連邦の子供服(?)
ヴェイルが2階に上がり、ドアを開け閉めする音が聞こえ終わってから、シンシアはドアを開ける。
そこには、堅い厚紙で形作られた一つの箱があった。
シンシアは箱を手に取り、部屋の中に持ち込む。
一体どんな服なのだろうか。
箱を開け、中を見る。
まず目に入ったのは一枚の説明書。
服の機能について詳細が書かれている。
なになに。
“この服はオリア国立魔法科学技術研究所所属、付与魔法研究チームが考案した、特殊な魔法繊維により作製されました。”
“この服は特殊なコーティングにより内外からの汚れの付着を防ぎ、常にクリーンな状態を保ち続けます。”
“更に魔法繊維の効果により、様々な魔法攻撃に対する強い抵抗力を兼ね備えています。勿論防臭魔法も付与。”
“お風呂が苦手な貴方、体臭が気になる貴方。”
“そして、戦いながらもファッションに気を配りたい貴方にもオススメの一品です。”
“ご入用の際はぜひ、我が研究チームのリーダーたるビクター・デリスシアまでご連絡を。”
“連絡番号×××――――――
どうやら汚れに強く、魔法に対する強い防御力を持っているらしい。
そして服を包んでいるであろう包装紙を優しく開き、中の服を取り出し……
「……ナニコレ。」
その包まれていた服は…………
◇ ヴェイルの部屋 ◇
本を読みながら、シンシアが着替え終わるのを待つ。
今読んでいる本は“中世における魔女”という題名の本だ。
中にはその時代の魔女達が使っていた呪詛や、儀式の方法が書かれている。
主な内容としては、嫌いな相手に対するイタズラ用の物が多い。とても安全な本だ。
ただ、相手の飲み物を巨大なナメクジに変えるという呪詛は未来永劫禁呪指定した方がいいと思う。
そんな本を読んでいるとコン、コン、とドアをノックする音が聞こえる。
「……あの、マスター。着替え終わりました……。」
シンシアが俺を呼びに来たらしい。
わざわざ来なくても此方から行くのに。
「……分かった。今出る。」
本を適当にその場に置き、部屋のドアを開ける。
「…………うぅ。」
恥ずかしがりながら全身を見せる少女。
そこには、ビクターがくれた女性服に身を包んだシンシアの姿があった。
黒いワンピースの丈は膝上ほどで、スカート部分はふわっとしている。
中が多重構造になっているようで、淵から白いレースが垣間見える。
そしてワンピースの上には、フリルの付いた白いピナフォアを着用している。
脚には黒いストッキングを履いていて、それがずり落ちないようにガーターベルトで止めてある。
ワンピースの袖の丈は二の腕の中ほど辺りで止まっており、その形は少しふっくらとしている。
更に袖の淵は、白いレースで飾り付けられている。
「……何だその恰好は。」
「マスターが渡してくれた服じゃないですかっ!」
怒ったように反論するシンシア。
「……まぁそうだが、寒く無いのかと思ってな。」
「えっ、まぁ、何故か寒くは無いですけど……でもっ!」
「これのっ!何処がっ!子供っぽい服なんですかっ!?」
顔を真っ赤にしながら胸に手を当て怒るシンシア。
しかし、何故怒っているのだろうか。
「……?ロース連邦の子供服じゃないのか?」
「えっ!?」
驚愕した顔を浮かべる。
「ロース連邦の子って、その、こんな……大胆な服を着てるんですか?」
「それにっ、こっ……、こんな、丈の短い下……ものを履いてるなんて……。」
ワンピースのスカート部分を抑えるようにして話す。
……?スカートの丈が短かったのだろうか。
まぁ確かに、年齢的に見ると少し小さいのかもしれない。
「……あぁ、年齢的には14歳までの子が着る物だからな。服が少々小さいのかもしれない。」
「いえ、サイズは合ってますけど……そうじゃなくて……っ。」
羞恥と不満が入り混じった表情のシンシア。
仕方ない、もう少し説明するか。
「……大丈夫、その服は一時的な衣服として着てもらうだけだ。」
「そ、そうなんですか?」
「あぁ。」
良かった……、と言いながら安心した表情を浮かべるシンシア。
まぁ確かに、もうその服を着る年齢ではないからな。
恥ずかしいのもそれが理由だろう。
そして次にすべき事の提案をする。
「君の着てきた衣服があるだろう?アレを生活魔法で洗濯すれば、その衣服は早々に……」
「……せ、生活魔法?」
きょとんとした顔になるシンシア。
「……?生活魔法と言って、各属性魔法の特性を応用して、生活に役立つよう作られた魔法の事だが……。」
「……何です?それ。」
……なんだと?
二人の間に、長い沈黙が訪れる。




