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消滅の魔女と四英傑 〜天才少女、異世界へ降り立つ〜  作者: ディノ
一章 学園内部抗争
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智の神徒の力

ライチェスは部屋を進んで行くとアシュナ達の姿を見かける。

ライチェスはアシュナの姿を見つけた瞬間、その場を立ち去ろうとした瞬間に「あっ!!ライちゃん!!」と見つかり一瞬で捕まった。


「やっぱり、ここがいい」


アシュナはライチェスに抱きついていてライチェスは歩きにくそうにしていた。


「・・・あの、ライチェスというガキの何処がいいんだ?」


ジンクはアシュナがライチェスにくっついてる理由が分からなかった。


「あのくらいの歳なら仕方のないことです。まともに相手しちゃいけませんよ」


ジェニスは子供のやってることなんだから少しは大目に見ろとジンクを嗜める。


「あら?恋に年齢は関係ないわ。妬けるわねぇ。本当にもう滅ぼしたいほどだ」


リカルドは嫉妬の怒りのあまり、男口調に戻っている。


「だが、あの治癒魔法、本当に光と風なのか?」


光と風の魔法は普通は持続効果があるため治癒に時間がかかる。

しかし、ジンクを治癒したライチェスの治癒魔法は治りが早かった。


「しかも、超級でないと困難だった傷までときた」


ジンクの傷は呪傷で動く度に傷口が広がるというもので超級以上なければ完治させるのは困難とされている。


「私は光と水だけど即効性が高い分、治癒力が低くて完治させるのに何回かかけ直す必要があるからね」


ジェニスはそういう意味では風の方が楽だと語る。


「軽傷なら水、重傷なら風がいいとも言われてるものね」


そして、怪我をしながら継続戦闘を行う際も風がいいとされている。


「たぶん、一秒あたりの回復量が多いんだと思うけど、あの歳であそこまで治癒魔法を極めるには相当な修羅場を潜らないと不可能よ」

「何っ、実は凄い奴なのか!!」


ジンクはジェニスの言葉でライチェスを見直す。

しかし、そんなことはもちろんなく、昔からアシュナに抱き付かれる度に腕やら肋骨やら折られたりして、自身で治していたのでそれが原因で不本意ながら治癒魔法も得意となってしまった訳である。


