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その蜂 憂鬱前線上昇中

 自覚してからの数日間は何とも言えない気分だった

 神楽佑璃という存在を今まで怖かったどころか恐れていたのに、と思うと同時にどうにもやり切れないような、憎めないような、そんな曖昧な感情が揺さぶりをかけてくる

 苦しいくせに、どうしようもなく神楽さんに会いたくなるのもまた事実で

 隠しきれない気がして、何故か委員会に行く足が躊躇していた

 授業中、そんなことを考えつつ途方にくれていた

 昨日は人伝に用があると言って委員会には足を運ばなかったのが思ったよりも俺に重くのしかかっていて、より一層気分は落ち込んだ。もしも今日神楽さんの前に顔を出せば、絶対に昨日はどうしてこなかったんだとか詮索されるに決まっているのに。まともな言い訳ですらも思い付かない俺の脳味噌は、もうショート寸前だった。今にもはち切れそうで、それでいてうんと重いから、きっとこのまま熱でも出した方がいっそ人間として正しいのかもしれないとも思った。

 ノートをとるのも忘れて、机に頬杖をつく

 現代社会の先生は黒板にズラズラとイギリスの王様達の名前を書き連ねながら、どこで息継ぎをしてるのかもわからない勢いで話し続ける。口の勢いは止まらない。というか、増している気がするのは嘘じゃない気がする。きっと先生なら素潜り世界大会でも優勝するよ。うん、絶対できるって。だってあんな無呼吸みたいに喋り続けられる人なんてそういないからね。

 そんなことを考えていた時、前の席に座っている俺の親友(と書いて『心の友』と読む)が振り返ってきた

「で、その顔の理由は何なわけ?繭、」

 ニタニタと嬉しそうな笑みを浮かべてる目の前の男前な男は俺と同い年

 でもそうとは思えないほどの所謂イケ面ってやつ

 くやしいけれど、女顔の俺からすれば酷く羨ましいそのルックスと身長は尊敬に値する

 でも正確はものすごく几帳面で細かい。彼はクラスで一番の人気者で

 しかも『ど』が付くほどのものすごく良い奴

 きっと人気投票でもしたら校内で一位に輝くくらいの、そりゃもうものすごく良い奴。なんで俺がその親友かって?まぁ話したら長くなるけれど、俺は一度入学式の時にこいつに女に間違われたのがきっかけ

 我ながら言い訳出来なくて泣けてくる

 たしかに俺の名前の漢字はけん、だけど読み様によっちゃまゆとも読める。それに加えてこの女顔にこの身長。どっからどう見たって普通に女の子に見えてしまうのかもしれない。本当にこの顔が真剣に嫌になる。流石に面と向かって

『で、久城さんはどっから通ってんの?』

 って普通に聞かれたときは焦った。いや、なんかその敬語おかしくね?っていうよりも先に男に向かってさん付けはないだろうと思った。彼は意外と天然なのだ。それも国宝級のね

 実際俺が男だからそんな言葉遣いしなくていいと言うと、酷く驚かれた。その時の顔は今でも忘れられないほど眼に焼き付いてる。ちなみに思い出すと腹筋が崩壊するので止めておく。どうしてかっていうと、笑いはじめるともう止まらないくらいに面白いから。きっと俺の人生の中で一番変顔が上手い奴だ。

 そんな彼の名前は畠中はたなか 稜真りょうま

 稜真は笑いが堪え切れないのか、俺の顔を見るなり吹き出した

「なにそんな深刻な顔してんだよ、気持ち悪いなぁお前」

 酷いだろ、といつもなら言えそうだった俺はそのまま『そうだよな、今の俺って気持ち悪いよな、うん。納得できる』とか訳の解らないそんなことを考えて、溜息を付いた

 稜真はそんな俺を見て驚いたのか、拍子抜けたような顔をして俺の顔を覗き込んできた

「何?どうしたわけ?」

 話したくもなかったけれど、俺の口は勝手に動く

 もしかしたら無意識のうちに誰かの援助が欲しかったのかもしれない

 誰か俺のことすこし助けてくれる人、が・・・・

 適当に出た言葉の意味を稜真が上手く理解してくれているのかは判らなかったけれど、俺はとりあえず一通り話し終えた

 出逢ったこと、神楽さんのこと、昨日のこと、今日の気持ち

 包み隠さずっていうのは恐ろしいって思えたのは話終えてから。女でもないのにこんなに真剣に話してしまった自分自身にも驚いたけれど、それを嫌な顔もせずに全部聞いて、俺の話を飲み込んでくれた稜真に素直に感謝した。もし他の男友達だったら笑い飛ばされてたかもしれない。そう思うと、少しだけ泣けてくる。本当にこいつ良い奴だよ、と再確認

 それも束の間、話終えると稜真は俺の前で腕組みを始めた


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