高校生編・第三話『銀鬼、抜刀!』
“レオ・アスファルト”。
それが彼の人間だった頃の名前であり、と同時に新たに生まれし悪魔の“王号”だ。
その王が生まれたきっかけは今から約十年前に遡る。
彼は人類未踏の地に等しい土地、奥深くの森林にひっそりと“あった”
小さな民衆民族の村でその生を受けた。
──────藁のテントや木材で作られた見張り台に、中央広場は狩りの道具が散乱している。まさに生ける古代文明。焚き火の跡がさらに拍車をかけているだろう。
そして誰もが日焼けしたように褐色で、娯楽といえば出来損ないの煙を吹くことか、あるいは………性行為だけだった。さらにそこは運が悪く、お金もなければ食料もない。
故に必然的に彼らの間で流行っていたのが、奴隷商売だ。
単純に子作りし生み、ある年まで育てたら売ればいい。本当に簡単であり、人間の凶暴性が垣間見えるところに違いない。そういう考えの腐った村であった。
さらにそんな村が金持ちに目をつけられた暁には、どうなるか。すでに人の道を外れている行為であったはずの奴隷商売は─────今よりもっと闇を産みおとしながら、深みを増していったのだ。
─────だから彼は、妹が物心つきそうな頃合いで捨てられる。いや家族を養うためなら、当人も納得の上であったのだ。この命一つで家族を救えるのなら本望だと、死ぬわけではないのだからだと、少年は己を納得させた。しかし、やはり家族に捨てられるのには心にくるものがある。感情がない人間であれば、どれほど楽になれたのだろうかと、何回自分で問い直したことだろう。反吐がでる。
そして捨てられる前日だった。
家族達の雰囲気がおかしいことを悟ったその夜。
村の皆が寝静まった頃合いを見計らい、彼は森の奥で一人焚き火を見つめる。
実はそこでひっそりと覚悟を決めていたのだ。
妹を守るためなのだと。
庇護欲を駆り立てられているのもあったのだろうが、なにぶん世界にたった一人の兄妹だ。そうやすやすと自分の代わりに奴隷にさせるわけにはいかない。そうなれば、自分の精神が壊れることは目に見えていた。そうこれは自分を守るためでもあり、それが結果として家族を守ることにつながるのだ。
無駄ではない。その献身は生涯の誉れとなるだろうと確信に近いものを少年は抱いていた。
だが、結局はその全てが無駄だった。
知らない天井、体温を奪っていく地面。
冷え込む鳥籠の中で少年は、他の奴隷には見られないよう小さく涙を流す。
そしてここからが彼の、彼が魔王として生まれる誕生秘話。
数年後の夏初期。
奴隷として店頭で売り物扱いされていた時、少年は──────何年ぶりかの再会を果たした。
母は少し太ったようで頬がプクッとし、父は少しだがシャツの上から分かるほどにお腹が出てている……………………それなりの生活を送れているのだろう。
そしてその最後尾に……………彼女はいたのだ。
今年で十五歳ぐらいだろうか。
少年とは違い、若干背が高い。いや単純に自分が歳にしては背が低いということなのだろう。もちろん彼は未来に望みは持っていない。そして何より、己と同じように日焼けしたような褐色肌ではあるのだが、大事にされてきたのだろう。衣で隠しきれない首元や細くしなやかな彼女の手はとても透き通っていてなおかつよく光を反射している。さらにその上には場違いなほどの豪奢なドレスを身に纏い、これもかというぐらいの多量のアクセサリーたちがシャラシャラと煌びやかな音を立て彼女の存在を同じ高さの地を歩む者たちに高々に知らしめる。まさに貴族のように高貴で、王女のように、少年の妹は綺麗になっていた。
久しぶりに出会った彼女の、見事な成長ぶりに少年は自然と涙をこぼす。
だが同時にこの出会いが少年に絶望を突きつける。
家族を守るため、妹を守るため、一度しかない己の人生を殴り捨てた。
なのに彼らは視線を合わせても……………少年に気づくことはなかった。
助けてくれると思うのが当然だ。
一刻も早く、サンドバッグの毎日を脱出したい、病の匂いしかしない部屋に居たくない、何より家族と一緒に暮らしたい、早く妹を撫でたい……抱きしめたい……そう願っていた……………しかしそれは己を見る家族の目で木っ端微塵に打ち砕かれた。
完全にゴミを見るような目だったのだ。
そして何より奴隷が売られている前を通る時は必要に距離を取っていた。単純にウイルス感染を避けたいのだろう。だが、それでも……………………彼の頬には心許ない雫が流れていた。その距離感こそが自分たちの関係性を明確に示している、きっとそうなのだろう。
ただ少年は…………………家族がデカイ態度で通っていく様子から目をそらすことしかできなかった。いや正確には……………大衆の目に見せたくないために、顔を俯かせ、嗚咽を押し殺す。
(と……ぅさん………かぁさん………………どうして気づいてくれないんだッ!!)
