その世 祝辞伝達発表唐突
「おめでとぉございまぁす!」
なんて声をかけられたのは放課後のこと
しかもそれは担任の教師からで、俺は何のことかさっぱりわからずにぽかんとただ口を開けているだけだった
「どうかしたんですか、先生」
「いいやぁまさか君が委員会に入ってくれるなんて思わなかったよ、ありがとう」
さっきのはちょっとしたお祝いの意味を込めての冗談だよ。なんて言って目の前で先生は笑っている
いや、どうしたんですか本当に
とゆうか言葉のっていうか(会話の?)キャッチボールが出来てない微妙にっていうかかなりできてない
そんな俺のことを流すように
いや、ここまでくると流すの前提で多分話してる
先生は壊れかけというか壊れたラジオ並に話しはじめた
「そんなわけで今日から晴れて君は委員会を担う生徒だ!よかったなぁ親御さんも喜ぶぞぉ〜お、なんだなんだ何か聞きたいことでもあるのかな?」
ここまでくると少しおかしいと言うべきか。俺はもう一度同じことを聞こうと口を開いたが、かぶさった声にかき消されてしまった
もちろん、その声の主は目の前の中年男性
「そうかそうか何も無いか、それはそうだよなぁなんせ君が入るのは―――――――――」
おい待てまだなにもおれ言ってねぇぞ
なんていうまえに、担任は他の先生に呼び止められてしまう
一体なんなんだ
「わるいな、今から会議なんだ。一人で東塔の一階、一番角の部屋だ分かるよな?」
「はぁ、でも先生俺委員会なんて所属してないですよ。それに一ヶ月も経ってから決めるなんてことないですよね?ってちょっと?先生?え、どこいくんですか!まってくださっ」
言い終わる前に俺が聞いていたはずのひとは逃走
残された俺はブツブツ文句を並べながら一人東塔までの道のりを歩き出すことになる
はたと思い返せばどうしてその時俺しか東塔に向かっている生徒が居なかったのか勘付くべきだったのかもしれない
「失礼します」
そんなことを言いながらノックをして入った部屋は、どこか見なれた感じがあった
が、それがどうしてだったのかなんてこと思い出せなかった
なんでだっけ・・・・?
と声に出しそうになったとき、懐かしく無い嫌な視線とぶつかった
その時俺はどうして担任があんな態度だったのか、誰もが嫌煙してあんな遠巻きな態度だったのかようやくわかった
「神楽、さん」
こんにちは、とぶるぶるに震えた声を絞り出して行った台詞にやや自分自身では戸惑っていたもののなんとか言い切った安心感で俺は心の中で安堵の溜息をついていた
のも束の間
一人がけのソファに腰かけている神楽さんは昼間みた制服ではない制服に眼鏡といった格好で優雅に資料に目を落としていた最中だったらしい
機嫌、良くはない な
俺の直感は当たっていたらしく、神楽さんの目つきは昼間会ったときよりも怖い
というか強い
「なに君」
「え?あの、なんか今日からここ委員会に入るみたい?で」
このさい会話の中で俺が下手に疑問系をいれるのは流してくれと言いたいが神楽さんはそんな隙与えてくれるはずがなかった
間髪いれずに真っ直ぐに俺に向かって豪速球を投げてくる
多分まともに受けてたら俺は即死だ
「ふーん、そう。で君に秩序ってものはあるわけ」
「え?」
「ないの。じゃぁ別にいいけど。君は新米だから今日から僕についてればいいよ」
ほかのことやらせても面倒だから
それだけいって、神楽さんは仕事にもどったようだった。
いやぁ何するか分かんないんですけど神楽さん
俺の必死?な目にやっと気が付いてくれたのか、神楽さんは考えるように腕組みをしてからこう言った
「お茶いれてくれる」
よろこんで
こうして俺は神楽さんに毎日お茶を入れることになる
順序も出会いも何もかも無茶苦茶だけどこんな感じで俺は委員会活動をスタートさせる
さて今日は何にしようか
そう言いながら俺はアッサムの葉を手にとった