静けさは不安
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
発表会での発表中、客席はただただ静かだった。
淡々と演技をする私と、淡々と演奏をする先輩。
ワルツってそんなに静かなわけないじゃーん!って思うでしょ?思ったでしょ?
ソナタに近いワルツだったらしくてね、すごく客席が静かなんだ。
それに、私達二人だけが推薦入学だからっていうのもあるらしいけど……。
静か過ぎて怖いくらい静かだった。
「ね、先輩」
「なに」
「私達、失敗でしたか?」
「いや、成功だった。あの後の理事長達の反応とか俺達への無駄な連絡とか、一輪の花とか見る限りは上々だろ」
「花?」
「うん。一番いいと思ったところに花を渡したりするんだよ。それで、俺達が一番多くもらっててしかもほぼ半数以上はもらってるからなー、かなりいいと思うけど」
わりと理論的に結論をのべてきたけど……。
すごく、不安。
推薦のわりによくないしー!とか言われたらどうしよう、とか先輩のピアノと演技が釣合ってないとか言われたらどうしよう……。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
「!?なに急に!うるさいっ」
「不安です!!!!」
「なにが?」
「先輩のピアノと私の演技が釣り合ってないとか言われたらって考えると不安です」
「……そっか?」
「はい………。」
「別に言わせておけばいいんじゃない?俺達は俺達なんだし。今回は俺が勝手にソナタに近いワルツにしたからっていうのもあるし。
気にしすぎない方がいいとおもうけど?」
「……先輩って、先輩なんですね」
「お前なにがいいたいの?」
「そんな大人みたいなこと言えたんですね」
「………お前よりは2年長く生きてるしな」
「ですよね!!!!!!!」
「…………?」
「言わせておきますね!私達は私達ですもんね!いいですよね!何か言われたらすみません!」
「いいよ、別に。まぁ無理はしないで」
「はい!先輩もピアノ、頑張ってくださいね!」
「うん、」
でも、不安は簡単には消えないよね