生前より神に見放され、そして献身した相手には完全に忘れられていた。
もはや二度とない己の人生は、こんな意味もない終わり方を迎えるのだろうか。
そう問うた瞬間だった。
自分の右肘から肩あたりまでに何か、痺れみたいなものを感じ、少し裾を捲ってその場所を確認した。
そしてそこには……………遥か昔より伝えられし“呪い”、怪物となる前兆が刻まれていた。
その様子を見ていた一人の男が、雄叫びをあげる。
『ぁ、………っアアアアア! で、出たぁあああ!!!の、呪いだ、呪いの化け物だぁ!!!!』
『は、早くっ、そその悪魔を殺せッ!!でないと村が滅びるぞぉおおおお!!!』
その一言をきっかけに有象無象が走り回り、そして彼らの間で一つ決まったことがあった。
そう明日の朝、日の出と共に少年の処刑がなんの迷いもなく決まった。
いわゆる神の名の下に浄化するということである。たとえ助かる可能性の方が高く残っていようとも。それが生まれた場所が悪い、というなんとも言えない理不尽な理由によってだった。
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幼馴染の帰国と告白、銀鬼の転校生、そんな非日常から幾日かが過ぎた。
しかし勇気が、いや全男子が望んでるような非日常は一切起きなかった。あの嵐の一日が嘘だったかのように毎日が平和であった。
(あの脂ぎってて、いつもヤハハハハハハーって高笑いしてた照美がなぁ、いや誰だよアレ)
そしてなぜか照美に告白された事実は消え去り、いつの間にかミレアも数人の女子と弁当を囲んで孤立空間から脱出していた。大和曰く賄賂らしい。いや、全然違うと思うが。
で、今日は土曜日であり、学校は休みだ。
数年後にはこの土曜日が休日でなくなる日が来ると巷で囁かれている。原因は高校生の著しい学力低下だった。もちろん勇気も大和も足を引っ張るどころか、平均をあげている要因の一人である。故にこの件に関しては勇気は鼻が高い。知的なJK舐めんなよ、である。
そしてそんな土曜日を休日として消化できることに勇気と大和は、少し得したような気分で、街を歩いていた。
「いちごぉ! いちごぉ! いちごぉ! いちごォオオオ!」
「あーうっさいわっ!!! ……てかお前は俺にジュース奢れよ!」
「オーケーオケぇい!」
勇気は歩きながらスキップしており、まさに上機嫌。
大和はというと、やれやれとこぼしながら頭を掻いている。
現在はお昼過ぎだ。
喫茶店で昼食を取った二人はその後、市が運営している市立図書館で黙々と本を読んで、今はスーパーに向かっている最中である。
月曜日に取り交わした約束を律儀に守ろうというのだ。
大和は苺を二パック、勇気はジュース一本。
仲の良さが伺え、微笑ましいことこの上ない。損得や借りとかの、そういう計算がいらない関係はそう簡単に得られるものではないだろう。いや、そういう関係は間違っている、と謳う学者ももちろんいるし、両方合っているのだ。
だからと言って、彼らの関係に水を差すのは余計なお世話に相当するだろう。
「なぁ、ミニトマトで勘弁してくれないか?」
「イーヤ」
友達だからこそ、勇気もこうして厳しく接されるに違いない………のか?
