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第147話 不老不死

雨が打ち付けるナハブ城の屋上、フードを被り不気味な仮面を付けた男は中央でただ空を眺めていた。



「とうとう来ましたか……」



男はアルセリスの存在に気がつくとゆっくり此方を見る、だがその声は何処か無気力な覇気の無い声の様な気がした。



「カルザナルド様は?」



ラクサールの問い掛けにアルセリスは異空間からカルザナルドを掴むと放り投げた。



地面に体を打ち付けても何の反応も見せないカルザナルドをラクサールは無言で見つめていた。



何も言わぬまま空を再び見上げる、何処か不気味だった。



何かを企んでいるのか……警戒しアルセリスは剣を抜くとラクサールは口を開いた。



「また……約束、果たせませんでしたね」



「約束?何を言って……」



ラクサールの言葉に疑問を投げかけたその瞬間、辺りに夥しい数のスカルナイトが出現する、地面には魔法陣……恐らく事前に仕掛けて居た魔法陣だった。



だが……この程度の低級モンスター、今のアルセリスでも全く足止めにすらならなかった。



腕力強化の効果がある大剣を取り出すと勢い良く振り回す、するとスカルナイト達は風圧で吹き飛んで行った。



「やはり……無駄な抵抗ですね」



圧巻の光景にラクサールはおもわず笑って居た。



「降参か?」



「えぇ、どう足掻いても貴方には勝てる気がしません」



そう言いラクサールは仮面を外し身に纏っていたローブを脱ぎ捨てた。



身に付けて居た物を全て脱ぎ捨てその下から出て来たのは不気味な骨の姿だった。



「お前その体……」



まるでスケルトン、だが彼らに知性は無いはずだった。



「不死の対価……と言った所ですかね」



アルセリスは彼の言葉に首を傾げた。



不死の対価でスケルトンになった事への疑問では無い、骨が動くのはどちらかと言えば見慣れている……問題は不死の方だった。



「ナハブ国魔道部隊隊長の死霊術師アルデンヒ・ラクサール……お前は人間の筈だ」



アルセリスの言葉にラクサールは目を逸らした。



「身元が知られているとは驚きですね、確かに私は人間でした……かつては」



そして彼は続けて言った。



「ですが死霊術を調べて行くうちにとある方への干渉に成功した……」



「それが冥府の神か?」



ラクサールは頷いた。



だが気掛かりな点がいくつかある。



冥府の神にあった事は無いが何の対価も無しに不死の命を授けるとは思えない、対価として骨になったとしてもまだ安すぎる……そんな事するのは女神くらいだ。



シャリエルは魔法の叡智を授かるのに一分一年と言う破格の寿命を払って恩恵を受けて居た、それなのに骨になるだけで不死を得たと言うのはあまりにも対価が安すぎる……彼はまだ何か隠している。



「だがおかしいな……冥府の神がそんな簡単に不死を許すのか?」



「確かに……簡単では無かったですよ」



そう言い空を見上げる、こうなれば力尽くでも吐かせるしか無い様だ……シャリエルの為にも。



異空間から剣を召喚しようと手を突っ込んだその時、ラクサールは予想外の行動に出た。



「知ってる事は全て話す……だから、だから……娘のユリーシャを殺さないでくれ!」



両膝を地面につき助けを乞うラクサール、ユリーシャなんて名前は初めて聞いた。



いや……初めてでは無い、何処かで聞いた……違う、見た事がある。



ユリーシャ……必死に記憶を辿る。



ゲーム時代では無い、最近の筈。



恐らくナハブの文献……ユリーシャ、そう言えば天才魔導師と謳われて居た少女が戦地で命を落としたと言う記述を見た……



名は確かユリーシャ・アルデンヒ……今思えばラクサールと同じ名だった。



だが記述通りなら彼女は50年近く前に亡くなっている筈……それがこうして綺麗な肉体で動いているのは不自然だった。



まるで不老不死……



「まてよ、不老不死……?」



ラクサールは不死の対価として白骨化したと言った、だが……自分が不死になったとは一言も言って居なかった。



ふと視線をカルザナルドの方へ向ける、すると居たはずの彼女が消えて居た。



「成る程……そういう事か」



「お察しの通り、不死なのはラクサールでは無く私、カルザナルドの方だ」



声のする方向へと向かう視線を移す、屋上で両手を広げ自身をアピールするかの様に彼女は立って居た。



「だが勘違いしないで欲しい、私はカルザナルドでありこの体はユリーシャ……二つは全くの別物だと言う事をね」



「二つは別物?」



訳の分からない事を言い出すカルザナルドに軽く混乱して居た。



体はユリーシャで中身はカルザナルド……つまり体を乗っ取って居るという事なのだろうか。



「おっと、ご褒美は此処まで……全ては暗黒神様の為……二度目の負けは無い」



そう言い闇の剣を生成するカルザナルド、色々と気になる点はあるが……倒さないと聞かせては来れなさそうだった。



「じゃあ……第2ラウンドと行きますか」

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