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第十話 リムジン

 朝起きると、突然の歓迎が待っていた


 すらりとした長い足

 座っているのは僕の勉強机 の 椅子。

 きらきらしてるオーラが眩しい

 というか、凄まじいっていう表現の方がきっと正しいんだと思う

 その人はまるで後ろから後光を放つかの如くにっこりと笑う

 僕はまだぼやける視界の中でふと思った


 あれ。僕はどうしてこの人を知っている気がするんだろう?


 今何時?僕は誰?何者?つかここは本当に僕のお家?

 どうして、僕の部屋にこんなに綺麗な男の人が―――――――?



「やぁ、おはよう。繭くん♪」



 ……さて。もう一度整理しようか。

 僕がとっても綺麗な男の人――――――冠梛さんの声を聞いて、一瞬で我に帰ったのは言うまでもない


 次の瞬間、悲鳴のような僕の声が響くのにそう時間はかからなかった


 


 

 ***




「そんなに驚いてくれなくったって良いのに」

 小刻みに、冠梛さんが堪えかねてクスクスと笑いを漏す


 僕は思い出したのと恥ずかしかったので顔を真っ赤に染めて、俯く事しかできなかった


 ついさっき冠梛さんが僕のことを起こしもしないでただしげしげ見ていた(らしい)のは、三十分前。

 今は何故か豪勢というか、ドラマの中でしか見た事の無いようなリムジンの中に居る

 え?どうしてかって?

 


 僕はとうとう天国マのソウクツ 行きのお迎えが来たらしい



 今日からが転入初の登校日!(実際めちゃくちゃ突然過ぎると思う。)

 まぁ、無理があるのは冠梛さんが僕を簡単な理由で編入っていうか、母さんを買収したところにあるかもしれないけど、それはこの際僕が学校に行けば治まるみたいだから気にしないでおこう。


 僕は冠梛さんの笑いがようやく終わってから口を開いた

 

「起こしてくれればいいじゃないですか!なんであんな至近距離で……」

「あんまり時間がもったいなくてね。すぐに君を迎えに行きたくなったんだよ」

 ほら、何もしないで待ってるだけなんて嫌じゃない?

「はぁ。」

 出て来た言葉はただの生返事。



 あまりにもその声がすまなそうにごめんねと言うので、僕はぶーたれた顔を辞めにした



 だってあまりにも可哀想でしょみたいな感じなんだもんな、冠梛さん

 ほら、ペットショップにいる眼がうるうるの子犬みたいな感じ?っていうの?

 お金なくても買っちゃう感じ。

 きっと冠梛さんがセールスとか、金融会社とかしたら即すごいことになるね

 ―――――――あ、これは色んな意味で!ってか僕のあくまでも妄想だけどね!?


 その時、冠梛さんが僕の心の中(見せられないような酷い想像力の結果からでた妄想←)を見たような顔でクスリと笑った


「そんな不思議そうな顔しなくたって、別に時間になれば起こしたんだけど……」

「いや!もうその話はいいんです!僕ただ恥ずかしかっただけで!!!!」

 僕の強烈な否定に驚いたのか、冠梛さんは面白いとでもいうように笑って、そう。と一言だけ呟いた


「もうそろそろですよ、冠梛様」


 という声(僕からは見えないけど多分運転手の人)を聞き取った冠梛さんが、僕に向かってにっこりと笑う


 ガチガチに緊張しそうになった僕の糸をさらっとほどくように。


「じゃぁ今日からよろしくね。繭くん」

「はい、宜しくお願いします」


 その言葉を呟いた瞬間に車が止まった


 僕は言葉をなくしたのは、窓の外の風景が余りにも違い過ぎていたから?

 それとも馬鹿みたいに両側に人がいたから?


 どうでもいいけど

 なんなんだここは。


「城………?」


 その城の門(だと思われる)には、『桜華桃欄』の文字

 血の気が引いたのは、きっと僕の気のせいだと思う。





 ***




 

 一台のリムジンが校門に入って来る様子を、高い窓から見ている人影がいた

 4人。クスクスと笑う声には何処か現実味が無い

「あーあ、せっかく良い玩具になると思ったのに。どうして理事長と一緒なのよ」

「さぁ?もしかしてお気に入りとか?」

「知らない、そんなこと。どうでもいい」

「どうせ何日も持たないんじゃないですか?」

 焼け合うような視線


 黒い影は、お互いを見ずにそっと呟いた


『何日で悲鳴をあげるかしら?』


 さて、ゲームを始めましょう

 ――――――その笑い合う声に、楽しさは無い

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