友達だからこそ、二人はこうしてくだらない話ができるに違いない。
空気を読むということを彼らは知らない、そして今の学生に失われつつある光景だろう。
「そういえばカメラの数、増えてきたね、大和」
「ん、そうなのか?」
「ほら、あそことか、前はなかったし………」
勇気が指差した所を見て、大和は首を傾げる。彼は興味のないことにはいつも無頓着な所がある。いや、彼は彼で忙しいのもあるのだろう。
とその時だった──────ビリリリリリリリリリリィ、と大和のポケットから警鐘が、
──────ウウウウウウゥウウウウウウウゥウウウゥゥゥッ!!!!
『緊急警報! 緊急警報! “ コンディションレッド” です! 至急、一般市民の方は結界の張られた建物内へ避難してください!繰り返し──────』
放送と共に辺りからは風塵が立ち上り、轟音が鳴り響く。
しかし建物には被害が出ることはない。それでも衝撃は轟き、町々を揺らしていた。
勇気はたじろぎながらも放送に耳を傾ける。
「複数の悪魔!?………それも近ッ?!」
「買い物まえで良かった……て、言いたい所なんだが、それは犠牲者を出さずに仕事を終えた後だな」
大和はそう言いながら携帯デバイスを素早く取り出し操作する。
悪魔の正確な出現位置情報を脳内に叩き込んでいるのだ。もちろん暗記するつもりで、だ。戦っている最中に何回も位置情報を確認できるわけないのだから当然だろう。しかしそれでもこの一連の行動だけで彼の祓魔師としての質が垣間見えたように勇気は思えた。
そしてデバイスをポケットにしまった大和は、逆側のポケットから一枚のメモ用紙を取り出して、魔力を解放する。
「召喚ッ!」
用紙に描かれた魔法陣から青主体の七色の光が迸り、円形に稼働する。
爆散して無数に散りばめられた粒子が素体を形成していくその様は、いつ見ても幻想的だろう。勇気の目は瞬きを忘れていた。
これは見ての通り召喚魔法だ。しかしこれは魔法ではあるものの実はエルフが作り出したものでもなければ妖精も無関係だ。実際の所、開発し確立させたのは人類である。故に魔術という分類に一応はされている。
そんな召喚魔法から形成されたのは、抜き身の日本刀。伝統をそのままに引き継がれるが如く、光を鋭利に跳ね返して見事な反りを描く一刀。
パシッとその柄を掴んだ大和は勇気に背を向け、
「勇気はどこかに避難しててくれ! 俺は………行ってくる!!」
勇気の返事を待たずに大和は《 アクセラレーション 》の魔法陣を足元に出現させ、爆発したかのように蜃気楼と風塵を撒き散らし、疾風迅雷の如く空へ消えていった。
「……………………やっぱりかっこいいな、大和は」
刀を振り下ろし構え、ジェット機顔負けの速さで空を縦横無尽に駆け抜ける。
まさに思春期の理想ーーーーーーそのものだろう。
暫く勇気は彼が消えた空を眩しそうに見つめていた。
そして少し俯いてコンクリートの地面を見る。自然と手は拳を作り、小刻みに震えていく。
その間も警鐘は山びこのように鳴り響いていた。おそらくこの場所も数分足らずで戦場になるだろう。満足に百メートルすらも走れない勇気では、悪魔に出会った瞬間、即死だ。そんなことは本人が一番わかっている。
だが大和は悪魔の位置情報を確認するのにデバイスを何十回もスクロールしていた──────つまり、悪魔の数が二桁に達しているその可能性が高いということなのだ。いやそれ以前に親友が戦っている、目の前で命を張ってる………たとえ殺される可能性が低くとも怪我はするし、最悪死んでもおかしくはない、そんな渦中の中に彼はいる。
だからこそ、自分は自分のできることを見つけ、親友の努力を無駄にしないようにする。
邪魔にならないように、友が満足に戦えるように──────現在、此処に居る自分が動くのだ。
「避難に遅れてる人を探さないとっ!」
その名に恥じぬため、いやその名に重みを持たせるために駆け出す。