「あのね、ライちゃん。私ね、相手の剣士をやっつけたんだよ」

「そもそも、この学園にシュナに勝てる剣士なんていないだろう」


ライチェスの中ではアシュナは最強の剣士である。

誰が何と言おうとそれだけは譲れない、譲る訳にはいかないのである。


「もう少し強い相手と戦いたいな」


アシュナはライチェスに熱い視線を向ける。

もちろん、アシュナはその戦いをライチェスに見て欲しいのだ。


「後ろの方に相手してもらいなよ」


ライチェスはジンクに視線を向けるとジンクは表情を真っ青にしながら視線を逸らす。

一本ツノのジンクは二本ツノは相手にすらしたくなかった。


「うーん、興味ないかな」


アシュナはクリスの口癖を真似する。


「それは、師匠の!!」

「きっと、こういう時に使うんだね」


アシュナはクリスの口癖の意味を理解する。


ーーーーーー


パントはクリスの頭を目掛け氷を放つ。


「な・・・」


クリスは氷を指先で掴んで止めていた。


「そんな、馬鹿な・・・何故!!」


パントはクリスが消すことはおろか避ける事すら出来ないのを理解していた。

完全にチェックメイトだったことを認識していた。


「・・・見えたからよ」


クリスはその質問に答える。


「見えた・・・だと・・・」

「ええ、それだけじゃなくあんたが次に言う言葉も分かるわ」

「「一度止めたくらいで粋がるなよ」」

「!!」


クリスはパントの言う言葉を一字一句間違えずに言う。


「な、なんなんだそれは!!そんなもの我は知らん!!何をした!!」


今までにない以上にパントは動揺している。


「あんた自分のことを全知者とか語ってたんじゃないの?少しは自分の頭で考えたら?だから全痴者なのよ!!」


クリスは光と風の治癒魔法を使って傷口を治癒している。


「治癒魔法か!!だが、その状態じゃまだ動けんだろ!!」

「それがどうしたの?」

「『重力零(ゼログラビティ)』」


クリスは宙に浮いてさっきと同じくらいの高さまで昇る。


「これで終わりだ」

「『氷棘連槍(フロストラッシュ)』」


クリスが落ちると同時にパントは氷の棘を大量に放つが、放たれた瞬間、パントの魔法は全て消滅する。


「!?」


パントが何が起きたのか一瞬分からなくなった瞬間だった。


「『氷結監獄(フロストプリズン)』」


クリスはエリンの身体を氷の檻に閉じ込める。


「残念ね。分かってれば、使う瞬間に潰せるの」


クリスは風魔法で衝撃を抑える。


「この程度で我に勝ったと思うな」

「ええ、この程度で勝ったと思ってないわ。私を傷付けた慰謝料は高く付くわよ」


クリスの傷は殆ど治っている。


「あんたのそれ、『魂魄魔法』とか言う奴でしょ。それでエリンの身体に憑依して操ってると言うところかしら?」

「それがどうした?それでどうやって我に勝つと言うのだ?」

「あんたの魔法のネタはもう分かってるの。貴方のは『重力魔法』だと思ったけど実は違う。最初に重力で押さえつけたのはそのミスリードを誘う為だった。あんたの本当の魔法は『力学魔法』とでも呼べばいいのかしら?」


クリスは力学とは少し違うと思ってはいたがこう命名するしかなかった。


「あんたは重力魔法を使ったわけじゃない。私に加わる引力の力を増やしただけ、そして引力を限りなく低くして浮かせたに過ぎない。あんたの攻撃の絡繰は氷を瞬間的に作り、撃ち出した瞬間に運動エネルギーを増やし、視認できない速度まで加速させた。これが、あんたの魔法の正体よ」


