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第93話 仲間達

シャリエル達サイドの話しとか書きたいです

シャリエルーーーーー



そう、誰かが問い掛ける。



朦朧とする意識の中目を覚ますと目の前にはボンヤリと女性のシルエットが浮かんで居た。



「シャリエル!大丈夫なの?!」



聞き覚えのある声、見慣れたシスター服……サレシュだった。



「サレ……シュ?」



「意識が戻った見たいですね……」



ホッとした表情をする、サレシュの手はシャリエルの胸に当てられ何かしらの魔法を施して居た様だった。



現在の状況が把握出来ない……シェルドが元凶で父は操られて居た、そして自分の事を愛してくれて居た父をこの手で殺した事までは覚えて居た。



だが罪悪感に押しつぶされそうになった所から記憶は無かった。



何処か暗い空間に居たような気がする……そして気が付けばサレシュに呼ばれて居た。



「ねぇサレシュ、何があったの?」



辺りをキョロキョロと見回すが所々地面が抉れ戦闘した形跡がある、全く状況が理解出来なかった。



サレシュに聞こうと体を揺さぶる、だがサレシュは力が加えられた方向に無抵抗で倒れ込んだ。



ふと背中側を見ると大きな傷が出来ていた。



「サレシュ!?」



状況理解に気を取られ全く気が付かなかったがサレシュの背中から多量の血が流れていた。



少し熱もある……早急な治療が必要だがパーティーの回復役はサレシュ、回復魔法も持っていない……手段は一つ、禁忌の魔法を使う事だった。



あの状態なら高度な回復魔法も使える……だがシェルドが居ない今あの魔法を使うのは切り札を失うのに近かった。



正直セリスのとっておきとやらも何の魔法か分からない……国民数十万の命か、サレシュ一人の命……比べるまでも無かった。



勿論この国の人は自分を育ててくれて感謝している……だがサレシュは姉の様な本当の家族に近い存在……もう家族を失うのは嫌だった。



今はダイヤモンド級冒険者とは言え初めはゴブリンに殺されそうになって居た、ある日アーネストと出会い銅タグから銀に上がり、街外れの教会の仕事でサレシュと出会った、そして仲間に引き入れその後アイリスが仲間になった……ほんの数年の付き合いだが過ごした時間は数十年分の濃さ、今の自分が居るのも彼女らのお陰だった。



「だから……もう仲間は失わせない」



シャリエルは最後の禁忌魔法が封印された魔紙を破り捨てると闇が彼女を包み髪を黒く染める、あと何分使えるかは分からない……だが出来ることをするだけだった。



サレシュの背中に治癒魔法を当てると少しずつだが血が止まり傷が塞がっていく、だがこのペースだと15年分の寿命を使いそうだった。



高位の回復魔法でこのスピード……相当に酷い傷だった、それに回復魔法は外傷を塞ぐだけであって流した血は戻って来ない……あとはサレシュの生命力に賭けるしか無かった。



「痛た……洗脳が解けたみたいだな、シャリエル」



不意にシェルドの声が聞こえる……最悪のタイミングだった。



まだ1分も治癒魔法を当てて居ないと言うのにシェルドが再び現れた……今治癒をやめればサレシュは確実に死ぬ、とは言えこの状況を防御魔法でやり過ごすのは厳しそうだった。



「もう洗脳されないわよ」



「その様だな、流石プラチナ冒険者のサレシュと言ったところ、洗脳が掛からないように魔法でプロテクトしてある……まぁ数分あれば解除出来るが良いだろう」



少し外傷を負いながらも首の骨を鳴らすとシェルドは剣を片手に近づいて来る、迷ってる暇はなさそうだった。



「生憎……貴方には会いたく無いの」



シャリエルは一旦治癒魔法を止めると両手を床につけ自身の半径2メートルを透明な壁で覆う、そしてさらに地面を盛り上がらせ五層の壁を生成すると床から手を離した。



高位魔法のオンパレード、国の兵士を洗脳する魔力を持つシェルドでも流石にこの壁には時間が掛かる筈だった。



「それまでにサレシュを……」



治癒魔法を再開しようとしたその時、凄まじい轟音と共に全てが弾け飛んだ。



砕け散った床の破片がまるで石飛礫の様に迫ってくる、これ以上サレシュに傷を負わせる訳には行かず咄嗟に防御魔法を展開するが同様で集中出来なかった。



上手く魔法が発動されない……このままでは守り切れない、そう判断した瞬間シャリエルはサレシュに覆い被さった。



大小様々な瓦礫がシャリエルを襲う、身体能力が強化されて居るとは言え無傷では済まなかった。



打撲なのか骨折なのかは分からないが背中が痛む……だが直ぐに立ち上がると後ろを振り返るがそこにシェルドの姿は無かった。



「こっちだ」



真後ろから声が聞こえる……サレシュが居る方向だった。



「サレシュに手を出すな!!」



拳に闇を纏う、だが強化状態のシャリエルよりも速くシェルドの拳はシャリエルの腹部を捉えると軽い彼女の体を壁まで吹き飛ばした。



「まずい……!」



壁を崩しながら立ち上がる、咄嗟の硬化魔法のお陰で致命傷は避けたがサレシュが危なかった。



サレシュの頭に手を当てようとするシェルド、雷撃魔法を飛ばすべきか、脚力強化で移動するか……方法を一瞬で判断しようとするが様々な情報が入り混じったシャリエルの頭は完全に混乱して居た。



そしてフリーズし、その場に立ち尽くす……サレシュが洗脳されるのを見て居るだけだった。



「サレシュ!!!」



シャリエルが叫んだ瞬間シェルドを襲うハルバード、そして次の瞬間アイリスが目の前に立って居た。



「アイ……リス?」



何故彼女がここに、そんな疑問が一瞬脳裏を過るがサレシュの危機的状況を思い出し直ぐさま駆け寄ると治癒魔法をかけ始めた。



「やっと追いついた、地上から戦闘が見えて来たらこの状況……けど間に合って良かった」



相変わらず感情のこもって居ない覇気の無い声だが凄く頼もしかった。



一人ではどうにもなら無いとこの状況で増援は有り難い、アイリスならある程度足止めしてくれる筈だった。



「アイリス、シェルドをお願い」



「分かってる、今は治療に集中して」



そう言い魔法で飛んで行ったハルバードを引き寄せると地面に突き刺す、その言葉を聞きシャリエルは防御魔法を張り巡らせると視界から消えた。



「さてと……此処からは私が相手だよ」



「シャリエルもいい仲間を持った物だ、お前は一見脳筋タイプに見えて魔力感知に長けている、実力差は分かるだろ?」



ハルバードを飛び上がり避けて居たシェルドがようやく滞空を終えて地面に着地する、彼の言葉通り実力差は歴然だった。



とてつもない魔力量……だが不思議と怖くは無かった。



「貴方よりすごい魔力経験済みだから」



先日の戦場で感じた息をするのすら苦しいほどの魔力、シャリエルの話しではウルス・キュルスと言う老人の魔力だった様だがあの魔力に比べればシェルドの魔力など可愛いものだった。



「それで勝てるつもりか?」



「勝つ勝たないじゃない、私の役目は二人を守る事……」



そう言いハルバードを構える、あの魔力は私に怯まない勇気をくれた……以前なら恐怖して居たが今は何も怖く無かった。



「愚かだな」



そう言い剣を逆の手にも出現させるとシェルドは不敵な笑みを浮かべ構えた。

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