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婚約破棄から始まる……。

作者: 柴野まい
掲載日:2017/06/18

 貴族の集まるパーティ会場。

 そこで私は婚約破棄を言い渡されました。


「ジャンヌ・ドゥ・アーク!貴女との婚約を破棄します!」


 そんなことを言われて。

 たった今まで普通だったモノが壊れる音がして。

 その瞬間、私の世界は壊れました。



 私の婚約相手は公爵家の時期当主、ルカ・ドゥ・エスパルス様でございました。

 ルカ様は公爵家の当主となるべく、幼い頃から学問を学ばれて来ました。


 私はルカ様の苦労を誰よりも知っていたはずなのです。

 何故なら、小さな頃からルカ様を見ていましたから。


 一人で庭の噴水を眺めていたルカ様。

 一人で乗馬をしていたルカ様。


 貴方はいつも一人でしたね。


 私だけはいつも側に居たのに。

 貴方の隣にいるのは私だけだろうと思っていたから。


 だから、婚約の話を聞いて私は歓喜したんですよ?

 ずっと貴方と居られると思って。


 貴方も喜んでくれたではありませんか。

 私の家を訪ねてくれて。

 

 ずっと好きだった貴方は近くで見るととても大きくて、私の胸は高鳴りました。

 

 そして、婚約発表は恙無く進みました。

 後は結婚するだけ、と言う時に婚約破棄を言い渡されたのです。


 ルカ様の隣には、太陽のような笑顔のご令嬢がおりました。

 彼女がルカ様を唆したのでしょう。

 私だけのルカ様だったのに。


 気づけば私は彼女に襲いかかっていました。

 彼女に手をあげることはできませんでした。



 そして、私は牢に幽閉されました。

 薄暗い牢で私は思いました。


 ルカ様を好きになったせいで私はこんな目にあっているのだから、もう誰のことも好きにならないと。


 壊れた世界で生きていく意味など見出せないから。



 そして私は釈放されました。

 監視付きで。


 監視は私と同程度の年齢で、冷ややかな目で私を見ていました。

 監視は少し離れた場所から、私を見ていました。

 声もかけず、ただただ私を見ていました。


 それはまるで過去の自分を見ているようで。

 私にはそれが、とても不気味に感じられました。


 私は理解しました。

 ルカ様も、こんな感情を抱いて私と接していたのだと。

 監視の男はそれを私に気づかせてくれました。


 私は彼に感謝しました。

 ですから、彼を見る度に私はお礼を述べました。


 ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。


 そのうち、私の彼への感謝は感謝ではなくなりました。

 彼の目も少しずつ柔らかくなっていきました。


 婚約破棄をされなければ、私は彼にお礼を言うことは無かったでしょう。

 それどころか彼に会う事も無かったでしょう。


 今となってはルカ様に感謝しております!

 私を彼と会わせていただいたのですから!


 どうぞ、ルカ様!

 あの素晴らしい令嬢とどうぞお幸せに!

 私ももうじき幸せになれるでしょう!

 私をいつも見てくれている彼と!


 婚約破棄から出逢った彼と!




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― 新着の感想 ―
[良い点] ・意外な展開 ・彼女の成長 [一言] サイトに「婚約破棄から始まった」物語は数あれど、こちらの作品はとても意外な展開で新鮮でした。 確かに、どこにいくにも自分への好意を隠すことなく着いてく…
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