なぜならその名こそ唯一消えることのない証であり、記憶にすら残っていない姿無き肉親からの確かな贈り物なのだから。
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日本の環境は平成を迎えてから本当に劇的に変わった。
そしてその環境の変化は、社会や思想、人間の個人能力にも大きく影響を与えた。
そう今この国は世界でいちばん安全な国として力を得て、人々は安全な砦の中でイレギュラーに対応できる力、適応能力を冷静に獲得していた。最初は防災訓練などが必須課題だったのだが、今では学生や大人問わずして誰もが避難の陣頭指揮を取り、一人として避難場所を把握していない者などいない。言うなれば、折りたたみケータイからタッチ型に時代が流れていくかのように浸透している。
「こっちだ!急げ!!足元には一段と気をつけるんだッ!」
「子供とお年寄りを最優先にッ!男は意地でも人名救助をしろッ!!」
これは本当に凄いことだろう。
イギリス出身の彼女、転校生であるミレアからしたら驚きの光景だ。いや、絶景を見ているかのような感動さえ湧き上がってくる。
「なるほど、ネェ。各国が日本の土地をハヤアシに欲しがるわけだ…………しかし見えてないなぁ。結局土地ではない、人がその営みを作っているというのに。幾人か騎士団にスカウトしたいぐらいだ」
電柱の先に立ち、戦況を見渡すミレア。
やはりここに来て良かった、と再認識したミレアは小さく笑って、
とちょうどその時、まだ避難が済んでいない地域、ミレアの眼下にまで戦線が下がってきて、とうとう粉塵と共に大型怪物の体表が目視される。
それと同時にやはりか、命の危険に途轍もなく近づくと“そこまで”の訓練を受けていない民間人では、容易く精神を崩壊させてしまうようだ。
「よっ!」
そんな彼らと怪物たちの間にミレアはスタッ!と華麗に舞い降りる。
そしてそんなミレアに陣頭指揮を取っていた若い男性が声をあげた。
「おい!そんなところでなにやってんだッ!!お前も早──────」
「分かってるわよ、別にワタシのことは」
その瞬間である。
粉塵舞い上がる遠くの戦地。
蜃気楼が辺りを漂い始めたその時、赤くも黄色い高熱の大きな塊が彼ら二人の視界を埋め尽くした。
「……………ま、まじか」
数秒という短い間、ミレアの近くにいた若い男性は戦慄したまま、呆然と固まる。
もちろんその火球に戦慄した、というわけではない。いや最初は目前に迫る死の絶望に飲まれていたのは間違っていない。
しかしその次の瞬きの後に起きた出来事は、死の絶望を超越し、全てを魅せたのだ。
「フン、少しデカイか……………しょうがないわねぇッ!」
ミレアは後ろにいる民間人たちを一瞥すると獰猛に笑った。何か彼女のスイッチにきっかけとなることがあったのだろうか、それともその騎士性からか。
そしてその左手の甲には青い剣をモチーフにしたような円形の陣が浮かびて稼働し、その右手には一枚のメモ用紙、魔法陣が輝いていた。
「サモン!」
召喚の意を唱え、その紙の魔法陣は即座に素粒子を吐き出し、一本の片手剣である通常より長めのグラディウスを形作る。“グラディウス”とはスペイン起源の、ローマ軍が紀元前から標準装備としていた刺突及び切り裂く、その両方に適するようデザインされた直剣だ。元は盾と一緒に使うことを目的とされていたものである。だが、彼女が今回召喚したのは、従来より少し重く長めの、さらに彼女の特色である黒色にも見えそうな銀色にアレンジされ、その輝きは神聖な威光を周囲に感じさせる。つまり彼女の戦法のためだけに作られた名剣だ。
ミレアはその剣を下段から上段に掲げると共に、白いカーテンを張るように弧を描く。摩訶不思議なそれは刹那に輝きながらその場に帯同していた。
やがて一条の輝きへ重ねるように上段より、極光に染まるグラディウスが振り下ろされた!