クリスはパントの魔法を見破った上で次のように言う。


「さて、完全に手の内を読まれたあんたとまったく手の内が読めないあんた、これでもまだ負けを認めないつもりかしら?」

「ハッ、何を言うかと思えば、ただ見破っただけで勝った気になるとは・・・」


パントが話してる途中だった。


「!?」


エリンはそのままその場に倒れ込む。

クリスはパントの魂をエリンから引き離したのだった。

パントは魂の状態なので、クリスに声は届かない。

だから、クリスは言ってやった。


「死人に口無しとは言うけど、魂にも口がないわね。命乞いの一つも聞けないのが残念」


クリスはパントを引き離すと同時に魂を拘束する魔法を使って逃げないようにしていた。


「あんたが負けを認めてれば、逃すくらいはしてあげたんだけどね」


クリスがそう言うと同時に『魂魄魔法』の力で魂を消滅ではなく、浄化してやった。

魂にはクリスの消滅が効かないのは、先程の件からも分かるようにクリスの魔法は正確には消滅ではない。

クリスは反物質によって対消滅を起こしてるのに過ぎないのである。

それがクリスの魔法の正体である。

星の重力を消すには星を消さないとならないし、物質か定かではない魂にはそもそも使えないという話しである。


クリスはある程度、反物質で消滅させる対象を選べるように調整して必要以外は消さなかっただけなのだ。

クリスが本気を出せば簡単にエリンごと消滅させられたのだ。


それをしなかったのはただ単に引き渡せば金になると考えていたからである。

学園長が証人になってくれるから問題ないだろう。

クリスはミュラーから副校長が黒幕と言われた瞬間、このヴィジョンが浮かんでいた。

なので、エリックがどう答えようと助けたのだ。

彼女にとって学園長は副校長を捕まえた時の証人程度の価値しかないのだ。


ーーーーーー


ミュラーがクラリスを肉片諸共消し去った場所に、一人のサトリの少女がいた。

その少女は白い髪で紅い瞳、そして特徴的なのは肌がとにかく白い所謂アルビノという奴だった。


「ええ、クラリス、貴女の雄姿忘れません。貴方の仇は私が取ります。・・・すいません。どうしても慣れませんね。親しい者との別れというものは・・・」


サトリの少女は涙を拭いている。


「・・・心配しないでください。私は『冥王』ですよ。この世界において最恐の王となる者です。なので、安心して見守っていて下さい」


少女はクラリスの魂と話しかけているように話していた。


「・・・今まで、ありがとうございます。そして、お休みなさい」


その少女は姿勢を正し深々とお辞儀をする。


「また彼の地にてお会いしましょう」


ーーーーーー


翌日、クリスはミュラーに呼ばれ、いつものように屋上に向かう。


「やっと来たか・・・手酷くやられたようだな」

「本当、酷い目にあったわ」

「あの後すぐに副校長を引き渡して、報酬をいただいて喜んでいたのは何処のどいつだ?」

「お金はいくらあっても困らないもの。それにこれくらいはいただく働きはしたわ」

「それに関しては報酬を受け取ってしまった俺が言えた事ではないがな」


ミュラーの服装が学ランのような服装からレザーコートの首元にファーが付いたものと革製のレギンスと以前よりヤバさが増している。

クリスはこいつ学園に来て大丈夫なのかと心配していたが、ミュラーは見た目に反してかなり真面目な生徒なので何も言われない。

むしろ、怖すぎて何も言えない可能性の方が大きい。


かくいうクリスはブラウンのサングラスをかけてるだけである。

目付きが悪いのを気にしてるので目を見られたくないのでミラー加工にしてある。

しかし、サングラスのせいで更にクリスの男度が上がってしまった。

ライチェスとアシュナはデートである。

今朝、ライチェスがひきづられて情けなく助けを求めるのを見て、アシュナは本当にこいつの何処に惚れたんだろうと思ってしまった。


「ねぇ、男のあんたから見てライチェスってどう思う?」

「そうだな。魔力を見る限りでは俺たちの中では一番低いな」

「やっぱりそうなんだ」

「だが、その更の奥に何かある感じがしたな」

「何よそれ。じゃなくて、男としてよ」

「・・・これは鬼人の娘と同じ事を言うみたいでかなり癪だが、あいつはお前が思っているより頼りになる男だ。それはあの鬼人の娘の方が分かってると思うがな」

「ごめん、アシュナといいあんたといい、ニーナといいライチェスを高く評価し過ぎじゃない?」


クリスはあの情け無い男の何処がいいのか理解できなかったがミュラーによって更に理解できなくなった。


「ところで『冥王』との戦いで見えたという未来の世界は今も見えるのか?」

「うーん、どういうわけか今は見えなくなってしまってるわ」


クリスは数秒先の未来を見てどう避ければいいか分かっていた。


「今回の事はいい教訓になったわ。もっと強くなる必要があることが」

「そうか・・・」


ミュラーはクリスが発言させた力の正体を知っていた。


それは『神徒』が持つ力だということに『財の神徒』には人や物の本質を見抜く力『鑑識眼』という力があるように『智の神徒』には『予見眼』という力がある。


力が強くなるほど確定した未来が見えるようになり、扱える時間も伸びるという『神徒』の中でも最強を誇る能力なのである。

ミュラーは既にクリスが『神徒』なのは知っている。

彼がそれを教えないのは彼なりの理由があるのだ。

あとがき


ここまでご拝読ありがとうございます。

色々と至らない点もあったと思います。

誤字脱字は気付き次第直していくつもりですが、ご覧になっている皆様にも協力していただけたら幸いです。


これで、学園内部構造編はここで終わりです。

次回からライチェス編となります。


こんな感じの作者ですがよろしくお願いします。

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