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その弐拾四 君又空赤色桃色模様

 呟いた自分の声に、『そんなこと、解り切ってるだろ』という声がした気がした


 誰も居ない廊下に響く音は何も無い

 だた、そこには俺がぽつんと一人でいるだけだったから


 心臓の音が、嫌に大きく聴こえる気がする


 ドアの向こうに、人の気配は全くない

 きっと、この先には誰もいないのだ。そんなことに安心するように、俺はただ自分の涙を両手で拭った

 

 どうしていきなり涙が出たのか、

 なんで突然駆け出したくなったのか、


 そんなこと、見当もつかないけれど

 きっと俺は寂しかったんだ

 ここに来たかったのは理屈なんかじゃなくて、どうしようもなく今 俺の中を埋めたかったから

 穴が空いたんだ。俺の中に

 いつもいたから 神楽さんは いつでも俺の中に在ったから

 消えるなんて考えられない

 いつか忘れるとしても

 ――――――きっと俺は忘れない

 そういう人だ。そういう気持ちにさせる人なんだ、神楽さんは


 だから、どうでもいいなんて嘘だ

 

 本当は、こんなので終わるなんて考えられない

 嫌だ、こんな終わりを望んだわけじゃない

 永遠に別れるかどうかなんて知らない

 でも、俺はこのままなんて嫌だ

 





 好きだから 誰よりも






 見てたんだ

 ずっとずっと

 いつも怒られながら笑う俺を、飽きれながら それでもいつも笑ってくれた

 いつでも神楽さんは一生懸命だった

 そういうところが好きだったんだ

 曲がった所が大嫌いで、無口で堅苦しくて生真面目で純粋で真っ直ぐな女の子が

 大好きだったから、


 もう遅い、なんて言いたくなかったのに……


 後悔よりも、自分自身に対しての嫌悪感の方が遥かに勝っていたのは当たり前なのかもしれない

 俺はゆっくりとドアノブに手をかけて、部屋の中に足を踏み入れた

 今の自分を整理しよう

 遅い、とかそんな言葉を言うのもよそう。余計に虚しい

 思い出で埋められるなら、ここに居れば、少しは休まる

 稜真には、後でまた連絡を携帯で入れればいいだろうし―――――そこまで思いかけた俺は、目の前に居た人影を見て一瞬心臓が飛び出るかと思った


 眼を見開いたその時、驚いて 足が竦んだ



「あれ、君 まだ居たの」



 もう生徒は下校しないとだめなんじゃない?というその人は、いつもの如く仏頂面で

 それでも優しく俺に笑った




 ***




「………まだ、居たんですか?」

 呟くように吐いた声は、誰が聞いても泣き出してしまいそうなほどか細かった

 俺は驚きと、ある種の感動で混乱していた

 一度は神様を憎んだ。でも反対に感謝すらしている

 矛盾している二人の俺が、何故か共存して、目の前の人影をただ眼で追った


 その姿を見た瞬間 一瞬涙が出るかと思った


「うん、なんとなくだけど……まだ、ね」

 そんなことを言いながら、神楽さんはゆったりといつものソファに腰掛けていた

 満足そうな笑みを浮かべて、本当にいつも通りに

 言葉が出ない俺を気にもしないで、神楽さんはクスクスと笑いながらもう何も無くなった机の上を見ていた 


「可笑しいね、本当なら僕の方がもっと早くに学校ここから下校しないといけないのに」


 君には何故か、注意ばかりしていた気がするよ

 そんなことを言いながら、懐かしむように俺を見て


 何故か悲しそうな顔をした

 

 何か、何か言わなくちゃいけない

 そんなことわかっているのに

 喉からは、音が出ない


 声が出ない


 何かで塞き止めてしまったように

 簡単な言葉ですら、吐き出すことを拒否される

 何か言わなくちゃいけないことがたくさんあるのに

 些細なことでもいい―――――何でもいいのに


『それ』は俺の口から出て来ない


 ただ立ち尽くしていた俺に向かって、歯痒そうに顔をしかめながら神楽さんは立ち上がった

「そろそろ行くね、僕ももう空港に行かなくちゃいけないから」

 スローモーションになっていく視界

 窓の外の景色は何も変わっていないのに

 どうしてこの人は、このまま変わっていくんだろう?

 そんなことが頭の片隅に過った


 いつの間にか日が落ちて、部屋の中を赤く染め上げていた


 神楽さんは長い影を背負いながら、俺の前を通り過ぎた




「いつか―――――またね、久城 繭」




 その声が聴こえた瞬間、俺の口はいとも簡単に開いた


「神楽さん、」


 驚いたような顔の彼女は、俺のことを真っ直ぐにその瞳に映した





 *** 





「何?」


 僕の声に、目の前の庶務係の彼はおどおどしたような声を出した

「いや、あの………」

 何を言葉に詰まっているのかは知らないが、こちらとしてはありがたい

 声をかけられて、驚いたのは僕なんだから

 

 もうあの言葉でおしまいだと思ったばかりだったのに


 君はいつでも突然、僕が一番欲しいときに声をくれるね

 それはとても嬉しいのに、時々すごく残酷な気がするんだ


 本当は僕、何でか今すごく泣きそうなのに


 この高校に愛着があった訳じゃないし、仲の良い一番の友達がいたわけじゃない

 ただ強かった、怖がられてた

 それだけだったのに、君はいとも簡単に僕の欲しいものをくれるから


 いつも突然持ってくるから


 少し驚く。タイミングが良すぎて

 今日が最後なのは、わかってるけど

 なんでかな?

 あともう少しだけ この我侭が通るなら、君と一緒にもう少しだけ


 あと少しだけ―――――


 そこまで思いかけた時、久城は僕を真っ直ぐに見た

「神楽さん、俺 言いたいことがあるんですけど………いいですか?」


 いいですか?なんて、一々君みたいに了解を取る子の方が珍しい気がするけど

 何、ちょっと聞きたい

 気になるから聞かせてよ


「いいよ」

 

 僕の声に、思った以上に君が安心した顔をした

 どうしたのってくらい大げさに大きく息を吐いてから、目の前の久城の口が開いた



「好きです、あなたのことが」


  

  


やっと、繭くんに言わせてあげられることができた…

という、囁かな『主人公扱いなのに、こんな感じでごめんね』という謝罪を織り交ぜつつ、今回の後書きへと参りたいと思います


皆様、この度啓至はめでたく学校生活がスタートすることになりました!


お察しの通り、更新は遅くなること請け合いです!!←←←


申し訳ありません、

何卒、ご理解頂きたいです。ほんとすいません


最近バイトで、申し訳ありませんしか言ってねぇ気がするけど←


まぁ、そんなこんなですが、謎の頭痛に悩まされつつ、頑張っていきたいと思いますので宜しくお願いします


ではではまた、次回もお楽しみ下さいませ(●´∀`●)

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