クレイジーサイコからの脱出!!!
「あ、あのう、どうして俺……私だけが脱がなければならないのでしょうか……?」
「いやだ、敬語なんて抜きよ。私達、もう恋人同士なんだから」
ララは俺のズボンのベルトを外しながら言った。
待て、待て待て待て待て!!
「ちょっとした身体チェックよ。貴女の身体は服の上から見ても私好みだけれど、本当にそうなのか試し見をしたくって……」
ここは……。大人しく脱がされるべきなのか?
「それに」とララは言った。
「ナイフか何かを隠し持っていたら危ないじゃない」
残念ながら俺はナイフなど持っていなかった。
護身用具で脅している隙にリリィ・ロッドを呼び出せたら何とかなったのだが。
「あ、危ないのは私じゃなくてマミちゃん、貴女の方よ? 私にはナイフなんて一瞬で蹴り飛ばせるんだから。そんな私を怒らせるような事、貴女にしてほしくないわ」
「…………」
俺は神を恨んだ。
一時とは言え神の存在をも超えさせた俺に対して助けの一つもないのか。
そしてルシフェル。察知してるんだろ? 薄情者が。
「上の服が脱がせづらいわね」
ララは俺のパーカーを脱がせるべく四苦八苦していた。
「あ、じゃ、じゃあちょっとだけ手錠を外したらどうかな……」
俺は提案をした。虚しい提案を。
だがララの返事は意外だった。
「そうね。面倒くさいし……」
おお! これで手さえ自由になればリリィ・ロッドを呼び出せるぞ! やった!!
「でも、ダーメ! どうせ逃げる隙を伺ってるんでしょ? 私の事が好きなくせに」
俺の一縷の望みは絶たれた……。
そして逃げ出したがってる事は悟っているのに、まだ俺に好かれていると思っていたララ。そこが……恐ろしいところであった。
「パーカーはハサミで切りましょ。着替えが無ければ外にも出られないし、丁度いいわ」
そう言って俺の着ていたパーカー……紗里子の物だが……をジャキジャキと一寸のの迷いも無く切り裂いていく。下着姿になる俺。
ちなみに必要が無いのでブラジャー等はしていなかった。感激するララ。
「思った通り、ノーブラだったわね! 素敵よ、マミちゃん! この邪魔なキャミソールも切っちゃいましょうかしらね」
無残にも切り捨てられたキャミソールを足元にポイ捨てしたララは、俺の貧乳に魅入っていた。
「可愛い……。乳◯もピンク色じゃない。可愛いだろうとは思っていたけど、私が甘かったわ。マミちゃん、貴女お顔も身体もすっごく可愛いわ」
そう言って俺の◯首を舐めようとしたララの脚を思い切り蹴飛ばす俺……。のはずだったが。
彼女が武道をやっていたのは俺の予測通りで、俺の蹴りをすんでの所で避けた。
ララの瞳に怒りの炎が浮かぶ。
殺される!! 俺は必死になって弁明した。
「ご、ごめんなさい! でも私ララちゃんの裸も見たいわ、ずるいわよ、私にだけ恥ずかしい思いさせてさ!! 私達恋人同士なんだからララちゃんも隠す事なく私に全部を見せてくれるべき!! そう思わない!? ねえ!?」
『恋人同士』というキーワードがララの怒りを多少鎮めたらしく、ララは「そうね……」と首を傾げた。
「マミちゃん、確かにその通りだわ。私も後でちゃんと脱ぐから。約束するわ。マミちゃんみたいな可愛い身体じゃなくて申し訳ないけど……」
そうして俺はララにパンツも脱がされた。まだ毛も生え揃っていない下半身が露わになった。もうどうにでもしてくれ……。
ララは、何故かクスクス笑った。
「ヤダ、マミちゃん、全裸なのに靴下だけはいているなんてとってもエッチね。おじさんがその格好をしたら変態扱いされるわ……。でも、まだ生えてないのね、可愛い、すごく」
エッチも何もお前がそうしたんだろうがよ。
そして俺こそがその『変態おじさん』だよ。
ーーん? ーー靴下ーー。
「……ねえララちゃん。全裸にソックスだけはいているなんて、こんなの恥ずかしい。私はララちゃんに全てを見せてあげたい。足のつま先まで。だから、ソックスも脱がせて……お願い」
上目遣いで懇願した俺。
情けないが仕方ない。
この上目遣いにはさすがのララも心揺さぶられたようで、
「……分かったわ。マミちゃんがそんな風に思ってくれてるなんて、嬉しい……」
そう言ってまた俺の乳◯を舐めようとしたが、
「待って!! そういう事はお互いの姿を見せ合ってから後でじっくり!!」
と必死になって止めた。中学生とそんな事をする趣味は無いのだよ。
ララは残念そうに俺を座らせ、はいていた靴下を脱がせにかかった。
「……まあ、足の爪もピンク色で可愛い……全部を見せてくれてありがとう。ちょっとだけ脚を開いて見せてくれない?」
俺の脚を無理矢理M字開脚させようとするララ。
ここで俺の反撃が始まった。
「リリィィィ・ロッドォォォォ!!!!」
「!? 何!?」
俺は転移させたリリィ・ロッドを生足で器用に掴み、魔法少女に変身した。
一か八かの賭けだった。手じゃなくてもいい。とにかく素肌のどこかに触れて持ち続ければ、リリィ・ロッドの魔力は有効になるのだ。
そこからの俺の『活躍』は目覚ましい物があった。
……と言いたい所だが、相手は中学生だ。
俺はララを全裸にして、着ていた服を消滅させ、しばらくの間マンションから出られないようにしてやったのだ。
「あ、貴女は一体……」
恥ずかしげもなく全裸で立ち尽くすララ。
「よく知らない人間を家に入れるとこういう目に遭うんだぜ、お嬢さん」
裸の少女にビシッと決めて俺は外に出た。
ララの洋服は、母親か誰かに持ってきて貰うだろうから良心の呵責は無い。
俺は魔法少女の姿を解き(その前に被服魔法で新しい普通の服をあつらえて)外を歩いていると、
「マミちゃん!! マミちゃあん!!」
ララが全裸のまま俺を全速力で追いかけてきた……。
俺を好きだっていうのだけは嘘ではなかったのかなーーでもーー。
おまわりさーーーん!! この人何かイヤなんです!!!
ストーカー少女から逃げている間、俺は再び魔法少女に変身し、瞬時に家へテレポートした。
これでララに俺が魔法少女だという記憶を植え付けてしまった。




