線を向ける。

あの男は基本的に自分の事に関しては怒らない、それならばやはりアシュナのこと絡みの可能性が一番高い。

むしろ、あの男が怒る理由がそれ以外にあるなら教えて欲しいくらいであった。


「あいつが怒る理由はあんた絡みの可能性が高いわね」

「どうして?」

「直接伝えないあいつもあいつで悪いけど、あそこまであからさまなのに気付かないこいつも悪いわね」

「・・・知ってるよ。むしろ知らなかったことなんてない。ライちゃんはいつも私を助けてくれる。力しか取り柄がない私をいつも影で支えてくれてる。ライちゃんは自分の事を駄目な奴ってよく言うけど私はそう思った事は一度たりともないよ。ライちゃんはね、いつも最後に約束は守ってくれる。私が待っていると必ず来てくれる。だから、私は待ってるのライちゃんが返事をくれるのを」

「・・・どこのヒーローよ」


クリスはアシュナがライチェスをヒーローだと思い混んでいてもあの男がそんな大層な器には到底思えなかった。


「私にとってのヒーローはいつだってライちゃんだよ。ライちゃんは私をいつも助けてくれる。守ってくれる。支えてくれる。側にいてくれる。私にとって一番のヒーローだよ」

「あいつがカッコイイ所ってあった?あんたに対してはただヘタレてるイメージしかないわ」

「だから、いいんだよ。ライちゃんはやる時はしっかりやってくれる。だから、普段はカッコ悪くてもいい。それにライちゃんはヘタレじゃないよ。出掛ける前にギュッて抱きしめてくれたよ」

「それは知らなかったわ」


アシュナからのスキンシップはよく見てるから分かるが、ライチェスからは見たことがなかった。

それと同時にそれが、ライチェスの死亡フラグになっていないかクリスは不安になった。


「でも、こんなノーヒントな状態じゃ見つけられないわ。せめて、目撃情報でもあれば」


クリスはせめてニーナをライチェスに付けておけば良かったと思ったが、事が終わってからではもう遅いのだと諦める。


ーーーーー


街外れの小屋で彼女は水槽の前に立っている。

その水槽の中にはライチェスが浮かんでいた。


「まさか、こんな大当たりを持って来るなんてついてるわ!!なんとか心臓は動き出したから後は目覚めるのが楽しみだわ。はぁ、なんて神々しいのかしら♡」


女はライチェスのある一点に熱い視線を向けゴクリと生唾を飲み込む。


「大人顔負けとは正にこのことね。魔人にしては珍しいわ。鬼人でもこのクラスは絶滅危惧種ね。それにまだこれでも眠った状態、覚醒したらどんな凶悪な怪物に!!正に接触禁忌種クラスね」