「クロス───── パラディン・ブレイク」
放たれたX字の白き斬撃。
即座に二つの大きな力が衝突したのにもかかわらず、その場はとても静かだった。
放たれた光の第一陣はやがて火球を呑み込み、第二陣がその両方を切り裂く。
花火のように儚く散っていくその様はとっても呆気ないものであった。
☆☆☆☆
───── 同刻。
コンビニの数と等しく作られた祓魔師の支部。
それら小さな点と大きな支部、悪魔を感知する施設を軸に彼らは、超巨大なネットワークを形成していており、監視カメラをも特殊な技術を用いて中継点として活用している。
故に日本の首都にある総本部での通信が、各地の情報がタイムラグなしに伝え合う。
『本部より入電。“戦闘領域”に達した者は与えられた資格階級に習って適当の判断と行動をしてください。加えて現時刻を持って“公共”での武力行使を許可します。“Bランク” 以上のエクソシストはすぐに指揮を取り、敵の予想戦闘能力値をランクで判断し、報告を上げてください。現在、襲撃を受けているX地点の近くに“A級エクソシスト”はいません。各自、応援要請は迅速にお願いします』
『第一から第五○支部より入電。指示承知及びB級祓魔師二名をC級以下と共に出動させ、残りのB級祓魔師一名を現場指揮として支部に残します。班別に現場に急行したのち、現状況及び悪魔属性を元にランクを算出。それぞれの指揮官に報告したあと、A級祓魔師の応援要請をします。それと《イージス・システム》を維持するため、タンクに魔力補給を行い続けます。よって、これ以上の出動は不可能となります。』
支部はあらゆる場所にあって、その町の《イージス・システム》を維持する役目も担っている。
もちろん展開されていないという最悪な状況を作らないためだ。最大三日間継続し続けられるだけの魔力エネルギーが特殊管理保存庫《魔力タンク》に蓄えられている。だが、携帯の充電同様、使用状況にもよってその継続時間は変わってくる。主に悪魔の襲撃がその要因だ。イージスは単純に魔力エネルギーを遮断するだけなので、災害などにはあまり意味をなさないから地震などは直接的な原因にはならない。しかし建物の何処かに必ずイージスを起動させている榊財閥の紋とも成っている魔法陣が刻印されているので、傷がつけば正常には動かなくなるのは必然だ。故に頻繁に老朽化にも目を向けなければならないのが、今の時代である。
そして支部には必ず、三人の責任者《B級祓魔師》が属しており、A級以上の者が駐在していることは滅多にない。加えて応援要請には多大な費用がかかる。穀潰しのイメージがつきそうだが、そういうわけではない。
海、森、空、など環境捜査が主に彼らの任務であり、応援要請を受ける者たちは大抵休暇中の者達なのだ。故に“特殊学生”という特別な枠組みまで作られ、日本は多くの分野に対応している分、途轍もなく人手不足である。だが、実のところ人手不足にはもう一つわけがあった。
『本部より入電。国際企業団体より“魔法師”の出動を確認、政府が応援を受理されました。よって、現場においての責任者であるB級祓魔師は、彼らを班に加えて連携を組み直してください。加えてフリーランスである退魔士の乱入も予想されます。違法者、無免許の場合は現状が終了したのち、逮捕してください。必ず退魔士には政府より配布されているフリーランスの資格手帳を所持しています。忘れた、落とした、という諸事情がある場合は“資格番号”を確認し、報告してください。その場合逮捕にはなりませんが、罰金や資格停止期間などの処罰があるのでご注意事項として伝えてください。』
世の中は複雑だ。
同じ力や目的を持って作られた組織も名前が違えば、別物となる。
保険に社会保険や国保があるように、企業は己の会社をあらゆる方面から守るために今ではスポーツ団体よりも独自兵団を抱えるようになった。それが祓魔師の人手不足にもつながっている。
加えて国外にはまだそういう国政が出来上がっていないところが多く、神格化され、日本よりも優遇されるケースが多い。練達のエクソシストにとって危険はあっても、きっと手を出すなという方が難しいだろう。