女は興奮を隠せないでいた。

その為、ライチェスの回復を待っている。


「その前にまずはあのショタ・・・いや、私を騙したあの『消滅の魔女』に目にものを見せてやるわ!!」


女はゴーレムの目を通してクリスの魔法を見て『消滅の魔女』だと気付き、騙された事に怒りを隠しきれずにいた。


「どうやら、これを使う時が来たみたいね。データ収集には持って来いの相手だわ」


女は瓶に入った光る石を取り出し、外の地中に埋める。

これで石の魔力が尽きない限り半径百メートルの範囲内にゴーレムが地面から無限に生成される。

石は大地の魔力を吸い取る為、魔力切れが起こす事はなく、そしてこのゴーレムは倒される度に、相手の戦力に合わせて強化されるという特徴がある。

要するに倒す度に強化されるゴーレムを無限湧きさせる石なのである。

唯一の弱点が石の絡繰がバレたらそれで終わりだという事であった。

魔力供給源である石が破壊されればゴーレムは全て自壊してしまうのだ。


「これが上手くいけば次の段階へ、男の子達の楽園へ一歩近付くわ!!」


ーーーーー


クリスはせっかくの稼ぎ時である『マギナフェスタ』をライチェス捜索と男の子誘拐事件の両方を解決するために時間を割いていた。

クリスは二日目と三日目には行方不明になってるライチェスにその身を削り手伝ってもらおうと思っている。


「それで、犯人の情報って?」


クリスはギルドに呼ばれたので行ってみると犯人の資料を渡される。


「フェラチア・アネル、土魔法を専攻しており、主にゴーレムの研究と不老不死の研究の論文を残しており、過去に子供がいたことだけはハッキリしているんですが・・・」


クリスはなんだその危うい名前はと思ってしまった。


「そこまで分かってるなら、十分よ。あのフェラチアが男の子を攫ったゴーレムを操っているのは間違いなさそうね」


クリスはとりあえず、男の子誘拐事件の解決は見えて来たが、ライチェスの情報を知るライチェスの叔父であるラチェットンがあまりにも非協力的な為、何も進展していないのだ。

重要な事を聞いてもはぐらかすばかりで話すだけ時間が無駄で腹が立つだけだと思いクリスはこれ以上関わりたくなかった。

あの物分かりのいいライチェスとは偉い違いだと思った。

あの感じだとライチェスを普通に見つけたとしても禄でもないことしか起きないと考えている。


「アシュナ、ライチェスは必ず見つけ出すわ。あいつには聞きたい事が山ほどあるからね」


とりあえず見つけたら一発殴ろうと思っている。


「私もライちゃんに会いたい!!」

「存分に抱きしめてやりなさい。骨が折れようが知った事ではないわ!!」


クリスはアシュナを応援する。


「とりあえず、攫われた子供達を助けないとね。この祭りに乗じて行動を起こさないとも思えないもの」


クリスが言った矢先にそれは起きる。


「た、大変です!!」


ギルドに衛兵の一人が息を切らして入って来る。


「ま、街郊外付近に、大量のゴーレムが!!」


衛兵の話しでは街の郊外付近までゴーレムが押し寄せており、街の警備をしている衛兵を限界まで減らし救援に行っても足りないどころか倒しても倒してもキリが無いという話しでギルドに救援の要請に来た訳である。

しかし、ここは報酬がなければ動かない連中の集まりでチーム以外の協調性がない連中の集まりである。


「はぁ、仕方ないわね。その仕事引き受けたわ。その代わり、私は高いわよ」


クリスが動くそれはギルド内の人達も動かす。


「おいおい、あの『消滅』が動くだと!!」

「これは『消滅の魔女』の実力を見るまたとないチャンスだ!!」

「まぁ、確かに彼女が本物かどうか見たいところね」


ギルドの中で『消滅の魔女』の力を見たいという者達が現れる。

クリスとしては不本意だったが人数が多い事に越した事はなかった。


「おいおい、あれってまさか、『剣帝』じゃないか?」

「嘘でしょ。まだ子供じゃない」

「あんな子供に手柄を横取りされてたまるか!!」


アシュナに感化される者も中にはいた。


「まったく、あんなガキ共が体張ると行ってるのにそれで逃げたらそれこそカッコ悪い大人だ。そうだろ!!皆んな!!」

「隊長・・・その通りです。私は傭兵である前に一人の大人として子供にはカッコ悪いところは見せられません!!」


傭兵の達は子供には負けたくなかった。

それ以上にカッコいい大人でありたかったのだ。

それが彼等が動く理由だった。

まさか、クリスはこんなにも協力者が現れるとは思わなかった。

それだけにクリスは嬉しかった。

前の世界になかった人の温もりを感じたからである。


「皆んなの協力に感謝するわ。これは祭りよ。ゴーレム狩というね。たっぷり楽しみなさい!!」


クリスはかなり不謹慎な激励だと思ったが、よく考えたら、この祭りは傭兵や冒険者にはあまり面白くない祭りだと思った。

だから、このゴーレム狩を祭りとすることにした。

その方が傭兵達もやる気を出すのではないかと思ったからだ。


「成功報酬はこれでどうかしら?」


クリスは金貨が大量に入った袋を取り出す。


「衛兵達の報酬に私からの報酬を上乗せして山分けよ。存分に楽しみなさい。しかし、無茶はだめよ。命大事にね。死んでしまったら報酬もクソもないわ。生き残ることこれが最優先よ」

そのクリスの言葉にギルド内に歓声が巻き起こる。


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